walk on の夕暮れ 15
・・・・・・目を開けると、身動きが取れなかった。
何故。
ぼんやりとした思考の中、同じぼやけた目を凝らして―――すると、焦点は目の前のひとと結ばれた。
オーリ。
眼を閉じたオーリが、すぐ目の前にいた。
「・・・・・・」
可能な限り視線を彷徨わせる。動けないのは身体に大きなストールが巻かれているからで―――さらにその身体をオーリが抱きしめ、一緒に布団に包まっているからだった。先に眠ってしまったミユキをどうやらまずストールで包んだらしい。・・・・・・まず、自分を優先させればいいのに。
じっとその寝顔を見つめて―――可能な限りで動いて自分から身を寄せた。起こさないようにそっと動いたつもりだったが「ん・・・・・・」と掠れた声を上げオーリの目蓋がぴくりと動き、ややあってからのろのろと開けられる。
至近距離で灰色とその奥の青色の眼と眼が合った。
「・・・・・・おはよう」
「・・・・・・はよ」
まだ眠たそうなオーリだったが、起きたのなら遠慮はしない。のそのそと腕をストールの下から出してぎゅうっと抱き付いた。朝から贅沢だがしない手はない。
「・・・・・・朝から大胆ですねミユキさん・・・・・・」
「うん?」
「いや・・・・・・別にいいんだけどね。明るいし恥ずかしがるかと思ったんだけど」
「ん、恥ずかしいのは恥ずかしいよ」
まともに纏っていないんだし貧相な身体だし、恥ずかしくないわけがない。でも。
「恥ずかしいけど。・・・・・・でも、オーリだから」
「、」
「オーリだからいいの。恥ずかしさよりうれしさの方が大きいから」
だからいいの、と遠慮なく抱き付き直しているとそれ以上の力で抱きしめ返された。ミユキ以上に遠慮がなかった。
「わぷ。なに」
「・・・・・・絶対、お前は、ずるい」
「えええええ・・・・・・なにそれ・・・・・・」




