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ポメラニアン転生 〜俺が望んだのはこっちではない〜  作者: しゅーまつ


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202/228

討伐パーティー

領主邸に到着すると大歓迎を受けた。


もう船が先に着いているから結果は知っているだろうからな。



「ポンタ殿。本当にありがとうございました」


「ではこれで依頼達成ということでいいですね」


「はい。こちらが達成の書類になります」


と、書類を受け取ると報奨金が10億Gになっている。


「これ、1億Gだったでしょ?桁間違ってるよ」


「いや、あってるぞ。10億まで引き上げられてたからな」


とギルマスが補足する。


「しばらく漁が出来てなかったのにこんなに払って大丈夫なの?俺達は1億Gでいいから残りは漁師とかに補填してあげた方がいいんじゃない?生活が大変そうだよ」


「それは別に考えております。お気遣いありがとうございます」


と、いうことで10億Gももらってしまった。6人で割ると1億6千万G。あまりはソフィアの貯金にしておくことに。


「じゃあ、これで」


さようならしようとすると夕食に招待したいと言われた。王子達と一緒のかしこまった飯はもうしんどいな。


「せっかくのお誘いはありがたいのですが漁師たちから先にお誘いを受けておりまして、俺達の為にもう漁に出てくれてるんですよ」


「そうなのですか」


「申し訳ありません。また仕事の話でこちらにも伺いますのでその節には是非ご一緒させて下さい」


と、伝えてそそくさと領主邸を出たのであった。



港に行くと漁業関係者が集まって来ていて宴会の準備が始まっていた。


「主役が来たぞーっ」


「おおっーーっ!」


祭りだなこれ。


小型の船から続々と戻って来て捕れた魚を手分けしてさばいていく。俺達は見ているだけだ。


即席のバーベキューコンロがどんどん設置されていくから全部焼き物にするんだろうな。


今回はサバやサンマがある。サンマが捕れるとは僥倖だ。


脂が乗ったサバやサンマが焼きだされるとモウモウとすごい煙りが立ち込める。


「めっちゃええ匂いや。たまらんわ」


「脂の乗った魚が焼ける匂いっていいよね」


「ほら、食べな。どんどん焼けて来るからね」


ポンタはご馳走になるばかりだと悪いので日本酒の酒樽を出した。


「おっ、酒か」


「そう。柄杓とかある?」


と、柄杓を用意してもらう。そしてハンマーで鏡割りをすることに。掛け声とか教えて皆で盛り上がってもらおう。


「幽霊船討伐を祝して」


「よぉーおっ!」


バンッ


……

………


ごめん、俺の力では割れなかったよ…


恥をかいたポンタはランガスにお願いして割ってもらった。鏡割り用の酒樽は簡単に割れるようにしてあるのを忘れてたよ。


「おっ、何だよこの酒は?」


「ニッポネア酒。魚によく合うぞ」


魚をよく食べるここの人達の口にもよく合うようで好きに飲んでというとどんどんと飲んでいく。


「こいつは旨いけど小骨が結構あるんやな」


ケイトやジャガーはサンマを骨まま食べている。ソフィア用のは中骨をスポットと抜いてから小骨をとってあげるポンタ。


「あーん」


ソフィアを膝に乗せて甘やかせる。


「美味しいの」


「そうか美味しいかぁ。次はこっちだぞー」


サバを食べさせたり、エビの殻を剥いて食べさせたりしていると周りの人達がザワッとした後にシーンとなる。


ん?


「ポンタ様」


「えっ?姫様?」


目を伏せてポンタに頭を下げるロバート。


他の騎士も護衛に付いているから物々しい。


「アーロンズの夕食にいらっしゃらなかったので探しましたわ」


「姫様、こんな庶民の集まりに来ちゃダメですよ」


と軽く注意をするとシュンとする。


あーっ、もう。


「ではこちらにお座り下さい。座るところが硬いとか言わないで下さいね。あと、ここにいるのは皆庶民ですから無礼講というのもお忘れなく」


「当然ですわ」


ちょこんと隣に座るので、魚をほぐして骨を取っていく。ソフィアのと両方だから大変だ。


「そんなチマチマ食べんとこうして齧ったらええやん」


「お前と一緒にすんな。姫様の可憐な喉に骨が刺さったら大変だろうが」 


そう言うとちょっと拗ねるケイト。


「こうですの?」


やめなさい。姫様がサンマを手で持って食べるとか何事ですかと侍女が睨んでるじゃないか。


「んー、本当ですわ。とっても美味しいっ」


そう屈託なく笑った姫様に漁師たちもメロメロになった。


姫様が俺達の捕ってきた魚が旨いってよぉっ


と、漁師達の姫様人気が一気に上った。


これ、そのうち目黒のサンマみたいになるんじゃなかろうな?


「ポンタ様、あのお酒は頂けませんの?」


あのお酒とはサングリアだ。


「あのお酒で魚を食べると生臭く感じますよ」


「そうですの?ポンタ様のお飲みになられているのはお水ですの?」 


「これはニッポネア酒です。こういう焼き魚や生の魚によく合うお酒ですよ」


「ではそちらを頂いてもよろしくて?」


これはどっしりした感じの純米酒だから吟醸酒の方がいいだろうな。アルコールを抜いたらどんな味になるのだろうか?


吟醸酒の瓶を出してアルコールを落として味見をする。


水だなこれ。日本酒を試すならアルコールを減らさずにこのままの方がいいな。気持ちが悪くなれば毒消しポーションを飲ますか。


「少しアルコールが強いけど大丈夫ですか?」


「試してダメならやめておきますね」


コップしかないのでそこに少し吟醸酒を入れて試してもらう。


「あっ、美味しいですわ」


「ならもう少し入れておきますけど飲みすぎないで下さいね。ワインより少しキツイ酒になりますから」


サンマを手で齧るのは侍女が怖い顔をしているのでサバを取り分けて食べてもらう。焼き魚と吟醸酒を気に入った姫様。


「飲み過ぎですよ。少し水を飲んで下さい」


周りも樽が2つ目に入り大宴会状態だ。


そうこうしているうちにソフィアはお腹いっぱいで寝てしまった。


「ポンタ、一人で二人の世話をするのは大変だろう。ソフィアは私が抱いておくぞ」


とジャガーが言ってくれたのでお守りを交代。姫様はケイトとドラコとも仲が良くなっているのでこちらも宴会っぽくなっている。今のうちに食べておこう。


目の前の魚がなくなるとわんこそば状態に焼きたてのが運ばれてくる。ブチュブチュと脂が皮を焦がしている状態のサンマは本当に旨い。塩もしっかり効いているから醤油も不要。大根おろしとスダチが欲しいところだ。


アチアチしながらサンマを口に運び、日本酒をあおる。


「かーっ、旨いねぇ」


「サンマとかサバてめっちゃ旨いねんな」


「もう少し秋が深まるともっと脂が乗ると思うぞ」


「ほなら来月も来ようや」


「そうだな。また焼きたてを食べに来ようか。その時にたくさん仕入れて帰れば家でも食えるぞ」


「肉も焼くのじゃぞ」


「わかってるって」


「この魚はもっと美味しくなりますの?」


「おっちゃーんっ、サンマはいつ頃まで捕れんの?」


「おー、今年いっぱいまで捕れると思うぞ。そんときゃもう少しデカくなってんからよ」


「だって。寒くなったら熱燗でやるのもいいね」


「熱燗とはなんですの?」


「今飲んでるお酒を温めて飲むんですよ。おでんとか鍋とかにも旨いです」


「おでん?」


そういやおでんを作ってないな。寿司職人は練り物の作り方を知ってるかな?


「ダイコンとか魚をすり潰して揚げたものを煮た料理です。冬の食べ物ですね」


「うちの料理人も作れますの?」


「多分ご存知ないかもしれませんね。ニッポネアの料理になりますから」


「食べてみたいですわ」


「じゃあ、今度うちに招待しますよ」


と、酒の入ったポンタは姫様だということを忘れてついそう言ってしまったのだった。


「本当ですのっ」


と、手を握られる。しまったと思った時にはもう遅かった。


「え、えぇ、あの、王様のお許しが出るようなら…」


「お誘いお待ちしておりますわっ」


「あの、家は小さくはないですけど、古くて大きくもないので… その…」


「寒くなるのが楽しみなんて初めてですわっ」


もうポンタは今のは冗談ですとは言えなくなってしまったのであった。


姫様は4合、つまりウイスキー瓶ぐらい酒を飲んだけど大丈夫だろうか?


ケイト達とキャーキャー言いながら笑ってるから大丈夫かな?


ポテッ


そう思っているといきなり電池が切れたかのようにポンタに持たれ掛かって寝てしまった。


「ロバートさん」


ポンタが呼ぶまでもなく駆け寄ってくるロバートと侍女。


「ごめん、姫様がかなり飲んじゃって」


「見ておりましたからお気になさらずに」


「これ、しんどくなるようなら飲ませてあげて。二日酔いも一発で治るから。もし、かなりしんどくなってこれすら飲めないようなら呼びに来て。なんとかするから」


「はい、恐らく大丈夫だとは思います。楽しく飲んだお酒は残りませんから」


と、ロバートは言い残して姫様を抱えて船に戻って行ったのだった。



「姫様大丈夫か?」


漁師たちも心配して聞いてくる。


「飲み慣れてないのに結構飲んだからね。まぁ、大丈夫だと思うよ。すごく楽しそうだったし」


「ならいいけどよ。しかし姫様は可愛いしよく笑うし俺達とも居ても嫌な顔すらしねぇんだな。いっぺんに好きになっちまったぜ」


「そうだね。すごく楽しそうだったよね。魚も美味しいって喜んでたよ」


「かーっ、ポンタ様々だぜ。まさか王族が俺達と一緒に飯食って喜んでくれるなんてよっ。もっといけ好かない連中かと思ってたぜ」


確かに。俺もそういうイメージはあった。


アーロンズ領でオリビア姫の人気は非常に高くなり、王家へのイメージアップにも役立つのであった。


しこたま食って飲んでをして幽霊船討伐パーティーは終わり。漁師達は軽く寝てから漁に出ると言った。


「危ないじゃん、酒残ってるだろ?」


「大丈夫だって。ほら、ピンピンしてらぁっととと」


絶対に大丈夫じゃない。


「漁に出る人はここにコップを持って並んで」


と、皆を並ばせて毒消しポーションを飲ませていく。


「おっ、なんだこれは?酔いがいっぺんに冷めちまったぞ」


「これは毒消しポーション。酒が残ったまま漁にでたら危ないだろ?海に落っこちて死んでもおかしくないんだからね」


「おお、悪いな。ポーションって高いのによ」


「今飲んだのは一人10万Gだからね。これがあったら船に乗る直前まで酒が飲めるとか思わないでね」


「そんなに高ぇのかよっ」


「そう。だから酒を抜くのに飲むようなものじゃないの。今回は俺達の為にやってくれた宴会だからサービスだよ」


皆は値段を聞いて驚いていた。でもここの漁師達も仲良くなれたのでこれからも良い付き合いが出来るだろう。


漁師達の船が出たのを見計らってポンタは魔導船を収納しておいた。アーロンズにあげても良かったのだがあれはオーバーテクノロジーの船だ。アイテムボックスにしまっておくのが一番だろうと思うのであった。




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