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ポメラニアン転生 〜俺が望んだのはこっちではない〜  作者: しゅーまつ


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初めての魔獣

出発時に他の冒険者らしき奴らが付いてくる。


「つけられてんのかな?」


「いや、進む方向が同じなだけだろ?」


とランガスは言うが早足にしてもゆっくり歩いても同じスピードなのだ。男連中ばっかの6人組。なんかヒソヒソと話しているし嫌な感じだ。


「よおっ、二人旅か?」


一人の男が話し掛けてきた。


「そうだがなんか用か?」


ランガスがぶっきらぼうに答える。


「へへっ、女連れの割に無用心だな」


「そうか?何も問題ねぇぞ」


「そうかよ?中には悪い奴らもいるんだぜ。俺達が護衛に付いてやろうか」


「いらねぇよ」


「なぁに、金は別にいらねぇよ。ちっとばかしお連れさんを貸してくれればよ」


「いい加減にしろ。そんな必要ねえって言ってんだろうが」


「へへっ、そうかい?なら試してやろうか?」


「お前らそれを抜いたら賊認定して討伐すんぞ」


「やってみろよ」


ザッ、と6人とも剣を抜いた。


「はぁ〜、しょうがねぇなまったく。朝っぱらから鬱陶しい奴らだ」


ポンタはランガスの後ろに隠れるとランガスは剣を抜いた。


「うらぁぁあっ」


ザシュザシュザシュっ


ランガスは絡んできたやつらの防具の紐を狙って切り落とした。


「ヒッ」


「命は助けてやる。冒険者証を出せ」


「だっ、誰が…」


ザシュ


口答えした男の鼻先を斬るランガス。そして威圧を込めてもう一度冒険者証を出せと脅した。


それを見た男共は冒険者証を出す。


「Dのクセによく俺に絡んで来やがったな。お前ら俺の顔も知らんのか?」


「へっ…?あっ………、ランガスさん…」


「お前らのやったことはギルドに報告をしておく。自分らで出頭しろ。連れて歩くのは面倒だ」


「ランガス、そんな事をしたらこいつら逃げるんじゃないの?」


「大丈夫だ。出頭しない限りどこの国にも入れんようになるから賊になるしかねぇよ」


「賊になったらヤバいじゃん」


「コイツラの腕前で賊なんか出来るわけねぇだろ。森に潜んでいる間に魔物にやられるか冒険者か衛兵に討伐されるかだ。この冒険者証をギルドに出しとけば指名手配されるからな」


「そうなの?」


「そうだ。お前らさっさと出頭しにいけ。俺が報告をする前に出頭したほうが罪が軽くなるぞ。報告後に出頭しても自首扱いにならんからな」


「はっ、はいぃぃぃ」


男共は落とした防具も拾わずに来た方向へと逃げて行った。


「これ収納出来るか?」


ポンタは6人分の防具をアイテムボックスに入れた。売ればちょっとは金になるらしい。


しかしいきなり剣を抜いて襲ってくるとか物騒な世界だ。俺はこの先ランガスと別れて生きていけるのだろうか?


「こんな事はよくあるの?」


「俺一人ならねぇな。お前が呼び寄せてんだろ」


「女みたいだからか?」


「かっ、可愛いからじゃねぇかな」


おいランガス、何顔を赤らめてんだよ? 


しかし今回の件は俺のせいなのは間違いないだろう。


「また絡まれたら嫌だし村につくまで犬に戻ってるわ」


ボワンとポメラニアンに戻り、服をアイテムボックスにしまった。


「その方がいいかもしれんな。ほれ」


とランガスのカバンの中に入れて貰う。俺の歩行速度に合わせるよりランガスに運んでもらったほうが早いしな。


小走りになったランガスは野営ポイントまで早めに着いた。


「ここでテント張ると今日みたいな事になるから森の中に入るか」


そう話しかけた後に少し中にはいっていく。そこで降ろされたので人化して服を着る。


「森の中だと魔物が出るんじゃないの?」


「お前が索敵出来るから問題ねぇだろ。それに魔物の方が人に襲われるより楽だ。斬り殺せば済むからな」


なるほど。


晩飯までは時間があるけど下ごしらえするか。


ポンタはじゃがいもを5つ取り出し皮を剥いてから細かく刻んでいく。それを布でくるんで水を張った鍋の中でモミモミしていた。


「何やってんだ?」


「晩飯の準備だよ」


「まだ時間が早ぇだろ」


「時間が掛るんだよ」


じゃがいもから出てきたでん粉が沈殿するのを待ち、何度か上水を入れ替えて透明になったら水を捨てる。


「へぇ、じゃがいもから小麦粉なんて取れるんだな」


「小麦粉じゃなくてこれはでん粉。片栗粉とかもいうけど片栗ではないよ」


「片栗?」


「いや別にいい。じゃがいもでも似たようなものだから」


味付けは塩とニンニク。さばいた鶏肉をそれに漬け込んでから出来た片栗粉と混ぜてと。次に用意してあったラードを火にかけて揚げ油に。


「それ出掛ける前に用意してあった脂か?」


「そうだよ。豚の脂で揚げると旨いんだよ」


ついでにじゃがいもも細く切って用意。唐揚げとフライドポテトだ。汁物は鶏ガラスープに胸肉と玉ねぎを刻んでツクネにしたものでいいか。


思ってたより時間が掛かってしまったので辺りは真っ暗になった。焚き火の明かりとランプで灯りを確保。ポメラニアンアイは多少暗くてもよく見える。火の灯りでも十分だ。


ショワワワワ


「ハイ出来たよ。唐揚げとフライドポテト、つくねスープ」


「おお、唐揚げっての旨ぇな」


「だろ?酒飲む?」


買ってきた酒はワインとウィスキー。俺はウィスキーを薄いお湯割りにしよう。ランガスは大きなコップでワインだ。


「お前、冒険者より飯屋やった方がいいんじゃねぇか?」


「これを仕事にすんの大変なんだよ。自分で食う分を作るぐらいならいいけどね」


ずっと一人暮らしだったから料理のレパートリーはそこそこある。タヌ吉を飼ってから外食せずに自炊してたしな。


「そんなもんかよ?」


「そんなもの。料理したくないときも仕事ならやらないとだめだろ?」


「そりゃそうだけどよ」


ランガスは唐揚げに夢中だ。俺は人化しても身体が小さいのですぐにお腹いっぱいになる。大きめの唐揚げ3つとつくねスープとパンでギブ。酒は薄めだとはいえまったく酔わない。もしかして毒耐性が影響してるのか?今度安全な場所でどれぐらい飲んだら酔うか試してみよう。


スンスン。ん?なんか近くに寄ってきたぞ。嗅いだことが無い臭いだな。なんだろう?


臭いのする方向を見るとウサギがいた。


こっちの世界のウサギって人を見ても逃げないんだな。柴犬ぐらいのサイズではあるけど可愛い。ニンジン食うかな?


ポンタはガツガツと食ってるランガスを放っておいてニンジンを持ってウサギに近付く。


「シャーーーッ」


げっ、何だこのウサギ。目が4つあるじゃないか、気持ち悪いっ。


ウサギと思ったものは目が4つに肉食類と同じような牙を剝いてポンタに襲い掛かる。


「うわぁぁぁぁっ」


キャインキャインと逃げるポンタは足を噛まれた。


「痛ったぁぁぁぁっ」


「チィッ」


すぐに気付いたランガスはウサギを斬って捨てる。残りのウサギは逃げて行った。


「大丈夫か?」


「痛い痛い痛いっ ふくらはぎ噛まれたぁぁぁっ」


ランガスはポンタの脚を見る。


「ちらっと噛まれただけだ。大袈裟に騒ぐな」


「血がっ 血が出てんじゃんかよっ」


「しょうがねぇなぁ」


ランガスはポーションを傷口に少し掛け、残りをポンタに飲ませた。


げっ、シッブイ… ん?でもなんか飲んだことがあるような後味だな…


あっ、元気はつらつオロ○ミンCに渋みを足して甘みと炭酸を抜いたらこんな味になりそうだ。


「傷口は塞がったぞ。痛いのはどうだ?」


「えっ?あっ、痛くない」


「あれしきの傷でポーション使わせるなよ」


「だって噛まれて血が出たんだぞっ」


「迂闊に魔獣に近付いたからだろ?居たなら居たと先に言えよ」


「ウ、ウサギだと思ったんだよ」


ランガスは絶命したウサギをひょいと持ち上げる。


「こいつは魔獣だ。ほら目が4つあるだろ?」


「気持ち悪いね」


「魔獣は目が1つか3つ以上ある。それにこいつには牙があるだろ?」


「肉食?」


「そうだ。こいつはファングラビット。一匹一匹は対して強くねぇが集団で襲ってくるからそこそこ厄介だ。よく臭いを覚えておけ。新米狩人がウサギと間違ってよくやられる」


魔獣なら魔獣らしくもっと恐ろしい姿をしとけってんだ。


襲われた恐怖と噛まれた痛さを思い出して強がりながらもカタカタと震えるポンタ。


ランガスはファングラビットの毛皮を剥ぎ出した。


「毛皮を取るのかよ?」


「安いけど金にはなる。まとめて売ればそこそこの高値で買い取ってくれるぞ。バラ売りせずに持っとけ」


と言われたのでアイテムボックスへ。


「肉もだ」


「食えんのこれ?」


「鶏肉みたいな感じだな。さっきの唐揚げにしたら旨いと思うぞ」


ということなので少しだけ塩のみで味付けして揚げてみた。


「おっ、旨い」


肉質は鶏肉の胸肉みたいな感じだが味やジューシーさではこちらの方が断然上だ。獣臭さもまったくない。


「だろ?買うと牛肉と同じぐらいの値段になる」


固くて獣臭い牛肉より断然こっちの方がいいな。ミノタウルスもそうだったけど魔物や魔獣の肉は獣臭さがないのかもしれん。


そしてファングラビットは焼いても硬くならずに旨かったのであった。



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