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第一話 男から女になった

  俺の名前は【友少幸友ともしょうゆきとも】。普通のそこら辺にいる高校生だ。

 まぁ一つ違うとすれば俺には友達と話す力が無い。―おい今コミュ障って言ったやつ出てこい。

 まぁそんな感じで今は高校から帰宅中だ。

「こっちの道、近道なんだっけ。」

 そんなことをつぶやきながら道を曲がろうとすると

「好き〜♡」

「俺もだよ♡」

 キャッキャウフフしている忌々(いまいま)しいカップルが共に下校していた。

 滅んじまえ!

 ということで、その道沿いにある公園に足を運ぶ。

 ――この公園にはある言い伝えがある。その言い伝えとは、この公園の池に心の底からの願い事を言うと、なんでも叶えてくれるらしい。

 まぁ?胡散臭いけど?せっかくだから願い事言ってみようということで。

 富、名声、力…何がいいか…そんな俺の脳裏をかすめた先程のカップル。ならここは一つ。

「…カップル爆発しろ」

 ()()()()()()()()()()()()。だからこの()()()()()()()()()()()()

 嘘です彼女欲しいです

  ……はぁ、何してんだろ、俺。アホくさ。

 ま、どーせ叶うわけもないんだから、何願ったっていいんじゃん?

 カップルの大爆発なんて心の底から願うはずないんだからさ。せいぜい幸せになってくれよ。

 そんなこんなで俺は家への足取りを速くした。


「ただいまーっと、まだサメは帰ってきてないか。」

 サメとは、海洋生物の方ではなく、俺の妹、【友少雨友ともしょうさめとも】の事だ。

 あの子は俺とは違って容姿端麗(ようしたんれい)、いわゆる美少女ってやつだ。

 美少女って羨ましいなぁ、だって、周りからチヤホヤされて、愛想良くしてれば人生安泰なんだろうなぁ。

 そんなことを考えつつ、俺はベッドに寝転がる。

「……()()()()()()()()

 心の底から出た言葉とは、こういうのを言うんだろうか。無意識に出ちまった。

「…寝よ」

 ベッドに寝転がった勢いで俺はそのまま夢へと走っていった。


 翌日。俺はいつも通りスズメのうるさい鳴き声で起きる。

「ぬーん、うるせぇ!焼き鳥にすんぞ!」

 …あれ?風邪でも引いたかな、なんだか喉が狭いし、声が高い。しかも肩が重い。いや…胸が引っ張られるように痛い。重心もやけに低いな…

 そう思いながらも立ち上がり、姿鏡を覗くと。

 容姿端麗ようしたんれい、こげ茶のふんわりと長い髪、スッキリ整った顔立ち、ナイスバディなスラッとした体。

 鏡には知らない美少女が立っていた。

「は、はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!???」

 まさか、映画みたいな入れ替わり!?そう思い部屋を見回すも、俺の部屋だ。

 なら、ほんとに女体化!?こんなこと現実に起こっていいのか!?

 ……違和感。下半身に妙な感覚。まさか…

「お兄ちゃん?起きてるのー?朝からそんな大きい声出さないで!」

 産まれてからの相棒を(うしな)った俺に襲いかかる災難。そう、妹への言い訳だ。

 別に悪いことした訳じゃないんだが、そうだな、どうしよう。

「開けるよー?」

 あぁ、終わった。もうどうにでもなーれー

 ガチャ……

 絶望の音と共に現れた少女。

 少女の目は、俺を(とら)えるなり、見開いていき…

「わわぁ!だ、だだ、誰ですっ!?あ、兄はどこに!?」

「サメ、俺だよ、忘れちまったのか?マイブラザーよ」

「す、すみません、お世辞(せじ)にも兄はそんな容姿が整った人ではなく…」

 よーし、この子後で説教!

「お兄ちゃんの顔を忘れたのかい?あ、今はお姉ちゃんか。」

「そろそろ警察呼びますよ?どこですか!」

 おいマジかこの子。実の兄を通報とかおかしいだろ。

 しかし、このままでは本当にお縄の危機だ。警察には世話になりたくねぇ、どうしたものか…

 あ、こういう時の定番。俺とサメしか知らない事を言えばいいんだ!

 何かあるかなぁ…

 あ、良いのがあったな。

「サメ、お前の好きな食べ物、なんだ?」

「何が悲しくてあなたにそんな事教えなきゃならないんですか。」

「いいから、答えろよ!」

「はぁ、ハンバーグです。」

 馬鹿言え。お前ハンバーグが一番の嫌いな食べ物だろう!

「違うな…」

 俺は腕を組み、片手で人差し指を立てて「チッチ」と言いながら指を振る。

「…そろそろ通報しますね」

「ままままて!待てよぉ!スマンって!

 ズバリ、お前の好物は、[鯵あじの唐揚げをオレンジジュースとブドウジャムを混ぜたソースに付けたもの]だろ!」

 ちょっと長い料理名だが、サメはいつもこの名称で注文してくる。

「え?そ、それはお姉ちゃんかお兄ちゃんしか…って、本当にお兄ちゃん?」

 サメは驚愕きょうがくの目を見せ、口をあんぐり開けて呆然としている。

「そうさ☆我が愛すべき妹よ」

 はぁ、まったく。実の兄を間違えるとは…

 ―それより。

「ねぇ…」

「なに?お兄ちゃん」

「学校…どうしよ」

「はやく行きなよ」

 そうキッパリ言われてしまった。

「マ ジ で す か …」

 そうして朝飯を食った俺は学校へ行くのだった。

 運良く俺の高校は私服か制服かは自由なので、服は気にすることはなかった。

 しかし、違う課題に俺は今、悩まされている。

「ねぇ嬢ちゃん、今暇?良かったらさ、兄ちゃんとカフェ行かない?それかメール教えてよ」

 そう。ナンパだ。

 …うん、正直キモイ。男の頃の俺でもこんなことしなかったぞ…おい今コミュ障って言ったの誰だ!

 っと、そうだな、ここは一つ嘘泣きで行くか。

 男心の分かる俺は男が女にされて欲しくないランキング一位(俺の独断)である[泣かれながら謝られる]をして撃退してやるぜ!

「す、すいません、お…私メールやってなくてぇ…」

「うぇ、え?あ、いいんだけど別に…」

 今だぁっ!

「うぅ…すいません、すいません、私がメールやってれば…ぐすん」

 これは決まったろ。勝ちを確信した俺の周りが少しずつ騒がしくなっていく。

「あいつ女の子泣かしてるよ…」「サイテー」

 うーん、しかしこんな上手くいくとはな。

 ちょっと可哀想な気もするが、まぁ自業自得じごうじとくだろう。

「君、大丈夫?話聞こうか?」

 これってまさか……


 …疲れたぁ!もう帰りたい!

 あれから十回以上ナンパされた…てか十回から数えるのをやめた。

  くそ、美少女ってこんなに疲れるのかよ…

 そんな感じで、俺が学校に着いたのはギリギリだった。

 そう思いながら教室の扉を開ける。すると、一瞬の静寂が訪れ、クラスがざわめきを増す。

「ん?」「え、あの子…」「「だれ?」」

 クラスに足を踏み入れた瞬間に聞かれた。

「君、転校生?」

 やっべー!!自分の設定考えてなかったわ!

 職員室に行けばよかった!

 一応サメが担任には話してくれていたが、信じているかも怪しいしなぁ…

「え、えーと…」

 そうして俺がたじろんでいると、奥から見知った顔が。

「君、名前は?」

 こいつは【照島幼てるしまおさな】。俺の竹馬の友にして唯一の女友達。

 鍵はこいつだ!こいつにさえ事情を話せれば…

 そうだな、名前を答えなければな。

「友少ゆき…!そう!友少ゆきだ!俺は友少ゆき!」

「俺?」「俺っ娘か、それも()()だな…」

「あ、えと、私!私の名前は友少ゆき!よろしくね!」

 くそ、俺って言っちまう!

 そんな俺の挨拶と共に担任が入って来て、朝のホームルームが始まった。

 担任の【志田奏見しだかなみ】先生は妹から聞いているため、都合のいいホームルームにしてくれた。どうやら信じてくれたようだ…

「じゃあ、今日から新しく入った友達です!じゃ、自己紹介お願い!」

「えーと、【友少友希ともしょうゆき】です。一応、友少幸友ともしょうゆきとも従姉妹いとこです。よろしくお願いします!」

 どっかの漫画かなんかで見た友希ゆきって字を書いてそれっぽく見せたのは内緒だ。

 それを聞いたクラスからは大歓声。いや、訂正。クラスの男子だ。女子は…なんかにらんでる?いや、気のせいだろう。

 ま、そんな感じで、俺の新たなる学校生活すくーるらいふが始まるのであった!

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