05「幼妻王の城」その2
ーーおねーちゃん、きょーははやくかえってくるでしょう?
どうして?
ーーもー! わすれたの? ひっどーい!
うそうそ、冗談だよ。
早く帰ってくるからね。
ーーうん! まってるからねー!
ーーーー
目を覚ますと、そこは広い子供部屋のような所でした。
明るいのですぐには気が付きませんでしたが、この部屋には窓がありませんでした。
ドアは固く閉じられていました。
つまり、閉じ込められていたのです。
部屋には私の他にトゥインクルさんが一人だけ。
「トゥインクルさん! しっかり! 大丈夫ですか?」
「うぅぅぅ、解せませんわ……なんですのこの場所……大気中幼女濃度が著しく低いですわ……」
「何言っているんです、大丈夫ですか?!」
ガガガとスピーカーからノイズが聞こえました。
「……君達のせいだぞ……」
少女とも少年ともつかぬ声。
小さくも怨みのこもった一言に、ぞくりと背筋が冷たくなりました。
そういえば、幼女さんは……?
「あなた、『私の』幼女さんに何をしたんですの?!」
『あなたの』ではないですけどね?
「君達が悪いんだぞ。『ようじょたちいるべからず』と、確かに書いておいたはずだ!」
「だから! いったい幼女さんに何をしたんですの!」
沈黙。
トゥインクルさんがスピーカーを睨みます。
「……今見せてやろう……」
ドアが厳かに開き、そこから一人の幼女さんがーー真っ裸の幼女さんが走ってきたのです。
「おねぇちゃーん!」
私に抱きついてきました。
「大丈夫ですか? 変なことされませんでしたか?!」
「ううん、へいき。ふくぬがされただけ」
それは十分に変なことじゃないですか!
カッカッカッと靴の音。
部屋に入ってきたのは、白衣で浅黒い肌の少女ーーいや、少年?ーーでした。
ショートカットで丸メガネをかけています。
「この反応……アンドロイドですわ」
トゥインクルさんが私に耳打ちをしてきました。
「やぁ……ボクの城へようこそ。ボクの名前はDr.ストレンジラブ」
メガネのアンドロイド、Dr.ストレンジラブがにこやかに言いました。
トゥインクルさんがDr.ストレンジラブと睨み合います。
「あなたですわね! 幼女さんにこんなすばら……ゴフン、ひどいことをしたのは!」
すばら……?
「そうだ、と言ったらどうするんだい?」
「ありが……ゴフン、絶対許しませんわ!」
ありが……?
「……ボクは昔、この城でたくさんの幼妻と暮らしていた」
「急に何を言い出すんですの?!」
本当ですよ。
「ここで、たくさんの裸の幼女とともに暮らしていたんだ。人間たちからも畏怖を集め、ついた異名が『幼妻王』!」
「……なぐってもよろしくて?」
よろしいと思いますよ、トゥインクルさん。
「しかし! 長年のボクの研究によって、幼女のことを裸にひんむくのは大罪であることが判明しホゲェッ」
Dr.ストレンジラブが吹き飛びました。
かけていたメガネが宙に舞います。
「なぐりましたわ」
ドクターが飛ばされたメガネを拾って立ち上がりました。
「痛いじゃないか。これでもボクなりに罪の償いをしてきたつもりなんだよ。だからこそ! 幼妻を全員里に返し、城の付近を幼女立ち入り禁止としたんじゃないか! そこに幼女を連れてきたのは君たちだろう!」
「あなたが脱がさなきゃいいことですわ!」
「脱がさずにはいられないんだよ! 幼女が目の前にいると!」
「………………………………」
すがすがしく言い切りました。
殴らないのか?と思ってトゥインクルさんのほうを見ます。
「……殴らないんですか?」
「無駄な気がします」
確かに……。
来たまえ、とDr.ストレンジラブが白衣を翻しました。
部屋を出て行くドクターを追って、私たちも部屋を出ます。
部屋の外は鋼鉄製の廊下でした。
大小のパイプが壁面から天井に至るまで張り巡らされ、にぶい音で唸っていました。
床には赤い絨毯が敷き詰められています。
ドクターが1つの部屋の扉を開けました。
その中にあったのは、大量の服でした。
「幼女に来てもらおうと思っていた服なんだ。ボクではついぞ着せることができなかったが……君たちならできるだろう。ギリギリ君が着られるものもあるはずだよ」
幼女さんに服を着せ、私もセーラー服(なぜかパステルカラー)を借りました。
服の部屋をあとにして、さらに奥に進んでいきます。
たどり着いたのは展望室でした。
荒野を一望できる、半球状のガラスのドーム。
「ボクはこの城で、長く人類史を研究していた。ボクたちアンドロイドが生まれる前、この地球でどんな出来事があったのかを調べていたんだーー」
【次回のロリの惑星】
ついに対峙する2人のアンドロイド。
かたや変態、かたや変態……どちらが勝っても、幼女さんの貞操が危ない。




