逃亡です
登場人物紹介
・近藤 由美
前回ハリガネムシを尻にねじ込まれた。
それが今後どう影響するのだろうか……。
・シークス
引き続き由美の拷問を担当。
実は身体能力は大したことない。
・フィフス
由美をリンチした地獄将。
意地が悪い。
・セブンス
前回シークスと共にいたおじいちゃん。
シークスの直属の上司にあたる。
・針金大蟲
通称ハリガネムシ。
由美の尻の中に入った、気持ち悪い生き物。
…………はっ!?
あぁ、気絶してわ……。
あのハリガネムシ、容赦なく身体の中を掘り進むものだからあまりにもの激痛にショック死するかと思ったわ……。
まぁ、ショック死して別の場所に強制転送されたほうがよかったんだけどね。
だって、今私の前に居るのは、地獄の大幹部の一人、地獄副将と呼ばれる程、強大な力を持った純粋無垢な子供。
子供の純粋さはほんと怖い。
ハリガネムシを私に仕込む時も、彼女にとってはただただ遊んでいるだけに過ぎない。 私が痛みでもがいていても、ヘンな動きをしてると笑ってたんだから……。
他の獄卒との決定的な違いは無自覚に残酷なことをやってのけるところね。
それはそうとハリガネムシはどこにいったのかしら?
あのガキ、もといシークスも姿が見えないけど、私が死んでないってことは、場所は変わってないってことよね?
…………うーん。
お腹も痛くないしハリガネムシは飽きて出て行ったのかな?
サワサワ……。
ん? スカートの中に違和感があるような……。
ゴソゴソ……。
「キャァァァー!?」
つい驚いて叫んじゃった。
というのも、私のお尻の穴からニュルリと尻尾? が出ている。
あの感触は……そう、あのハリガネムシ。
このっ……気持ち悪いのよっ!
グイグイと引っ張ってみるが、完全に私の身体に同化していて引っ張り出すことができない。
「ハリガネムシはお姉ちゃんと合体しちゃったよー、無理に引き剥がすと身体の中がぐちゃぐちゃになっちゃうから気をつけるんだよ」
シークスはいつのまにか背後で無邪気に笑っていた。
で、このクソガキはこれから何をするのかしら……。 逃げられる気があまりしないけど、あいつのじいちゃん、地獄将セブンスが出てくる気配もない。 このまま黙ってやられるのも癪だし……。
……よしっ!
「逃げるっ」
ちなみに今の私は脚がものすごく早い。 何度か話したことだけど一応説明しておくと、私の脚は一度走り出すとまるで渦巻きのように下半身全体が回転して、速度は高速道路を走る自動車並みになる! 時速で言えば大体80キロから90キロ当たりかな?
だからワンチャンあるかなーと毎回わずかな可能性にかけて少しでも逃げられる時は逃げる!
私は利き足で地面を蹴って、勢いよく飛び出す。
一瞬でシークスとの距離が離れる。
地獄の大幹部らしいけど、あいつは今までの獄卒達と違ってガキだ。 見た目通りなら身体能力もたかがしれてる。
つまり、今回は逃げられるって寸法よーっ!
逃げる逃げるひたすら逃げる! 念には念を、脚を更に高速回転させ、前に一心不乱にかける。
たとえ前が壁でも、ちょっと気合いを入れてー!
「ふんぬーっ!」
高速で回転する私の脚は、そのまま勢いよく崖を垂直に登る。
シークスが追ってくる気配はない。 それでも、まだ私はそのまま更に高く高く……。
あれ、逃げ切るどころか、このまま登れば地獄から脱出できる?
だって、そもそものだよ? 私は地獄に堕ちる時、穴に捨てられる形で落ちてきたわ。
つまり、上に登ればー
地上に戻れるかも! なんでこんな簡単なことを見落としてたのかな。 私ってドジっ子ね♪
ん? 崖の上に誰かいる!?
「やれやれ、こんなところまで登って」
その誰かは上から私を見下ろして……ってこのままじゃー
「ちょっ、このままじゃぶつかるー! そこの人、どいてぇ!」
ゲシッ!
「キャァー!?」
崖の上の誰かは、私と接触する瞬間に思い切り私の脚を蹴り飛ばす。
私はようやく崖を登りきったというところで、バランスを崩し、後ろに身体が倒れる。
当然、崖の下へと真っ逆さまに……。
崖の上に居たあいつは落下する私の姿を嘲笑っている。
姿はよく見えなかったけど、さっき聞いた声、あれは……。
前に私をリンチした地獄将フィフス……。
———
「…………!?」
あれ、私は……ん、前が見えない?
それより誰かがこっちに来る気配が……。
それより身体が動かない、いや下半身は動くぞ?
それになんだか土の匂いが……。
わかった! 私は今、埋まってるんだ!
あの後、頭から落ちてそのまま地面に埋まったのね。
身体は逆さに腰から下だけ地面から出ている感じ?
いわゆる犬神家的な……。
ガシッ!
ひっ、脚を掴まれた!
「よいしょ、よいしょっとー」
痛い痛い、無理やり脚をひっぱらないでー!?
そしてこの声、シークス!
崖から落ちたとはいえ、あれだけ距離を突き放したにもかかわらず私を探し当てるなんて……。
「苦戦しとるようじゃな? シークスや?」
これまた聞いたことがある声だ。 このいかにも老人といった掠れた声の持ち主は……。
「あっ、おじいちゃん!」
最悪のタイミングで現れたわね、地獄将セブンス!
「どれ、ワシに任せてみなさい、ふんぬー!」
ギャッ、痛いー! 身体が千切れるぅぅぅ!!!
スポンッ!
「あっ!」
さっきまで目の前が真っ暗だったのが一転、今は地獄の薄暗い空がハッキリ見える。
あぁ、とりあえず引っこ抜かれたみたい。
ガンッ!
「いたっ!」
引っこ抜かれた勢いで、吹き飛ばされた私は近くにあった岩にぶつかる。
「やったー、抜けたんだよー」
「ホッホッホ、ワシは力持ちじゃからな。 小娘を引っこ抜くくらい朝飯前じゃよ」
「おじいちゃん、ありがとー」
「いいってもんじゃ。 それよりシークス、これから小娘と何をして遊ぶのじゃ?」
「それはねぇ……」
ポチッ。
シークスが、いつの間にか手に持っていた小さな装置、その装置が起動される。
すると……。
「くっ……んっ! 身体が……あぁ、動かない!」
全身がピンと伸び、身体がそのまま硬直してしまった。
「ふふふー、この装置はハリガネムシをコントロールする装置なんだよ? ハリガネムシはお姉ちゃんに寄生してるよね? そのハリガネムシを自由に動かせるってことは……」
「私の身体を……」
「えへへ、私がお姉ちゃんの身体を自由に操れるんだよっ」
「そんなぁ……いや、助けて……」
私の身体は完全に乗っ取られてしまう。 シークスの無邪気な笑顔、嫌な予感しかしない……。
これから私はどうなっちゃうのーっ!
引き続きハリガネムシが入った状態で続きます。




