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恋も幸せも彼女しだい  作者: テイク
第一章 出会いは初夏のあの日から
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第一話 邂逅

初の恋愛小説。駄文ですがよろしくお願いします。

 いつからだろう世界がこんなにも現実味を帯びたのは。いつから夢を忘れてしまったんだろう。子供の頃は自分に出来ないことはないと信じて疑わなかった。世界には不思議が溢れていると信じていた。いつからこんな風になってしまったんだろう。世界には不思議はなく自分にはできないことがある。正義の味方なんていない。正義は悪に負ける。自分は物語の主人公のような特別な人間ではなくただのたくさんいる人の中の何の特別でなんでもない一人の人間だと気がついた。日常は平凡で退屈で何一つ変わらない同じ事の繰り返し。いったいいつから世界は、こんなにも現実で溢れてしまったのだろうか。でもそんな日常でもよかったと。そんな日常がいつまでも続けばいいなと思えたのは彼女の佐藤美鈴のおかげだ………………。


 春、出会いと別れの季節。何かが始まり何かが終わる季節。僕、狩野悠(かりのゆう)は一年前私立埜宮高校に入学した。高校に入学しても変わらないありふれた日常、ありふれた生活そんなのを一年間続けた。友達も出来それなりに楽しい一年だったと思う。そして二年に進級して一ヶ月、5月半ばなにも変わらない生活。内心うんざりしながらも楽しく生活していたとき。


 そんなときだ僕が彼女――佐藤美鈴(さとうみすず)に話しかけたのは。


 佐藤美鈴、腰まである明るい茶髪の髪。抜群のスタイル。少しキツめの顔。彼女を外見だけで判断すると美少女であった。だが、彼女はクラスで孤立していた。進級後一ヶ月、新しいクラスの連中も打ち解けてきた頃なのに佐藤美鈴は誰とも付き合わず独りでいた。クラスの連中によると無愛想、態度が悪い、口が悪い、性格も悪い、でも美少女とのことだ。


 そう、美少女、いくら性格が悪いとはいえ美少女である彼女は入学当初は多少性格が悪くても美少女だったので目をつけた男子が告白ラッシュであったという。だが、佐藤美鈴はその全てを断り誰とも付き合うことはなかった。しかも振るときにえらく酷い振り方をしたらしい。一年経った今では彼女に近づく男子はいない。触らぬ神に祟りなしということらしい。当然僕は告白していない。振られるのわかってて行く馬鹿はいないし別に好きでもない。


 では女子はというと入学後も進級当初もさすがに孤立させるのはまずいと思ったお節介でお人好しな女子がクラスにとけこませようとしたのだが佐藤美鈴本人にやる気がないことが災いし諦められることになりそのおかげで現在もクラスから孤立中である。こんなので一年間過ごしてどう思ったのだろうか少し気になる。


 そんな5月の半ばのある日。黙って窓の外を眺める彼女になぜか僕は話しかけていた。その理由は今でもわからない。


「何を見ているんだ?」

「…………別に。暇だから外眺めてるだけ」


 内心返答が帰って来たことに驚く。何も言わないか罵倒されるかと思っていたのだ当たり前だろう。


「暇なら誰かと話せばいいじゃないのか?」

「アンタに言われる筋合いはないわ」

「そうか」

「そうよ、そもそも私が好きでここにいるんだから何も言わないで欲しいわ」

「お前のことを思って言ってんじゃないのか?」

「そうなら邪魔しないで欲しいわ」

「なら暇なことを愚痴るなよ」

「わかってるわよ、そんことは、で何か用でもあったの?」

「別にないけど?」

「それなら話しかけないで」


 それきり会話はなし。さて、クラスを見回すとみんな驚いている。まあ、あの佐藤美鈴が人と話していたんだから当たり前か。僕自身でも他人なら同じ感じになるだろう。当事者なのがどこか恥ずかしい。


 さて、これが僕の佐藤美鈴のファーストコンタクトだった。宇宙人のファーストコンタクトよりは簡単だったと思える。


「おい、英雄」


 茶髪のいかにも軽そうな男が言った。こいつは友達の三上喜助(みかみきすけ)。情報通でなにかと便利な奴。ちなみに入学式で佐藤に一目ぼれし入学式直後佐藤のクラスメート全員の前で告白し玉砕するという伝説を作った男。


「なんだそれは」

「あの難攻不落の佐藤美鈴ときちんと会話したお前は今俺たちの希望で英雄なわけだ」

「えらく不名誉な気がする」

「それにしてもなんで悠ははなしかけたんだい?」


 黒髪の小柄で優しそうな顔の男が言った。コイツは栗原直哉(くりはらなおや)。一年からの友達で結構女子にモテる。本人はあまり恋愛に興味がないようだ。


「さあ、なんとなくな」

「なんとなくで話しかけるとはますます英雄だな」

「やめろ」


 そんなことで英雄なんて呼ばれたくない。


「スクープですよ! 大ニュースですよ!! バッドエンドですよ!!!」


 メガネをかけた女子が僕の前に来た。


「なんだ木山?」

「あの無愛想極まりない佐藤美鈴が人と会話しているなんて驚きです!! スクープです! 大ニュースです!! バッドエンドですよ!!!」

「いや、大ニュースなのはわかるがなんだよバッドエンドって?」

「ノリです」

「ノリかよ!!」


 木山秋子(きやまあきこ)。一年のとき同じクラスだった女の子。この学校唯一の新聞部員。人気がないのかしらないが人数不足で既に新聞部は廃部状態だが木山一人で勝手にやっている非公式な部活だ。教師に何も言われていないのは木山の実力だろう。


「そんなわけで記者としては今の心境を聞きたいんですよ」

「別になんともこっちも会話が成立したことに驚きだよ」

「なるほどドキドキが止まらないと」

「いったい誰がそんなことを言った!!」

「ちょっとした冗談ですよ。私のプライドにかけて記事には真実しか載せませんよ」


 そう木山の新聞には真実しか載らない。地道な調査で裏づけされた記事しか載せない。そのため定期的な発行は不可能だが学校ではファンも多い。


 「情報は鮮度も大事ですけど私は真実を伝えたいんですよ」彼女の言葉だ。


「さ~て、それじゃあ早速記事を書きますかね~」

「がんばれよ~」

「わかってますよ~」


 木山は教室を出て行った。


「さて、英雄」

「英雄言うな」

「まあ、がんばって佐藤をクラスになじませてやれアレでも美少女だ普通だったら…………ふふふ」

「お前それが本音か!!」

「当たり前だろう!!」


 拳を握る三上。


「僕を巻き込むな」

「この馬鹿野郎!! 栗原はわかってくれるよな!!」

「遠慮しておくよあとが怖そうだからね」

「くそー!!」


 三上が教室から出て行った……がすぐ帰ってきた。


「ここは追っかけるところだろ!!」

「面倒だ」

「追いかけたくないしね」

「クソー!!!」


 今度こそ本当に三上は教室を出て行った。その直後昼休み終了の鐘がなり教師に強制的に連行されていた。そして放課後。


「さてと、帰るか」


 僕は別に部活をやる気もないので帰宅部だ。


「じゃあな悠」

「ああ、じゃあな三上」


 教室を出て高校を出る。前を見ると佐藤が歩いていた。こいつこっち方面だったっけ? 孤立していたこともありあまり気にしていなかったのでよくわからない。


「……」


 とりあえず声をかける気もないのでただ歩く。ふと佐藤が振り返った。


「ねえ、いつまでついてくる気なの?」


 本日二回目の会話。何でいきなりこんなこと言われないといけないんだよと思ったが表には出さない。出したら面倒なことになりそうな雰囲気だったから。


「仕方ないだろ家こっちなんだから」

「……そう」

「?」


 佐藤はそれだけ言って再び歩き出した。


「なんなんだ?」


 わけがわからない。


「考えても仕方ないか」


 女の考えなどわかるはずもなく深く考えることなく家に向かった。


「ただいま~」


 返事は返ってこない。その後佐藤とはどこまで一緒だったか覚えていない。いつの間にか消えていた。この近くだということは確か。


「まあいいか」


 玄関からリビングへ。テーブルの上に置手紙が置いてあった。


「父さんかな?」


 見ると父さんの文字で書いてあった。


『悠へ

 今日から出張に行くので俺の分のご飯は作らなくていい。何か必要なときや困ったことがあったらすぐに電話しなさい。きれかかってたトイレの電気は変えておきました。いつもいつも迷惑かけるがよろしく頼む。

          父より』


 と几帳面な文字で書いてあった。


「なんだ出張か。忙しいな。おっと、先に参らないと」


 仏間に行き仏壇に手を合わせる。


「母さん。父さんはまた出張だよ。少しの間僕だけでさびしいと思うけど我慢してくれ」


 仏壇に飾られている写真には僕の母さんが写っている。僕の母さんは僕を生んだと同時に死んだらしい。それ以来男手ひとつで僕を育ててくれた父さんには頭が上がらない。子供の頃は仕事でほとんど家にいなかった父さんに反発していた頃もあったが今ではそれを悔いている。


「さてと、夕飯の準備でもするか」


 父さんがいない時は一人で料理しなければいけなかったのと父さんが壊滅的に料理が出来なかったのもあって僕は料理が出来る。父さん曰く料理の才能があるらしく母さん譲りの才能らしい。母さんも料理がうまかったという。僕の料理は母さんの味に似ているらしい。


「食ったことないからわかんないんだよな」


 そんなのでどうやって似たのかわからない。DNAにでも刻まれていたのだろうか。まあ、そんなことはどうでもいい今は夕飯を作ることに専念しよう。


「さて、なにがあったかな」


 冷蔵庫を開ける。


「お、豚肉だ。そうだな久しぶりに生姜焼きでも作るか。あとは玉葱とピーマンかよし」


 そんなわけで生姜焼きを作る。


「まずは下ごしらえっと」


 豚肉は食べやすい大きさに切る。ピーマンは細切りにし、玉ねぎは薄切りにしておく。それを醤油、みりん、砂糖、水、おろし生姜、おろしニンニクで作ったタレの中につける。


「さて、炒めますか」


 十分にタレがしみこんだところで炒める。


「はい、完成」


 うん、上出来上出来。出来たのは二人分。一人分は仏間に持っていく。


「はい、母さん、今日の夕飯だよ。口に合うかわからないけどね」


 仏壇に供える。こんなもの供えていいのかわからないが父さんが供えてやろうと言ったので供える。きちんと虫が湧かないようにしておく。あとの一人分はリビングのテーブルの上に運ぶ。


「さた、いただきます」


 今日の夕食は豚肉の生姜焼きと昨日作ったサラダの残りとご飯。


「うん、やっぱりご飯にあうな豚の生姜焼き」


 我ながら惚れ惚れするほどうまい。って何を言ってるんだ。数十分で夕飯を食べ終わり片付けに入る。


「ふう」


 片付け終わってソファーに座っていると。


『ニャア~~』


 猫の鳴き声が庭の方から聞こえた。


「この鳴き声はまさか!?」


 窓を開ける。


『ニャッ!!』


 鈴のついた赤い首輪をした黒猫が飛びこんできた。


「シュレディンガー!!」

『ニャ~』


 この黒猫はうちの愛猫シュレディンガー。放浪癖があるため時々いなくなっては数日から数週間後にひょっこり帰ってくる。名前は母さんが猫を飼うなら名前はシュレディンガーと言っていたらしくこの猫にはつけたらいけない名前となっている。


「お前今までどこ行ってたんだよ」

『ニャ~』

「わかんないよ」

『ニャ~』

「まったく、もう少しで放浪最長記録更新するところだったぞ」


 今回の放浪は三週間と六日。もう少しで一ヶ月という大台にのるところだった。


『ニャ』


 関係ないと言う風に一鳴きしてソファーで丸くなった。


「やれやれ。さて、風呂にでも入るかな」


 シュレディンガーを一瞥して風呂場へと向かった。

・

・

・

「ふう~」


 風呂から上がって階段を上り自分の部屋でベッドに座る。


「それにしてもあの佐藤が僕なんかと会話するなんてね」


 本当に今日は驚いたな。シュレディンガーまで帰ってきたし。


「さてと、ん?」


 見るとメールが来ていた。


「誰だ?」


 三上だった。


「なんだ?」


 読んでみるとどうやら佐藤と帰っているところを目撃されたらしいそのことについて聞かせろとのことだった。


「どこで見られたんだ? てか一緒に帰ってないから。あれ一緒の方向にただ歩いていただけだから」


 まあ、それを返信したところで面倒くさくなるのは確実なので無視をする念のため着信拒否にもしておく。


「これでかかってこないだろう」


 家の電話番号は教えていないからかかって来る心配はない。


「さて、寝ようかな」


 ベッドに寝転がる。いつの間にかシュレディンガーがベッドの上に居座っているがそれを少し脇にずらして眠りの体勢に入る。


「おやすみ」


 そう言って僕は眠りについた。


感想お待ちしてま~す。


更新は一週間に一話の予定。


ですが予定は未定です。時間がないです。あでもGWあるからなんとかなるかな。


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