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黒幕

登場人物紹介

・赤松 レイ(演:獄卒)

川口と由美の彼氏だった男を模した獄卒。

今回はほぼ彼目線で進行される。


・近藤 由美

かつていた世界におけるいじめられっ子、川口のとしての毎日を忠実に体験している。

激しすぎる虐めが彼女を襲う。


・川口?

この世界では由美と入れ替わりで、かつていた世界における由美のポジションについている。

かつていた世界ではいじめられっ子だったが、こちらでは残酷ないじめっ子。


・マスター

地獄の創造主。

終盤は彼目線で進行。

俺は赤松……赤松 レイ。


いや、正確には赤松 レイという男を演じている者だ。


何故、演じているか?


なんでも直属の獄卒長が近藤 由美の罪を早く浄化したいとかで、そのためには過去の罪と向き合うことが重要だとよ。


そこで獄卒長は思い切ってあ(・)る(・)人(・)物(・)の記憶領域から複写した世界に近藤 由美を引き込んだとか…


ただ記憶領域から世界を創ったところで、魂のある生き物までは再現不可だったんだ。 ということでそこを補うために我々獄卒、特に人を化かすのが上手な俺ら幻魔族が記憶の中の人物に扮していたわけだ。


そんなわけで俺は今、己の役に従い、赤松 レイとして今日も陰からひっそりと、彼女である近藤 由美の様子を眺めている。


今から俺が見せるのは獄卒としての俺ではなく、元の世界におけるいじめられっ子の川口を演じる、近藤 由美の彼氏としての日常だ。


ちなみに演じている者として、初めに感想だけ述べておく。 この赤松という男はどうしようもない変態だ……。 だからこれから赤松が見せる変態的な嗜好は俺のものではないことを理解してほしい……。


おっと……丁度、赤松 レイとして活動する時間だ。


———


「いぎっ、痛い痛いイタイぃぃァァ!」


近藤さんは今日も皆にいじめられている。


はぁ……はぁ……近藤さん……今日も君の悲鳴は最高だ。 悲鳴だけじゃないぞ、涙でくしゃくしゃになった顔も素敵だ。 もっと、もっと悲鳴を上げてくれ……。


しかしまぁ、計画がここまで上手くいくとは思わなかった。


俺の元カノの川口なんだが、付き合ったのはあいつから告白されてなんとなくオッケーしたのがキッカケだ。 しかし悲しいかな、あいつは気が強くて煩くて強引だ。 しかも上田や三木といったヤンキーと連んでいるときた……。


俺は主導権を握りたい、出来れば少し意地悪をしたいと考える歪んだ性癖を持っていた。 川口は俺が支配するにはちょーっと強すぎる。


つーわけで別れることにした。


でも相手はヤンキーを従える女だ。 無理に別れると何されるかわかったもんじゃない……。


そんな時、閃いた!


俺が大人しそうな別の女と付き合えば、川口の怒りはそいつに向けられて、俺は無傷で別れられるんじゃないだろうかってな。


あわよくば、その子が川口から虐められる様子を見られるかもと思った。


ということで俺は条件に合う子を探した結果、近藤さんに目をつけたわけだ。


そして俺は今日も近藤さんが無様に虐められる様を見て、忘れないようにメモだってしている。


———


放課後……。


俺は毎日放課後に近藤さんに会いにいく。


「いたた……、あっ! 赤松君、ゴメンね……今日も帰るの遅くなっちゃったよぉ……」


「俺なら大丈夫だよ。 それより君はどうなんだ? 今日もボロボロじゃないか……。 ほら、肩を貸すから一緒に帰ろうぜ?」


「あ、ありがとう……赤松君……」


いつも彼女はボロボロだ。 川口から何かに理由をつけて虐められているからだ。 だから彼氏として近藤さんを心配して駆けつける。


ん? 彼氏なら身体を張って守れ?


はっ、冗談じゃねぇ……。


俺が近藤さんと付き合っているのは、さっき述べた通り、元カノの川口から離れることと、そして嫉妬に狂った川口に虐められている近藤さんを見たいからだ。 それに川口に歯向かうってことは、その取り巻きも敵に回すってことだ。 そんな危険なこと、わざわざするわけないじゃん。


「さっ、今日も俺ん家で少し休んで行きなよ。 手当てをするからさ……」


「うん……」


こうして、俺は近藤さんと共に下校した。


———


20分後……。


「お茶、持ってきたから好きに飲んでくれよな」


「……ありがと」


近藤さんはお茶を飲み一息つく。


さて、ここからがお楽しみの時間だ。


ただし、同じ屋根の下で男女が二人きりという状況だが俺は紳士だから手を出さない。


てか、実は俺はそういう事には一切興味はない。


じゃ、何を楽しむのか? 一緒にゲームでもして遊ぶ? 違う違う。


「近藤さん、今日も辛そうな顔してるね……。 今日も話、聞くよ?」


俺の楽しみ、それは近藤さんの愚痴を聞くことだ。


愚痴を聞いて何が楽しいと思う。 まぁ、普通はそうだよな。


嗜虐的な嗜好を持つ俺は、かわいい女子が虐められているシチュエーションそのものが大好物だ。 つまりいじめられっ子である近藤さんの愚痴も俺にとっては非常に美味しいものとなる。


いつも、彼女が虐められている様子は陰ながら楽しんでいるが、本人の口の生の声を聞くのは一味違うからね。


今日の話はなんだろうな、体育の時間にお尻に火をつけられてタイヤ引きをさせられていた話だろうか……。 それとも顔のパーツをバラバラにされて、福笑いに使われていた話かな? はたまたは口から水を大量に飲まされて、お腹がたぽたぽになった話かな?


どの話でも俺にとっては美味しいぞ……。


さ、近藤さんが口を開く……。


ドキドキ……はぁ……はぁ……。


心臓の鼓動、そして鼻息がどんどん荒くなる。 さぁ、聞かせておくれ、君の地獄のような日常を……、さぁ、さぁ、さぁ!


「…………あのね、赤松君」


「うん、何かな?」


チッ、焦らしやがって……。 ってダメだぞ、俺! 我慢だ我慢……。


「別れよ?」


ゑ?


え? エ?


??????


「えっ?」


えーっ!!!


「ど、どういう事かな? いきなり別れたいなんて……。 ははっ、ドッキリか、何かかな? 近藤さんも意地が悪いなぁ……」


俺は動揺を隠せない。 聞き間違い、そうあって欲しかったが……。


「別れて!!!」


はぁぁぁ! 何、どゆこと?


「えっ、マジ……随分唐突ね。 ホントに言ってる?」


「言ってるでしょ、別れてよっ! 私、もう赤松君とは付き合えない! 大体、私が川口さんから目を付けられた理由知ってるよね? 赤松君が元カノの川口さんを振って私と付き合ったからだよ? 川口さんいつも言ってるの、私が赤松君を奪った泥棒猫だって……。 もう嫌なんだ、虐められるの……。だから、ゴメン! 私と別れてよっ!」


「ちょっ……落ち着いて。 わかった、君が辛い思いをしているのは知ってる。 でも別れるってのは急すぎるよ。 別れる前に二人で考えよ? これしきの障害なんさ二人で乗り越えようぜ? 大丈夫、俺は君の味方なんだから……」


「ダメだよ赤松君……。 もうダメなんだよ。 私、もう身体も心もボロボロなの……我慢の限界なの。 今、赤松君は私の味方だって言ったけど、全然私を庇ったりはしてくれないよね? それに知ってるんだよ? 私が虐められている時、陰で見ているよね? しかも鼻息を荒くして……」


「それは……」


「後、気のせいかもしれないけど、いつも私がいじめについて赤松君に話をしている時、赤松君は私に同調や共感、同情なんて気もなく、鼻息荒くして興奮してたよね?」


「ぐぅ……」


「否定しないんだね。 てことはホントに興奮してたんだ……。 この、変態! 最低! 女の子が虐められている姿を見て喜ぶなんて異常よ! もう付き合い切れない……。 赤松君とは、これっきりだね」


「ま、まっt……」


「さようなら……」


バタン……。


近藤さんは俺の声を遮り、一方的に別れを告げ、俺の部屋から出て行った……。


チッ、勝手にしろ……。


せっかく妄想の供給源になってたのに残念だぜ。


まぁ、いいや。 今までの話、十分全部メモにとってたし、そろそろ始めるかな。


俺は今までの近藤さんの話をもとに、自給自足自己満足の小説を書き始めた……。


「ふひっ、ふひひ……近藤さん、近藤さん……君とはお別れだけど、俺の中の君はこれから俺の物語の中で永遠に可愛がってあげるからね……はぁ……はぁ、ふふふ、ぐふふふふ……」


———


〜現実世界・とある高層ビルの上層部にある機械室


「マスター、メインスレイブ02の損傷が酷く再利用は不可能です」


……獄卒長セコンドは我が強い奴だから仕方ないか。 まぁ……04(獄卒長シィ)から08(獄卒長ハチ)の魂の掌握に成功してるし御の字だ。


それより問題はこの世界の主役、近藤 由美の行方だ。


「近藤 由美の所在、現ステータスの詳細は未だ不明。 彼女を連れ去った獄卒長ファスト及びその協力者、獄卒長サアドの所在も不明……、引き続き操作を続けます」


はぁ、せっかく万端の準備に、沢山の生贄、更に俺の寿命の9割を捧げて超常現象(バグ)を発動させて近藤 由美を虐めるだけの異世界を創ったってのに、その下地になった異世界の住人による抵抗がここまで強いとは……くそっ!


「仕方がない、手中に収めた04(獄卒総長フォース)から08(地獄大将エイス)を動かして奴らを捕らえてやる……零、さっそく手配しろ」


「了解致しました」


零は俺の命令を受けて、異世界の奥へ姿を消した。


どいつもこいつも無能で困る。 零……いや、赤松 レイ、お前とて役に立たないようなら消してやる。

設定は思いつきなのでとっ散らかっています。

すみません……。


補足

・マスター

大量の生贄と自身の魂を引き換えに、とある手順で超常現象(バグ)を引き起こし、地獄を創造した男。

地獄王の零を従える。


・零

名ばかりの地獄王。 実態はマスターの傀儡。

赤松 レイを使って生み出された存在。

地獄がマスターではなく零の世界なのは、この地獄を構成する概念になったものに、彼の妄想の内容が使われたから……。


・メインスレイブ01から08

地獄の下地にされた異世界の支配者達。

普通の住人と違い、存在が強すぎるため、マスターの完全な支配下にはならなかった。

地獄と異世界を統合する際に、名前と獄卒長の肩書を与えられ、地獄王零の配下という記憶を植え付けられた。

一度死んだ04から08は、魂だけになっていた所を改造、再利用され、零の完全な配下になった。

02は元々の存在が強すぎるで再利用不可。 01(獄卒長ファスト)と03(獄卒長サアド)はこの世界の異変に気づき、偽りの王である零に抵抗している。


・肩書き

肩書きは絶対。 肩書きの序列を決めるのはマスター。

肩書きが下の者は如何なる手段を用いても上の者に直接戦闘で勝つことは不可能。


・近藤 由美

この地獄の中心人物。

この地獄が創造時に設定された「彼女の罪を裁く場所」という概念を持つ限り、地獄の支配権は地獄王零及びそのマスターにある。


・超常現象(バグ)

特定の人物が特定の場所で特定の行動を取ることで引き起こされる奇跡のようなもの。


・地獄

マスターが創った異世界。

適当な異世界を赤松 レイの妄想で塗りたくった世界。

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