表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男女比1:1000の世界でも野球観戦がしたい  作者: げんずむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/78

第43話 動画投稿の波紋

真田スズメーズが勝った。

スコアは1-0。

26連敗を止める見事な勝利だった。


長尾は守備型のチームだったがソロホームランに泣いたな。


投手戦にありがちな負け方だ。

スズメーズベンチは大賑わいでこちらに手を振りつつ万歳三唱をしている。

あ、胴上げが始まった。

優勝したのかな?

凄い喜びようだった。


一方長尾ベンチはお通夜のような雰囲気だった。

まあ真田が2安打しか打ててないのに負けるとは思わなかっただろうなあ。

ちなみに長尾は12安打打ってるのに0得点である。

噛み合わない日ってこんなもんなんだが、それでもキツイだろうな。


「今日はスズメーズvsメジロスラッシャーズの試合。今日はスズメーズが1対0で勝利。皆様ありがとうございましたー」


ラジオ放送が終わった。やり切った。2時間半くらい喋りまくった。

いやー 疲れた疲れた。ただちょっと喋り過ぎたな。やっぱりノムさんにはまだまだ及ばない。当然ではあるのだが。


「それでは今日はお疲れ様でした!初めての解説楽しかったです!動画の方も締めますか?」

「も、もうちょっとだけ!!もうちょっとだけお喋りしませんか!?」


実況の人が粘ろうとしてくる。


「俺は別に構いませんけど」

「あ、ありがとうございます!」


というわけで斎藤さんと実況の宇佐美さんとしばらくお喋りをしていた。

気が付くと周りの観客もこっちに寄ってきて話を聞いている。

菊花は早く帰りたそうにしていたが黙って護衛を続けてくれた。

菊花には毎回迷惑をおかけして申し訳ない。


それからさらに一時間は喋り続けてその日は終わった。

生放送のコメント欄も見せてもらったが、皆喜んでくれたようで何よりだった。

俺なんかの喋りでこれだけ喜んでくれるならいくらでも喋るぞ。


「あー・・・腹減ったー・・・」

「お疲れ様でしたご主人。それじゃあ我々は・・・」

「こ、これから夕食に行きませんか!?ホテルのレストランがまだやってると思いますので!」


めっちゃ粘ってくるやん斎藤さん。


「あはは・・・ ちょっと夜も遅いのでもう帰りたいと思います。申し訳ありません」


ちょっと行ってもいいかな?って思ったけど菊花に目で止められた。

長尾の方と別れて諏訪スタを出るともう22時を過ぎていた。

空には満天の星空が広がっている。

この辺は一応繁華街なんだが、やはり星がよく見える。まだまだ諏訪は田舎なんだと実感する。夜風が心地いいがやや肌寒い。もう9月か。西宮の9月は暑いくらいなんだがやはりここは諏訪なんだな。


「ご主人はいくらなんでも女性に対して優し過ぎますよ?今日なんて向こうの要望全部聞いてたじゃないですか。もっと自分の意志を持ってNo!と言えるようにしてくだい」

「そんなこと言われてもなあ・・・」

「そんな態度だと女はドンドン調子に乗っていきますよ!いいですかご主人!大体ご主人は・・・」


菊花の愚痴を聞きながら帰り道を歩く。そういえば斎藤さんから今日の出演料を電子マネーで払っておくって言われて連絡先を交換したんだった。

振り込み履歴を見る。


+500,000円 サイトウ


「・・・・・・・・・・・・」


だから高いんだって!

なんか値段がドンドン上がってるし。

慌てて斎藤さんに連絡を取ってみたが、ラジオ解説+動画配信でこれくらいの価格らしい。動画配信の投げ銭だけでも十分利益は出ているとのことなのでありがたく頂戴する。

お金もちょっと溜まってきたな。

ちなみに大豊家には生活費をちゃんと渡している。伊月さんには断られたが、これだけは断固として譲るつもりはなかった。


思えば右も左も分からなかった俺に大豊親子は本当に優しく、まるで自分の息子のように俺の面倒をみてくれた。俺はまだ全然恩を返すことができていない。

俺に何かできることはあるだろうか?


「ただいまー」


ガラガラと蕎麦屋の引き戸を開ける。この家に入るときに「ただいま」と言うのにもすっかり慣れた。もうこの家は第二の実家と言ってもいいだろう。


「あら拓真さんおかえりなさい」

「拓真君お帰り・・。動画見てたよ?」

「そうか?なんか変なこと言ってなかったか俺?」

「そんなことないわよ。拓真君の解説とっても分かりやすかったわ」


美月と伊月さんが褒めてくれた。

そしてわざわざ俺と菊花のために晩御飯を用意してくれる。

ありがたい。今日も山盛りご飯を用意してくれた。


「拓真君が一杯食べてくれるから作り甲斐があって嬉しいわ」

「すみません・・・食べる量多くて・・・」

「いいのよ。美月ちゃんも一杯食べるからね」

「お、お母さん・・・!」


ちなみに美月は俺のことを待っていてくれたらしい。

一緒に晩御飯を食べる。

今日のメニューは唐揚げ。唐揚げがちゃんとこちらの日本にもあって安心した。


「美月は身体が大きいからな」


一杯食べるのも当然だろう。伊月さんも身体は小さいがそこそこ食べる。恐らく栄養は全て胸の100cmに吸収されているのだろう。伊月さんの年齢はもう30歳を越えているのだが本当に若々しい。子供を産んだなんて信じられないな。


「一杯食べる子はイヤ・・?」

「そんなことないぞ。今日も一杯練習したんだろ?」

「うん・・・大変だった」


ちなみに野球部の練習には時々お邪魔させてもらっている。千幸様からは高校に通わないか?と誘われたが流石にそれは断った。中身オッサンが女子高校生に混ざって上手く生活する自信が無い。記憶喪失の年齢不詳だし。


「練習頑張ろうな!俺も今度行くから。高校卒業しても野球は続けるんだろ?」

「うん・・・そのつもり」



プルルルル

プルルルル


電話が来た。画面には黒田圭と出ている。


『やっほータク!動画見てたよー!もー!長尾とあんなに仲良くしちゃって!』


圭はプンプンしていた。


「ラジオ解説どうだった?」

『よかったよー!タクあんな細かいところまでよく見てるねー!山本さんの球種なんて投げる前に全部当てるじゃん!』

「山本さんの構えのクセめっちゃ目立つからな」


あんなの一目見て分かる。今まで誰にも指摘されなかった理由が分からないくらいだ。


「それで感想を言うために電話してきたのか?」

『違う違う!さっき諏訪大社の動画アップロードしたんだよ!再生数はまだ少ないけどきっとそのうち伸びるよー!』

「おお!」


それは楽しみだ。圭に貰ったアドレスから飛んで動画を観る。


「ほー あの動画がこんな風になるんですねえ」

「菊花も出ればよかったのに」

「イヤですよ。護衛が目立ってどうするんですか」


動画は結構本格的に編集されていて、音楽とかテロップとかかなり気合が入っていた。黒田の編集担当が頑張ってくれたんだろう。


「おおー・・・ 結構本格的だな?」

「うん・・拓真君かっこいい」


そうか・・?

ちなみに再生数はまだ30ほど。だがコメントはすでに7件も来ていていずれも好印象のようだった。


「よーしこの動画がどんだけ伸びてくれるか楽しみだな!また次の動画も撮りに行くぞー!」

『おー!』


再び気合いを入れる俺達だった。






なお次の朝に動画を観たら再生数は25万くらいになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ