第7話 無言電話
白衣の女は携帯電話を躊躇いながら手に取った。
「はい、わたしです」
「あれは、どうなったの」
「もうすぐです」
「あなたのもう直ぐは聞き飽きたわ。結果を早く教えて」
「今は、まだお伝えできません」
「明日、電話するわ」
「はい、沙月さま、ありがとうございます」
電話が切れたあと、女は洗面所に駈込み鏡に向かって大声で吠えた。
「絶対、後悔させるわよ! 」
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千年ビルを千鶴と優は夜間通用口から出た。
セキュリティ扉を通過して車庫に通じる薄暗い通路。
突然、警備が2人を呼び止めた。
「このエリアは身分証の提示が必要です」
如月優と未来千鶴は携帯電話の身分証を警備に提示した。
「ありがとうございます。お通りください」
優は無言で会釈して素通りする。
「千鶴さん、今はビルのセキュリティが厳しくなっているのですまない」
「優さんの性じゃないわ。気にしないで」
2人は地下の車庫に到着した。
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白いスポーツカーから女が降りて優に近付いた。
「優さん、この少女は」
「この女性は私のーー 」
優が言い掛けた時、千鶴が遮った。
「私は優の婚約者の千鶴です」
優は心の中の気不味さにを隠そうと苦笑いを浮かべた。
女が千鶴に言った。
「わたしは如月碧社長の秘書です。今日はお2人を案内するように言われています」
「秘書さん、ありがとうございます」
「じゃあ、この車に乗ってください」
優が千鶴に説明した。
「彼女はプロドライバーのライセンスを持っているから安心ですよ」
優もプロドライバーライセンスを所有している。
「優さん、社長から自宅へ案内するように言われています」
優は千鶴を見て言った。
「千鶴さんは」
「私は問題ありません」
15分後、如月邸の車庫に到着した。
邸宅の周囲に警備数人が常駐していた。
秘書は2人を連れ如月邸に入った。
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黒い車が追って来ていたことを知らない3人だった。
車内の男が電話を取った。
「はい、私です。順調です」
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如月碧は胸騒ぎを覚えて優に連絡を入れた。
「あっ、姉さん、もう自宅に着いたよ」
「優、今日は母屋にいて、離れは良くないわ」
「姉さんの占い、当たるから注意するよ」
「私も今夜、そっちに巫女を数人連れて行くわ」
「分かった。千鶴さんと待っている」
優は碧の電話を切り胸騒ぎを感じていた。
姉の電話がある時って何かが起こるからだった。
[偶然かも知れない]
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メロディが千鶴の脳裡に響いていた。
[未来へ続く]
「優さん、聞こえたわ。メロディが」
「また同じ歌詞」
「多分、初めて聞く歌詞」
「何も起こらないといいね」
「うん」
「テレビでも見てみる」
「テレビより映画がいいわ」
「どんなの」
「ラブコメみたいなのがいいわ」
「じゃあ、ここで選んで」
「ありがとう。優さん」
「俺はお茶をお願いしてくるね」
優がキッチンに行ったあと、知らない家政婦2人がダイニングに紅茶とケーキを運んで来た。
秘書は玄関横の執事室で仕事していた。
ダイニングの優と千鶴は軽食のあと眠りに落ちた。
千鶴は夢の中で優を呼んだが返事がない。
聞こえるのはメロディだけだった。
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未来財閥ビル会長室の電話が鳴った。
会長秘書が電話を取る。
「会長、未来女学園教頭と言っています」
「御坂かな」
「いいえ、男の声で教頭とだけ言っています」
「教頭に男はいない。断って」
秘書は会長が出れないと男に伝えた。
「会長、千鶴お嬢様の件と言っています」
未来会長は秘書から電話を受け取った。
「あなた誰ですか?娘に用事ですか」
男は無言で電話を切った。
千鶴の父は首を傾げ会長室のカーテンに手を掛けた。
夕日がミラーガラスに反射していた。
会長は千鶴の携帯番号を呼び出す。
[お掛けになった電話はーー ]
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三日月未来




