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「雪子の地底調査」(セーラー服と雪女 第23巻)  作者: サナダムシオ


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① いつものお願い

「ねえ、ねえ〜、サン・ジェルマン伯爵ぅ。」

 猫なで声の真田雪子。

「…なんですか急に、変な声色を使って。」

 少し引き気味の伯爵。


 それは西暦1992年7月1日の、昼下がりの事だった。

 場所は、毎度お馴染みの、名護屋テレビ塔の亜空間レストラン。真田由理子と杉浦鷹志の二人が、ちょうど買い物に出かけたタイミングを、狙われた感じだった。


「いつも悪いんだけど、またアナタのシルバーのビートルを貸していただけないかしら?最近は、黒いのばっかりイジってるから、空いてるんでしょ?」

「今度は、ナニに使うんですか?」 


「過去の伝説に、例の"アラハバキ"が関わっていそうなモノを見つけたのよ。」

「…ソレを"調査"しに行くんですね?」


「そう、ソレを"退治"しに行くのよ。」

「…前から言ってますけど、お願いですから、単独行動で、無茶な事をしないで下さいよ?」


「うん、良く分かってるわ♪」

「ホントかなあ?…まあ、貸しますけどね。」

「わ〜い、ありがとう!伯爵、大好き!」


「なんか、キャラ変わってませんか?いつものクールな感じは、どうしたんですか?」

「うん、たまには由理子のマネをしてみようかなって。どうかしら?カワイイ?」


「クルマは使ってイイですから、もう二度とヤラないで下さい。」

「はーい。」


 このところ、ずっと暇だったので、久しぶりにターゲットになりそうな案件の見つけて、少々テンションが高めの雪子なのである…というか、控え目に言っても、些か情緒不安定な様子だった。


 多分、相手があの、アラハバキだからだろう。

 あの日、背中から心臓を剣でえぐられて以来、彼女はひたすら彼等を、目の敵にしているのである。無理も無い事だな。そう、サン・ジェルマンは思った。


 あの時は結局、雪村君に助けてもらってしまったから、自力で勝った気がしないのだ。彼女は、自らの手で勝利を掴み取りたいオンナなのだ。


 そのためには、地の果までも、アラハバキの残党たちを、追う気マンマンなのだろう。彼女は爬虫類族のヘビよりも、執念深いのである。


 彼等も良く考えもせずに、厄介な人物に手を出したものだな。伯爵は重ねてそう思い、一人で頷いてしまったのだった。


 そんな訳で、雪子は伯爵にクルマのキーを貰うと、いそいそと、地下駐車場のビートルのところに向かったのである。


挿絵(By みてみん)

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