第163話 別れと罰則 その一
「皆さん、これを!」
《ラデュ・オン=バーン》に勝利した事で、《ジャパニーズ》達と他の面々を遮っていた光のカーテンは無くなった。
直後、《黄金の道》のトリッシュが急いで駆け寄り、カズキと《ジャパニーズ》達にポーションを渡して回復を促した。
ただしリョウコに至っては立ってはいるが意識は朦朧としているので、トリッシュが無理矢理全身にポーションを三本程ぶっかけた。
どうやらトリッシュは、《黄金の道》が所有しているポーションの大半を、彼等の回復の為に使用してくれたようだった。
《ジャパニーズ》達が全快した事を確認すると、他の面々も彼等に近付き祝福を述べた。
《竜槍穿》のリーダー、ハリーは涙を流しながらショウマの頭をくしゃくしゃにしながら撫でる。
「やったじゃないか、凄かったぞ! ようやく、悲願が達成できたな」
「……ああ、本当にありがとうハリー」
ニーナも「おめでとう御座います」と涙ぐみながら祝福する。
ヨシュアも「寂しくなるけど、ようやく元の世界に帰れるんだね!」と喜ぶ。
《鮮血の牙》の面々も大喜びだ。
ウォーバキンはショウマと肩を組み、まるで自分の事のように「やったな、やったな」と大喜びだ。
カルラは《ジャパニーズ》の女性陣であるリョウコとチエの手を掴んで「おめでとう!」と泣きながら喜んでいる。それを見てリョウコとチエも釣られて泣いてしまい、最終的に三人抱き合っていた。
ガイ、リゥム、レイリはカズキに近寄って、それぞれが祝福の言葉を述べる。
特にレイリはカズキの剣技に惚れたようで、「もう少し早く出会って、剣技を教わりたかったです」と残念がっていた。
《烈風》のガンツも微笑み、
「気迫と強い意思の勝利だったな。おめでとう、皆」
と、短いながら祝福を送る。
リックも「よく頑張ったね!」と褒めていた。
《灼華》の面々は《ジャパニーズ》達とあまり面識がないので、祝福の輪には加わらず少し距離を置いた位置から眺めていた。
「……流れ者が初めて自分の世界に帰るという、偉業の瞬間を見れるわけだ。そんな場面に立ち会えるなんて、すげぇ光栄な事だな」
リーダーのディブロウスが呟くと、他の《灼華》のメンバーが頷く。
報酬として職業というとんでもない力も手に入れた。
今回のダンジョンアタックは、非常に実りがあるものだったし、良い経験となった。
彼等にとってはそれで充分だった。
その気持ちは《黄金の道》の三人もそうだった。
《遊戯者》のダンジョンアタックの際、傲慢な態度をしてしまった自分達にすら職業の力を与えてくれた。
それに自分達を信じて、《ジャパニーズ》達を帰還させる作戦に加えてくれた。
気持ちを入れ替えた彼等にとって、今回のダンジョンアタックは非常に良い経験となったし、連携の大切さをしっかりと感じ取れた。
「オレ達は、今回の経験を糧にしないといけねぇな」
「……だな」
ラファエルの呟きに、ゴーシュが頷く。
荊の道とも言える職業を自ら選択をした彼等の今後は、非常に厳しいものになるだろう。
だが、それでいい。
愚かな行為で失った信頼は、地道にゆっくり取り戻していく。
そして、以前の自分達より大きく飛躍して、皆に頼られる存在になりたいのだ。
「頑張ろうな」
「ああ」
ラファエルとゴーシュが拳をぶつけ合った。
さて、大きな問題が一つ残っている。
一通りの祝福を受けたショウマは、悲しそうに彼に視線を向ける。
その彼とは、エリーとカズネに号泣されながら抱き着かれ、困り果てているこの世の美を集約したと言っても過言ではない弓使い。
そして自身の窮地を、命を失う覚悟で救ってくれた、異世界の友人。
リュートだった。
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