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ポメラニアン転生 〜俺が望んだのはこっちではない〜  作者: しゅーまつ


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いざ出発

翌日に服類を買い足していく。少しでも男物みたいなタイプのやつだ。ついでに頭をすっぽりと隠せる帽子も購入。


「お前の収納魔法ってどれぐらいの量が入る?」


「どうだろうね。そこそこ入ると思うけど」


「なら水を樽で買っていくか」


「じゃあパンとか肉も買っていこう」


「パンはわかるけどよ、肉は途中で狩ればいいだろうが」


「イノシシとか鹿ってあんまり好きじゃないんだよね」


「そういや、いやいや食ってたな。ミノタウルスは食ったくせによ」


「あれは結構美味かったからね。高いなら鶏肉ばっかりでいいよ」


「オークは食えるか?」


オークって豚の魔物だったよな。


「イノシシや豚肉より獣臭く無ければ大丈夫かな」


「ならそいつを狩るか」


「オークとかミノタウルスは強い?」


「まあ、そこそこ強いぞ。ゴブリンとは比べもんにならん。オークはパワーがあるがスピードは鈍い。ミノタウルスはパワーもスピードもあるからDランクパーティだとヤバいな。安定してミノタウルスを狩れるようにならんとCには上がれんぞ」


「ミノタウルスが高級品というのはそういうことか」


「強さもあるけどよ、持ち運びが大変なんだよ。丸まま持って帰ろうとするとな」


なるほど。聞くところによると牛より重そうだから普通だと運ぶの大変だな。


「俺なら運搬は大丈夫だね。収納出来るから」


「丸まま入るのか?」


「多分。無理なら美味しいところだけ切り取っていこう」


「だな。とりあえず鶏肉買うか」


鶏肉はまるごとの販売で一羽が1000G。俺はそこまで量は必要ないけどランガスは結構食うからな。二人だと一食分ぐらいにしかならんかもしれん。


「何羽買うかだがお前の収納魔法は保存は効くか?」


「しまったときのままだね」


「そりゃすげえ。そんな魔法聞いたことねぇぞ」


俺のは魔法じゃないからな。


「皆言わないだけで他にもいるんじゃない?」


「なるほどな。自分の能力とかあまり話さない奴の方が多いからそうかもしれん」


と、ランガスはあっさりと納得してくれた。


「じゃ、10羽ぐらい買うか。足りなくなったら途中の村で買った方が安いからな」


ランガスが鶏肉を買ってくれている間に他の肉も見てみる。


牛、豚、羊に馬肉なんかもあるのか。馬肉が生で食えるならちょっと食いたいが鮮度がわからんからやめておこう。ん?


「ランガス、馬の脂ってここで売ってる?」


「馬の脂?何に使うんだ?」


「馬の脂は色々と使えるんだよ」


「そうなのか?わかった。おい親父、馬の脂はあるか?」


「ランプにでも使うんですかい?」


「こいつが欲しいってんだよ。あるか?」


「おっ、可愛い嬢ちゃんだねぇ。よし、待ってな。今取ってきてやるよ」


しばらく待ってるとどさっと脂を持ってきてくれた。


「こいつが馬の脂だ。で、こいつは豚、こっちが牛のだ。持ってけ」


「持ってけって、金はいいのかよ?」


「ランプ用に売っても二束三文だからな。こんな可愛い嬢ちゃんにならタダでくれてやるってもんだ」


ラッキー。ここは嬢ちゃんということにしておこう。


「ありがとうおじさん」


「へへっ、良いってことよ」


顔を赤らめて鼻の下を掻く親父。俺に同じものが付いてるとも知らずに…


人前で収納魔法を使うなとランガスに言われているのでランガスが大荷物を抱え込み、人の見ていない所でアイテムボックスに入れた。


次に野菜と果物とレモンを購入。牛乳や酒といった物も買い込んだ。


「他にも欲しい物があるんだけど」


「なんだ?」


「クシとブラシ」


「そんなもんいるのか?」


「犬の長い毛は絡まりやすいんだよ。ほっとくとどうしようもなくなるんだ。今でもゴワゴワだし。他には蓋付きの瓶も欲しい。それに重曹とかもあるかな?」


「重曹?」


「薬品の一種なんだけどね」


「なら薬屋にでもいってみるか。そこで直接聞いてみてくれ」


薬屋はポーションなんかを売っている店らしい。



「何をお探しだい?」


出てきたのは婆さん。店は色々な薬っぽい臭いが充満している。


「重曹ってあるかな?炭酸とも言うんだけど」


「胃薬に使うやつかい?」


「そうそう。油汚れとかにも使えるやつ」


「あるよ。一瓶でいいかい?」


「うん。酸っぱいやつもある?」


クエン酸もあるようでそれも購入。


ランガスはポーションを何本か買っていた。ポーションは一瓶で1万G〜となかなかに高価だ。高いのは100万Gとかするんだな。


「さて、あとは武器だな」


「新調すんの?」


「お前のだよ」


「俺、武器なんか使えないぞ」


「ナイフぐらいは持っとけ。無いよりマシだ」


着いたのは冒険者御用達の店のようでギルドから近かった。試しに剣も持たされたけど重くて無理。ショートソードでも自分の足を斬りそうだ。


「やっぱりナイフぐらいしか無理だな。これでいいか」


「このナイフ30万Gもするぞ」


「安物はいざというときに役に立たんからな。最低限これぐらいのを買っておけばもっと良いのを買うときに下取りに出せる。安物は使い捨てだから返って高くつくんだ」


そう言ったランガスは他にもテントや寝具、食器や鍋とかキャンプ道具みたいなもの一式を選んでくれた。ナイフも入れて100万G近く払った。


「こんなにいいの?」


「こういうのはずっと使うからな。あんまり安いのはダメだ」


ランガスは貢ぎ体質なのだろうか?


これで旅の買い物は終わり家に帰ったので

馬の脂を熱して溶かし布で濾していく。


「結局何に使うんだそれ?」


「毛の手入れ用だよ。俺の毛は石鹸で洗っただけじゃダメなんだよ」


桶に湯を入れてごく薄めた石鹸水で髪を洗った後にクエン酸水で中和、乾かした後にほんの少し馬油を付けてブラッシング。


「ほらツヤツヤになったろ?」


「おぉ、本当だな。人族にも使えんのか?」


「使えるよ。ランガスもやってみろよ」


ランガスも頭を洗い同じようにしてみる。


「おっ、髪の毛がしっとりしやがったな」


「男前が上がったじゃないか」


「お、お前こそ可愛いぞ」


「照れるじゃんかよーっ、こいつぅ」


「あっはっはっは、よせよー」


はっ…


なんだよこれ。ランガスとキャッキャウフフしてどうすんだよ俺は…


男同士でキャッキャウフフして軽い自己嫌悪に陥るポンタ。


「ごほんっ、こんな感じで馬の脂は毛の手入れや皮膚の保湿とかに使えるんだ」


「豚や牛の脂はどうすんだ?」


「これは料理に使う。今日は準備だけしておくから旅の途中で使おう」


「おっ、お前がなんか作ってくれんのか?」


「材料とか買ってもらってるし、料理ぐらいはさせてもらうよ」


「気にするこたぁねぇのによ」


世話になりっぱなしの上に色々と買って貰ってばかりだからな。せめて出来ることぐらいはせねば。


翌日ランガスも旅支度をして出発した。



道中で薬草を採取していこうと思っていたが春先とはいえ所々雪が残っており薬草はまだ生えていないようだ。


「森の街道は寒いね」


「まだ雪が残ってるからな。思ってたより獲物も少ねぇし食料買い込んできて良かったぜ」


「どこで泊まるの?」


「街道には所々野営出来るポイントが作ってあってな、そこを利用するんだ」


と、初日の野営ポイントに到着。ポイントといっても更地だ。


「どうする?寒いから同じテントで寝るか?」


「いや、テントの張り方とか覚えなきゃなんないし別で寝るよ」


ということでテントの張り方を教えて貰う。元の世界でテントを使った事があるのはワンタッチ式の簡単な奴だ。組み立てるより綺麗に畳む方が難しいぐらい。


「よし完成だ。慣れりゃすぐに出来るようになる」


「結構面倒だね」


「だろ?だから俺はあんまり使わねぇんだよ。雨と寒い時ぐらいだな使うの」


そういや元の街から領都に行くときはテントなんか使ってなかったな。


早めに着いたので誰もいなかったがぼちぼちと人や馬車が集まってきた。魔物や賊がいるので大勢で固まってた方が安全らしい。



「飯にするけど嫌いな物とかある?」


「いやねぇぞ」


じゃ寒いしシチューにでもするか。


ランガスが火起こしをしてくれている間にじゃがいも、人参、玉ねぎ、鶏肉を準備していくことに。


「うーん…」


「どうした?」


「鶏肉のさばき方しってる?」


丸鶏なんかさばいたことないからな。


「こいつはここからこうやっていくんだ」


と、さばき方を見せてくれる。なるほどな、思ってたより簡単そうだ。ランガスが大まかにさばいてくれたあとに、モモ肉、胸肉、ササミやセセリと部位別に分けていく。


と、その時にランガスが鶏ガラをポイッと捨てようとした。


「あっ、それも使うから」


「骨なんか食うのか?」


「出汁に使うから」


「出汁?」


「そう。骨を煮込んでスープの元にするんだ」


出来た鶏ガラスープの中に根菜と鶏肉を投入してアクを取ってと。具材に火が通ったら小麦粉を溶いた牛乳を入れてとろみがつくまでかき混ぜて塩で味付け。うん、こんなもんだな。


「はい、おまたせ」


「牛乳が入ったスープ?」


「クリームシチューってやつだよ」


「へぇ、見たことがねぇスープだな。なんかドロッとしてんぞ」


「いいから食えよ。嫌いな物ないって言ってたろ?」


「そりゃ言ったけどよ…」


クリームシチューって日本発祥だっけな?こっちの世界にはない食べ物なのかもしれん。


パンを軽く火で炙ってからシチューと共に食べる。


「おっ、旨いじゃねーかよ」


「だろ?チーズ買ってくりゃ良かったね。そしたらグラタンみたいにも出来たんだけど」


「グラタン?」


「そう。もっとドロッとさせてチーズを上に掛けて焼くんだ。このシチューにパンを浸してパングラタンにしてもいいけどね」


「なんか旨そうだな。村に入ったらチーズ買うから作ってくれ」


「いいよ。チーズは他の料理にも使えるし」


周りで野営する人達がチラ見してるけど分けてはあげない。残りは明日の朝食用だからな。


飯のあとは早々に就寝。別々のテントで寝る事にしたけど人化していると寒かったので犬に戻って毛布に包まって寝るポンタなのであった。





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