第1章 なぜ勇者より無職の俺が色々と格上なのか? 第9話 創造神ゼウス
【剛点 遠転足】
俺は城壁に向かって走っている。俺の作戦はこうだ。まず、城壁までついたらハクの時魔法で俺と白狼をジ上空に飛ばす。そして、【剛点】の足技を使って上空から地面に叩きつける。そのまま地面に全身が叩きつけられることによって呪いは行き場をなくし消滅。これが俺の作戦である。
そして、城壁についたテンリはハクにこの作戦を念話で伝える。
『———————こういうことだから、合図したら上空に飛ばせ!』
『了解だよ!』
そして、合図をしようとするが、白狼の姿がない。その時城壁に白狼が登っているのが見えた。まずい!! 上には戦意喪失した鎧女がいる!
『ハク!! 俺を城壁の上に飛ばせ!!』
『どうしたの!?』
『いいから飛ばしてくれ!』
『わかった!』
そう言うと、ハクは時魔法を俺に駆使し、俺はいつの間にか城壁の真上に居たのだ。
やばいな、この能力。そんなことも言ってられないか...。
そして俺は足に力を込める。この技は自身が回転したとき発生する遠心力を最大限に活用した【剛点】である。
テンリは自身を縦に回転しだした。回転しすぎて、ただの円にしか見えないほどに。
「グワァぁぁぁぁぁ!!!」
白狼は思い切り外壁を蹴り上空に飛び、鋭い爪を鎧女に浴びせようとした。それでも、鎧女は動けていなかった。自分より格上に会ったことがない鎧女はこの現実が受け止められていなかった。そして、白狼の爪が鎧女に浴びそうになった瞬間、
【剛点 遠転足】
白狼は東部から攻撃を受けた。遠心力を加えたその技は白狼を地面に勢いよく叩きつけた。白狼は瀕死状態、おそらく呪いも消えた。しかし、白狼の鋭い爪はテンリの腹を抉っていた。
そのままテンリは鎧女のもとに倒れて気絶してしまう。気絶したことによって友輪契約は消え、コク・ハクも消えてしまった。
————————俺は死んだのか...?
『いや、死んどらんぞ』
————————いや、まず誰だよ!? そして、どこよ!?
『ここは、神の間ってやつだなおそらく? そして、ワシこそこの世界で崇められている創造神ゼウスである』
————————そっか、まぁそうでもいいわ。
『ひどいのぉ、ひどすぎるのぉ、ひどいんじゃない?』
————————うるせぇよ! でも、俺は死んでないのか? 結構腹抉られたけどな...。
『なかなか重傷であるから無事ではないぞ? 両腕がなく、内臓が少し見えていたからな』
————————やばいなそれ...。生きてんのかよ俺。あ、白狼はどうなった!?
『白狼は呪いが解け、意識を取り戻し森に消えていったわい。鎧女は自分のせいでお主が死んじゃうと思っておりずっと号泣しているわい』
————————よかったような、よくないような...。
『さて、本題に入りたいがいいか?』
————————本題? 俺に用か?
『あぁ、お主も闘ったであろう? 邪神教の8柱のトップと』
————————あぁ...あれは化け物だ。俺じゃ全然まだまだだ....
『その通りじゃ! お主ではまだまだ弱い! そこで修行をしてもらう』
————————修行?
『時の間じゃ! そこでは現実時間で1年だと、時の間では100倍。100年経ったということになる。もちろん、年齢とか現実世界に順応しておるから大丈夫じゃ』
————————すごいなそれ! しかし、どうやって行くんだ!?
『道はお主の意識が戻ったら勝手に頭に入っとるわい』
————————そうかい、なぜ俺を修行させたい? 何か目的があるんだろ?
『邪神教の8柱に勝てるのはおそらく誰もいない。このままでは邪神が復活してしまう。だからそれを食い止めるためお主に頼んどるんじゃ』
————————いわゆる、俺に止めろと?
『そういうことじゃ』
————————わかった。俺にできるのであればやってやる。
『助かる』
————————他にはだれか行ってるのか?
『リントスという勇者に行ってもらっている。今のお主より何倍も強いぞ?』
————————そうか。まぁ、任せろ。あの野郎に仕返ししてやる!
『はははははは、心強いことだ! では、もう時間じゃ。期待しておるぞ!』
そして、俺の意識は覚醒した。