ドキドキ告白タイムです
登場人物紹介
・近藤 由美
元の世界に帰って喜んでいたら、なぜか殺された哀れな少女。
ここでの彼女の立ち位置は……?
・赤松君?
前回由美の胸を貫いた男子中学生。
元カレなのに、何故か他人行儀なのは一体?
・川口?
由美がいじめ倒した女子。
この世界における彼女は……?
う……うぅ、あれ? 私、一体何をしてた?
私は学校のグラウンドの真ん中で目覚めた。
「よいしょっ……」
身体を起こし、服やスカートについた砂をはらう。 それにしてもなんで私はこんなところで寝て……。
あっ、そうそうさっき赤松君に告白されて……それから……。
さっきまでの出来事を思い出しかけたその時。
ズキッ!!
「っ!?」
胸の辺りからとんでもない激痛が走る。
「痛い、痛い痛い痛いぃぃぃ!」
あまりの激痛に起こしたばかりの身体はバランスを崩し倒れ込んでしまう。
あぁ……そうだった。 思い出した。
私はさっき赤松君に……。
「近藤さん?」
「赤松君……」
否!
「サッキ ノ ヘンジ ハヤク キカセテ クレヨ」
赤松君のふりをした化け物に胸を貫かれて殺されたのだった!
えっ、じゃあどういうこと? ここはやっぱり元の世界なんかじゃない? もしかして、これも地獄の刑罰の一環っていうの?
ふざけてる、馬鹿にしてる、弄んでいる!
今の私にとって、このぬか喜びがどれ程傷つくものと思ってるの? そりゃあ、ここに堕ちた元々の原因は私が川口をいじめ倒したからだけどさ……。
でも、おかしいじゃん。
いじめっつっても犯罪を犯したわけじゃないじゃん、悪いことをしたけど、私より極悪人なんてこの世に腐るほどのさばっている。
なのに……なのになんで……なんで私がここまで悲惨な目に遭わないといけないの?
私はどうやったら許されるって言うのよ!
神様が、いやこの地獄で私の苦しんでいる様を見てる奴が居るなら教えてよ、なんでもするからこの地獄から抜け出す方法を……。
教えなさいよっ!
「あああぁぁぁぁぁ!」
頭をボリボリ掻きむしりながら、天に向かって吼えたその時……。
ズボッ!!!
私の返事を待っていた赤松もどきの腕が私の腹を貫いた。
———
「う、う……うぐっ……」
この偽物の世界に来て早くも私は二回目の死を迎え、今三度目の生が始まる。
とりあえず、身体を起こし、さっきと同じく砂を払う。
死ぬ直前まで発狂状態にあったが今は不思議なくらい冷静だ。
多分、殺されることで精神状態もリセットされたのかも……。
ということは今私の前に居るのは……。
「コンドウ サン オレ ハ キミ ガ スキ ダ ツキアッテ クダサイ オネガイシマス」
赤松もどき……。
彼はもう私に正体を隠すつもりもないのだろう。 その姿は既に人間の姿ではない。 今のコイツは化けるのも面倒なのか子供の書いた落書きのような姿……。
もう、赤松君の要素なんて一ミリも残ってないけど、利便場、癪だけど赤松もどきと心の中では呼ぶことにした。
さて、私はどうしたらいいものか……。
はっ!?
そういえば私は二回死んだよね。 なのに同じ場所にこうして居続けている。
ここが元の世界と違うのは間違いないけど、今までの地獄とも違う。 この違いが何なのかイマイチピンとかないけど、もしかすると地獄を抜け出すヒントになるのかも……。
あと、さっきからこの赤松もどきは私を殺した後も変わらず同じことを聞いてくるわね。 そしてここに来てからの死因はコイツの告白に答えなかったのが原因。
だから生きて先に進むためには、とりあえずコイツの告白に答えるべき。
私としてはこんな奴の告白なんて断ってやりたいけど、多分これは選択ミス。 なら不本意だけど……。
「ありがとう、私も嬉しい……」
コイツの告白を受け入れる!
…………どうだ?
「アリガ……ありがとう、近藤さん。 これからもよろしくお願いします!」
赤松もどきの反応が返ってくるまで2.86秒。 でも私にはこの少しの空き時間さえ緊張のせいで長く感じられた。 だって、間違った解答だとまた殺されかねないし……。
でも、大丈夫みたいね。 赤松もどきの様子もなんだかまともなものに戻ったみたいだし……。
「さぁ、行こ? 赤松君。 学校に遅れちゃうよ? 」
「そうだね、急ごう!」
私は赤松君のフリをした化け物と共に学校に向かった。
今回の告白……別の意味でドキドキしたわ……。 出来れば二度とこんな告白はゴメンだね。 本当に心臓に悪いんだから……。
———
学校到着……。
赤松もどきはクラスが違うので途中で別れ、私は自分のクラスに向かう。
廊下はやけに静かだ……。
時間的にはもう二時間目に入っちゃってるのかな?
どうせ、教室の中も落書きみたいな化け物でいっぱいなんだろうなー。
ガラッ。
「おはようございます、遅れてすみません……」
なんて考えながら自分の居るクラスの教室に入る。
その中にいたものは……。
ハイ、予想的中。 クラスのみんな漏れなく化け物でしたー。
予想はしてたから驚かない。 私は何事もなかったかのようにいそいそと自分の席に着いた。
ふぅ、生きた心地がしないわ……。 だって殺されるリスクは常に付きまとうわけだしね。
『キーンコーンカーンコーン♪』
あら、二時間目終わっちゃったわね。
てことは休み時間かぁ……。 ここの化け物共と戯れたく無いし、寝ていよっと……。
机に突っ伏して寝ようとしたその時!
ガンッ!!
「キャッ!?」
化け物の中の一体が私を席ごと蹴り飛ばし、私は床に倒れこむ。
ガッ!
更に化け物は倒れていた私のポニーテールを引っ張り無理やり身体を引っ張り上げた。
「い、痛い……何よ」
「何よじゃないわよ、この泥棒猫がっ! 何人の彼氏を取ってんだよ。 ふざけんなよ、この腐れビッチがっ!」
「はぁ? どういうことよ」
化け物は私の顔を見るや否やものすごい剣幕で怒鳴りつけた。 てか、こいつ……この声は……。
「赤松君はな、私の彼氏なんだよ。 さっきメールがあったよ。 近藤さんと付き合うから別れてくれってよぉ……。 ふざけんな、なんで赤松君の告白を受け入れたんだよ。 断れよ、お前のせいで私は赤松君と別れる事になったじゃねーか! この落とし前どう付けんだよ? あぁん?」
そうだ、この声……川口だ……。
この展開、細かいセリフこそ違うけど似たようなことが前にもあった。
私が川口を初めて責め立てた時だ……。 川口が元赤松君の彼女……。
「お前、今日から私のオモチャな? わかったか?」
そうか……。
「わかったら返事しろや、オラっ!」
この世界は私と川口が入れ替わった世界なんだ……。
しばらく学校生活が続く予定となります。




