〜STORY 81 5月24日 〜
5月も終盤に入り、季節は春から夏へと変わり始める梅雨へと変わっていく
この日も朝から雨が降り注いでしまい空はどんよりと暗く曇ってしまっている
西海大学2年の葵は大学の講堂の一番端の後方の席から窓越しに雨が降り注ぐ光景を眺めていた
葵はチラリと周囲を見てみると真面目に講義を受けている生徒はもちろんいるが葵同様ボーッとしている者や教授の目を盗み携帯をいじっている生徒もチラホラいた
「(真面目に受ける気がないのならわざわざ講義なんて出なくてもいいものを…)」
葵はボーッとはしてはいるもののノートはきっちり取っており復習しやすいよう丁寧に纏められている
成績維持の為に時間を掛けず必要な物のみまとめている為、友達の陽子はノートを取らず葵のノートを借りているので基本陽子は葵と同じ講義は寝ているのだ
「…………【ZZZ ZZZ】」
「…………」
そしてこの講義も陽子は涎を垂らして爆睡していた
どの席に座っても構わないのだが陽子は同じ講義のときは必ず葵の席に座る
その方が先生の目からも逃れやすくなる上に万が一当てられた時起こしてもらえると一石二鳥だと陽子は自負している
「(はぁ…最近は優くんとも出掛けられていないし久々にどこかに誘おうかしら…勉強だけの関係には絶対になりたくないし……)」
頬に手をつきペンをクルクルと回しながら葵は物思いにふける
最近は優希の予定と葵の予定がまるで噛み合わず会えても家庭教師の時間のみとなってしまっている
それだけでも不安になる上に優希の言葉が更に葵の不安の火を焚きつけてくる
優希の話には決まって葵以外の女性の話が出てくる
クラスメート 幼馴染 バイトの先輩 極め付けに母親に妹
「(クラスメートの話も決まった生徒だけだし…しかも……)」
見せてもらう女性は皆可愛くて陽子に見せると「レベル高すぎない!?」と驚いていた
「(はぁ……もっと会いたいなぁ。このまま何も進展しないで優くんを誰かに取られるのだけは絶対に嫌だなぁ…)」
優希が自分以外の子と手を繋ぎ仲睦まじくしている姿を想像し葵は苛つき始めてしまい、気分が悪くなってしまったので優希と仲良くしている女の子を自分に置き換えてみることにした
見つめあいながらお互い食べさせ合い優希の頬っぺたについたご飯を葵が口で取ると優希は顔を真っ赤にして照れる姿を存分に堪能する光景が脳裏によぎってきた
「……さん…………どうさん」
次に浮かんできたのは二人で温泉旅館に泊まり込む光景だった
お互い浴衣を羽織り、旅館の料理や娯楽を二人きりで楽しむ
そして優希一人で旅館の温泉に入っていた所で葵がこっそり忍び込み驚かせる
葵に気づいた優希は単純にびっくりしたのとバスタオル姿という葵の露出満点の姿に驚くという通常の何倍もの驚きに失神する所だった
そしていよいよ布団にはいr……
「藤堂さん!!」
「【ビクゥ!】は、はい!!」
突然真横から呼ばれ脳内を即座に覚醒させると葵はそのまま勢いよく立ち上がった
講堂内は静まりかえり生徒全員が葵を見ていた(陽子は笑いを堪えるのに必死だった)
「んん!まぁね、講義は退屈になっちゃうけどね、少しは集中しようね」
静まりかえった講堂が一気に騒がしくなってしまい葵は妄想で見た優希の赤面と同じくらい真っ赤になった
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