1/12
第一話 鎌倉の影
鎌倉、静寂の朝。
源頼朝は窓辺に立ち、遠くの海を見つめる。
波が穏やかに揺れ、鴉の声だけが響く。
心は静かだが、胸の内には複雑な思いが渦巻く。
「弟の義経が京で目立ちすぎている……」
側近の武士が進み出る。
「殿、京の動きが報告されました。義経の戦績が広まっています」
頼朝は拳を握り、冷たい視線を窓に落とす。
「功を積む者ほど危険になる……抑えるべきだ」
静寂の中、彼の胸に影が落ちる。
兄として、そして鎌倉を守る将として、義経の才能を認めつつも、危険視する複雑な心情が交錯する。
心の奥で、頼朝は決意する。
己の手で秩序を守ることを。
血を交えぬ方法はあるのか、考えを巡らせながら、重い鎌倉の朝を迎えた。




