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俺とあいつの変わった日常  作者: 龍聖
最終章 俺とあいつの変わった日常
37/44

第33話 決断、そして・・・

皆さん、この度は更新がだいぶ遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした。


思えば僕って謝ってばかりですね(笑)

まあ、そんなことはさておいて、今、僕にしては珍しくもう執筆を行っております。

頑張って次話を近いうちにまた出しておきますので期待していてください。

そんでもって、話の展開が無理やりになってしまってすいませんでした。

今後とも、最後まで俺あいつをよろしくお願いします

 条件。つきつけられたのは誰もが選びたくないような厳しすぎる条件だった。ララを取るか、誰か一人だけを選び取るか、のどちらかだ。

 本当ならどちらも取りたくはない。だけど、これを選ばなかったら今の俺には向こうの世界に渡るのは絶対に無理だろう。扉の在りかが分からない以上、こいつにすがるしかなかった。だが、沖縄の一件のときのように教えてはくれなかった。確かにこいつは素直に教えてくれるようなやつではなかった。

 沖縄の一件では、手紙でいきなり俺らを沖縄に呼び出し、沖縄の那覇のどこかにあるとだけ言って、先に行ってしまうようなやつだ。それもやはりタダで教えてくれるわけではなく、試練として俺らに探させ、モンスターとも戦わせる。簡単に言ってしまえば、情報はあげるが、タダではあげない、ということだ。

 そろそろ真面目に考える。まずは、条件を飲むか飲まないかだ。条件を飲まなかった場合は、俺が自力でこの世界中のどこかにある扉を探さなければならない。探している間にもララが酷い目にあっているかもしれなかった。それに、今の俺ではこの世界中のどこかにある扉を見つけ出すのは不可能に近かった。

 ここで条件を飲んだとして、誰か一人以外を犠牲にするなどということは、今の俺には無理だった。だが、昔の、向こうにいるときの俺ならできただろう。向こうの世界にいるときの俺は、人間関係はもちろんそれなりに大事にしていたが、それよりまず世界を救うことだけを考え、行動してきた。いざとなれば魔法も使えたし、どうにでもなるからだ。

 に対して今の俺は、魔法を使ったら俺に命の保障はない。あの頃のような決断力もない。そもそもな噺で、誰かを犠牲にするなんてことは、絶対に嫌だった。


「はあ…。そんなんだからお前はダメなんだよ。いいか、人ってのはな、時には大切な何かを犠牲にしてでも、守らなきゃいけないものがあるんだ。以前のお前はできていたんだろ?なら何故できないんだ?」

「昔の俺は、大切だとか、守りたいだとか、そういうものの意識が全然なかったから、世界を救うことしか考えていなかったからできたんだ。だけど…、今は違う!今は、由紀、悠、神藤、理紗や妹、それにミラ、そして、ララ。それに、父さんや母さんや、俺を支えてくれてる人たちがいる。向こうにいるときも仲間はいた。けど、そのときは俺がなんでも守ってやれたからどうでもいいと思ってたんだ。けど、今は向こうにいるときとはわけが違う!今の俺は弱いし、守るなんて事はできない。だからこそ、誰一人として犠牲にしたくないんだよ!」

「甘い、甘すぎる。全く、なんでこんなやつが世界を救えたんだ…。お前が情けなくて、甘いから、こういう結果を生んだんだろう?」


 そうだ。俺がこっちに帰って来て、ミラやララ達に向こうにいるときとは比べ物にならないくらい甘くなって、臆病になった結果が今回のようなことを招いたんだ。

 全ては俺のせい。ならば、俺が責任を取らなくてはいけない。思い出せ、思い出すんだ。向こうにいたときの、甘さなんてものがなく、自分だけを信じて闘っていた、あの頃の俺を。


「はあ…。ったく、なんで俺はこっちに帰って来てこんなに甘くなったんだろうな。今思っても不思議に思うぜ。どいつもこいつも俺が急に優しくして、前より頼もしくなった途端に態度かえやがってよ。わかったよ、乗ってやろうじゃねえの。お前が何を考えてるかは知らないけど、お前の思うつぼに乗ってやるよ」

「それでこそ、あの世界を救った英雄だ。では、誰か一人を選んでもらおうか」

「ララでいい」


 あの世界の門番を勤めるラースが少しニヤッとしていたがそんなことは気にせずに俺は即答していた。迷いがない一言だったのは確かだった。


「即答だね。もうスイッチが入ったのか。いいだろう、じゃあ扉を開いてやろう」

「あ?どこにあるかを教えて開くんじゃねえのか?」

「誰が、ここにはないなんて言った?」

「…なるほどな。こんな近くで扉は開いてたのか」

「ま、扉は俺らにしかわからないからね」


 これで良かったのかは知らないが、今の俺としてはこれでいいと思っていた。扉をくぐったらララ以外はもう他人なのだ。今は余計な心配をするより、目の前のことに集中していればいいのだから。


「じゃあ開くよ。覚悟はいいかい?」

「いつでもいいぜ。にしても久しぶりだな」

「君のことだからどうせすぐに慣れて感覚を取り戻すだろうけどね」

「…かもな」

「じゃあ開くよ」


 ラースの合図とともに扉が出現し、異世界へ通じる扉が開く。俺は黙ってその中に入っていった。くぐられた扉はなんの合図もなしに勝手に閉まって消滅した。

 これからが本番だ。なにが待ち受けてるかは分からない。どうなっているかも分からない世界に向かって、俺は足を進めていったのだった。


「…やっと行ったか。ったく、あいつはどこまで甘いんだか。あの頃のときの性格を引き出すのにここまで苦労するとはね。まさか、扉をくぐらせるのに俺が悪者役をしなきゃいけないなんて思ってもいなかったよ。…今ララ王女を救えるのはお前しかいなかったんだ、許してくれよ。ま、人間関係リセットなんてしてないけどね。…頑張れよ、英雄の神門徹夜」


 一方で、俺をを見送ったラースはため息をついてから愚痴をこぼしていた。英雄としての俺をわざわざ悪者役になってまで引き出して、向こうの世界に送り出し、二人の無事を祈りながらどこかに歩いていくのだった。



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