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20話。豚野郎の石さがし

まさかベシータ様の名前を間違えるとは……。

誤字報告を貰わなければ致命傷でしたね。

おう。俺様だ。ベシータ様だ。


令嬢にでも豚野郎を殺せる手段。それは武器だ。


「ってなわけでこれを持て」


「こ、これですか……」


「そうだ」


アイテムボックスから取り出しますは、村長っぽい奴をミンチにしてやったときにドロップしたハルバートだかバルディッシュだかしらんが、とりあえず槍と斧が合体したような武器である。


刃は磨かれてねぇが、元々令嬢に技術は期待してねぇからな。

重さで斬るタイプの武器を選んだってわけだ。


「持てるか?」


「も、持てません」


「だろうな」


腐ってもBP2000超えの豚野郎が使う武器だからな。

魔力による補助があろうが今の令嬢に持てる武器ではない。

そう確信はしていたものの、一応確認してみたんだがやはり俺の予想は正しかったか。


「だろうなって、リョウ様っ!」


できないことをさせられた令嬢が吠えるが、そういうのも含めて実験だからなぁ。

俺からは「あきらめろん」としか言えん。


あぁ、そうだ。言い忘れていたぜ。


「戦闘と修行のときは、俺のことをベシータと呼ぶように」


ザイヤ人の精神に引っ張られ過ぎるのは問題だが、戦闘時に日本人の心は邪魔だ。

スイッチを切り替えられないと後で痛いしっぺ返しをくらいそうだからな。


まして俺は師匠だからな。この辺はしっかりとしておかんといかん。


「わ、わかりました。ベシータ様」

「うむ」


よしよし。俺の中のザイヤ人も喜んでおるわ。


「ではベシータ様。私が知識を教えているときは『ラングレイ』とお呼びください」

「……おう」


仕方ねぇ。俺が言ったことだからな。まぁ名前で呼ぶよりはマシだと考えよう。


「さっさと豚野郎を殺すぞ」

「は、はい!」


メイドの呼び方については後にするとして。さっさと豚野郎を殺して貰わんとな。


「両腕を上に向けろ」

「こ、こうですか?」

「そうだ。で、俺様がお前の手の中にこの斧槍の柄を握らせるから、それを掴んで振りおろせ。それだけでこいつ程度なら殺せるだろうよ」

「え? それってギロチ「いくぞ」あっ!」

「ブモ!?」

「ひぃッ!」


グダグダ抜かす前に添えてやっていた手を放してやれば、令嬢の手に握られていた斧槍は重力に従って落下し、その先端はあっさりと豚野郎の頭を叩き潰した。


「ん? 潰れた? うーむ。重さだけでも首を刎ねることが可能だと思っていたが、あれって思ったよりも技術がいるのか?」


あり得る。ギロチンみたいに完全に固定しているわけでもないからな。


「まぁ(死に方はどうであれ、豚野郎がしっかりと絶命したのは確かだから今はこれで)いい」


なんか令嬢の方は「やっちゃった。私、やっちゃったよ」と呟いているが、コラテラルダメージってやつだな。


「さて、では見せて貰おうか。令嬢の可能性ってやつをな」


スカウター、スイッチオン。



―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル  9

BP  55


―――


「これは……」


どう判断したものやら。


まず14歳なのはどうでもいい。セカンドな衝撃とか関わっていないならそれでいい。

問題はレベルとBPだ。


元々令嬢のレベルは5でBPが20だった。


つまり今回令嬢はレベル4が上がって、BPが35上昇したわけだな。


(この上昇はレベルの恩恵か? それとも倒した敵から魔力的なナニカを得た結果か?」


「リ、リョウ様?」


「ベシータだ!」


「す、すみませんベシータ様」


「そうだ。わかればいい」


考えていたら声を掛けられたんで反射的に返事をしちまったが、さてさて、コイツをどう考えるべきか。


「いや、考えるまでもないな」


自分で言ったことだろうが、摩訶不思議なことにはトライあるのみ。


「次を持ってくるから。ちょっと待ってろ」


「え?」


統計は回数が大事だからな。幸い材料はいくらでもあるし、何回でも試させてもらうぞ。



―――


「ふ、ふふふふふふ」

「お嬢様……」

「ほーん。なるほどなぁ」


なんやかんやで何度か試してみたが、なんとも興味深い結果となった。


まず二回目。BP100の極々普通の豚野郎の場合だ。


「ブモモ!」


―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル 11

BP  70


―――


レベルが2。BPが15の上昇だな。

100に近付いた分レベルアップも少なかった感じだと思われる。

この時点ではレベルとBPの関係性は不明だった。


で、その次に選ばれた獲物はBP200の豚野郎だ。


「ブモォ!」


―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル 15

BP  110


―――


「ほほう」


おわかりいただけただろうか? 

そう。この令嬢。レベルの上昇は最初の豚野郎と同じく4なのに、BPが40上昇しているのだ。


「これは、倒した相手の魔力の保有量に比例するのか?」


同じくBP200の豚野郎を用意してチャレンジ。


「ブモ……」


―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル 18

BP  135


―――


レベルが3上昇でBP25が上昇した。


「これはもう確定、か?」


次に用意したのは集落に10匹前後しかいないBP500のレアものだ。


「ブモッ! モ゛!?」


―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル 27

BP  240


―――


「……私の手はもう血に塗れてしまったわ。次は、次はどのオークを殺せばいいの?」


レベルが9上昇でBPが105の上昇、か。

この時点でレベル38のメイドとほぼ互角である。


「やはり強いヤツとの戦闘が強さに繋がるのか」


戦うごとに強くなるのはザイヤ人だけではなかった。

ただまぁ言ってしまえば、その辺の雑魚を作業的に倒しまくってレベルを上げるより、同等か格上の強敵と試行錯誤して戦った方が得られるものが大きいってだけの話だ。


「うむ。ある意味で当たり前の話ではあるな」


ただ疑問がある。

それは『今までこの世界にいた連中がこうしたパワーレベリングについて考察をしていないのか?』ってことだ。


俺のイメージだが、王族とかお偉い貴族の場合が暗殺やら何やらの対策のために当たり前にやっていそうなんだが?


「その辺どうなんだ?」


「どう、と言われましても……」


メイドもわからんか。まぁ所詮はメイドだからな。王族や貴族の秘密まではわからんのだろうよ。


取り敢えず続けて実験を行うことにする。

獲物は勿論次もBP500の奴だ。


「ブモォーー!」


―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル 33

BP  320


―――


うむ。あっさりメイドを超えたな。


「いい調子だ。在庫が尽きるまでいくぞ」

「……はい」


「「「「「「ブモモモモォォォォ!」」」」」」


―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル 55

BP  510


―――


「もう1匹いくか」

「……」


立て続けに6匹殺させてみたらBPが500を超えていたんで、次はこの状態で1匹仕留めた時にどうなるかを見てみることにした。


「ブモモモモッ!!」


―――


名前  セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル 58

BP  530


―――


「サキ、そこにいる? 私にはもうオークの目しか見えないわ」

「お嬢様! 大丈夫です! サキはここにいますよ!」


「なるほどな」


ここにきてレベル3だけの上昇で、BPも20だけか。


レベルが上がったことについては、単純にまだ適正レベルではないってことだろう。

で、BPの上昇が控え目になったのは強さの差がなくなったせいだろうな。


「やはり力の差がある相手と戦った方が成長するらしい」

「戦い? これが? こんなものが戦いと呼べるの?」


令嬢がブツブツ言っているが、あれか? 箱娘らしく戦いに夢を見るタイプだったか?

残念だったな。戦場に華なんかねぇんだよ。あるのは勝者か敗者か、それだけだ。


戦いの価値観はさておくとして。


「次だ。コイツは巣に2、3匹しかいないレア中のレアもんだぞ」


BPは驚きの1000前後だ。


「オ、オークナイト……」


メイドは何か知っているらしいが知識は後でいい。

どーせこの状況になったら死ぬだけだしな。


「ブモモ! ブモ! ブモモッ!」

「……えぇ。そうね。私はきっと地獄へ落ちるわ」


令嬢のやつ、なんか豚野郎と会話してないか? 


「まぁいい。やれ」


「はい」

「ブモォォ~!」


―――


名前   セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル  71

BP   740


―――


「ほほー」


流石は1000の豚野郎だな。レべルもBPも中々のもんだぜ。


「よし、次でラストだ」

「……はい」


最後も1000の豚野郎である。


ちなみに2000の豚野郎は実験には使えねぇ。


こいつらみたいに生け捕りにすることは難しくないんだが、連中はBPを倍に引き上げるスキルを持っていやがるからな。あれを使われたら振り下ろししかできねぇ状態では殺せないと思うし、何よりあの状態だと万が一がある。


なにせBP4000だ。手足がなくても体を動かすだけでそれなりの衝撃が生まれるし、奥歯を砕いて飛ばすだけで令嬢くらいなら殺せるからな。


そんなわけでこのタイプのパワーレベリングでつかうのはBP1000の豚野郎まで。


それ以上は令嬢やメイドのBPがスキルや魔法を使えばBP2000の豚野郎にダメージが通る程度になってからだ。


「具体的には1500くらいかねぇ」


そこまで行くのにどれくらいの豚野郎が必要かわからんが、途中で基礎的な技を鍛えさせることを考えれば、数的にはそんなに殺す必要はないんじゃないかな? と思っている。


「ま、それもこれも令嬢のやる気次第なんだがな」


メイド? あれに関しては令嬢がやる気を出せばついていくためにやる気をだすだろうよ。


「ブモォォォォォォォォォォ!」


「えぇ。恨んでくれても構わないわ」


「……やっぱり意思の疎通できてないか?」


最後に微妙な謎を残しつつ、この日の令嬢を使った実験は終わりを迎えたのであった。


―――


名前   セレス・デル・ブルマリア(14)

レベル  80

BP   820


―――


「やっと、やっと終わったのね。これで私も逝けるわ……」

「お嬢様ぁぁぁぁ!?」


おっと、忘れるところだったぜ。


「ドロップアイテムの回収は任せたぞ」


ただでレベルアップさせてやったんだ。そのくらいは働いてもらわんとな。


「「……」」


返事はねぇけどその辺に転がっている石を拾い始めたからヨシ!


閲覧ありがとうございました。


令嬢=サンも順調に強くなってますね(目逸らし)


一応次のお話で一章にあたる部分が終了する予定です。



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― 新着の感想 ―
[一言] 思考停止ってな、大抵は悪い方に進むんだが 時と場合によっちゃ便利なんだよ
[一言] ザイヤ式修行法恐るべしw 貧弱だった令嬢があっという間にマッチョ令嬢にw ブルワーカーやってる場合じゃねぇ!w
[良い点] ーーーこれが、デコピン一つで並み居る騎士たちを薙ぎ倒す、ゴリラ令嬢の誕生であった……(捏造
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