表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異なるスキルの使い方  作者: 黒服
20/47

20:街の在り方

《おはようございます。マスター》

「おはようクロエ。アルマもおはよう」

「うん。おはよう、カナ」


 昨日飲んだドッキリポーションの効果によって、俺は真実の眼、アルマは宝物の園、という固有スキルをそれぞれ手に入れてしまった。

 話半分に聞いていたドッキリポーションを飲んで固有が増えた人がいるという話、まさか自分達がそうなるとはね。

 それで、肝心のスキルだけど、真実の眼の効果は[対象の詳細を知る]という所謂鑑定スキルだった。本家本元の鑑定スキルを持っていないからどっちの方が精度が上なのかは知らない。

 けど、こっちは固有だし?名前も凄そうだから俺は真実の眼の方が凄いと思ってる。

 宝物の園の効果は[異空間に生命以外の物を無制限に収納できる]まぁ、収納スキルだな。異空間の中は時が止まっていて、中に入れた物が時間の経過で劣化してしまうという事はないそうだ。

 それで無制限ってもんだから物は試しにと馬車を収納してみようとしたら、まぁ物の見事に収まりましてね。

 どちらも常時発動型で魔力消費が無い上にヤバい性能ときたもんだ。


 コピーキャットを覚えた時に神官様に卑怯と言われ、家族にはエグイと言われ、ますますその辺りに磨きが掛かってしまっただろうか?


「さて、冒険者ギルド支部に向かおうか」


 朝食を食べた後、アルマの武器である魔銃を購入する為に街中へと繰り出してきたんだけど、当然ながら我々にこの街の土地勘は無い。

 街の入り口から牧舎間、そして牧舎からダンジョン間までに武器屋は無かった。クロエも土地感は無いって言うし、じゃあもう誰かに聞くしかないよね。


「って事でニトさん。武器屋の場所教えてください」

「どういう事かは知らんが武器を探してるんだな?」

「はい。街の入り口からここに来るまでにそれらしい建物は無かったので」


 ポーション屋っていうのか?とにかくポーション売ってるお店が殆どだった。

 コランダムクラブを査定してもらった時のラウルさんの口ぶりからすると武器屋もそれなりに多そうなイメージだったんだけど。


「まぁそうだろうな。工房は街の西側に固まってるからよ」


 東側には、牧舎や薬屋、ポーション屋、生活雑貨店などが固まっており、武器屋はその反対の西側というのだ。

 ダンジョンの入り口も東側にあるから、そりゃ見掛けない訳だわな。


 理由もちゃんとあるみたいで、一か所の店で目当ての商品がなかった時に、別の店を求めて街中を彷徨う無駄を無くす為だとか。

 こと行商においては一つの店からでは無く複数の店から商品を仕入れる事もある。だから店の種類毎に区画を分けて購入し易い様にしているらしい。


 競合同士が隣り合ってたり向かい合ってたりとそんなんで商売出来るのかって思うんだけど、それについても「行商も冒険者も質の良いモノが欲しいからな」とニトさんが言っていた。

 まぁつまり客が取られたくなかったら技術を磨けって事で、店側の技術力向上という狙いもあるそうだ。


うち(リコッタ)はそんな構造してないよね」


 ギルド支部から出て、メインストリートを西側へと向かう道すがらアルマが言う。


「そんな構造にする必要がないからじゃないか?」

《ダンジョンが無いからですね》

「多分だけど」


 ウルスラはダンジョンが先で、街が後に出来た。区画整理なんかも必要無かったろうし、ダンジョンがあるという事は資源が豊富にあるという事。ここで言えば植物系統の魔物がメインだから、その素材が大いに関係するポーションがウリになっている。

 となればそれを目当てに行商が訪れるし、当然冒険者も来る。ならば、ニトさんの言った通りだ。

 

「一応、日本製品? 技術? がウリっちゃウリなんだろうけどさ」

 

 切れ味鋭い包丁とか。

 ただアレは祖父ちゃんの固有である創造:異の影響がデカいと思う。

 いや、もしかしたら日本の包丁のデフォルトがアレって場合もあるんだろうけど、確認の仕様がないしな。

 何て言ったっけ。サダイエ?カネスケ?


《グランドマスターは「日本の変態技術を甘く見ない方が良い……」と仰ってましたね》

「ミオさんのそれって、褒めてるのかな?」

《良い意味で変態だと仰っていましたよ》

「変態に良いも悪いも無いと思うんだよなぁ」


 まぁだからといって、今更お店を一纏めにするかといわれれば。だ。

 店移動するのもタダじゃないし。


 そうしてメインストリートを進んでいくと、工房区画に入ったんだろう。次第にカァン、カァンと相鎚を打つ音が聞こえ始めてきた。

 実は俺、この音聞くとちょっとテンション上がったりする。

 何を隠そう子供の頃は武器屋に憧れてて、しょっちゅう街の武器屋を覗きにいってたからな。

 子供の頃の俺がここに来たらそれはもうテンション上がりっぱなしだっただろう。


「とはいえ、こんだけ一杯あると迷うな」


 一纏めにされているから当然なんだけど見渡す限り武器屋な訳でして、一体全体どこの店に入ればいいのか迷ってしまう。

 初めて来るから常連の店とかも無いし。

 こんなことならニトさんにお勧めの魔銃の店聞いとけばよかったか。


 人それを後悔先に立たずと言う。なんて。


「アレ? アルマは?」


 どの店に入ろうかと考えていたら、いつの間にかアルマの姿が見えない。

 クロエに尋ねたつもりなんだけどそのクロエも居ない。


 あ、でもクロエ分かりやすいな。

 

 辺りを少し見渡せば探し人のアルマとクロエが一軒の店の前で佇んでいた。

 その店は周りと変わらない、石材と土壁で出来た建物だけど、他の店と違う点を挙げるとすればそれは、店先に花が植えられているという部分か。

 しかも花壇といっていいくらいにボリューミー。


「いや、植えてあるとはちょっと違うのか?」


【鉄花】

良質の鉄鉱石を使い、職人の手によって作られた鉄の造花。

モチーフはチューリップ。


 鈍色でやけに硬質的なチューリップがあったから気になって調べてみたら……もしかしてこれ全部そうか?


「あ、カナ」

「花見てたの?」

「うん。綺麗だなって思って」


 そこにあったのは鈍色だけで無く、白や、赤、青、黄色、といった色とりどりな花が植えられており、さらには種類もチューリップ、パンジー、サボテン…ぐらいしか解らんけど。とにかく種類も多数で、その全てが何かしらの鉱物で出来ていた。

 

「その花は僕が作った物なんですよ」


 アルマにこの花はこうだ、あの花はああだと説明していたら、店の中から出てきた少年に声を掛けられた。僕という一人称がよく似合う十歳くらいの少年だ。


「お兄さんは花に詳しいんですね」

「ん? まぁ、ね」


 スキルのお蔭だけど。

 プリムラ・マラコイデスとか初めて知りましたよ。

 

「ここは武器屋さんなのかな?」

「そうです。父が店主で僕はお手伝いですけど」

 

 挨拶みたいなもので俺の答えから話を拡げる訳でもなく、アルマの質問にそうだと答える少年。

 他の武器屋の店先に造花なんて無いし、もしかしたら造花を売ってるお店かもしれないと思ったけど、どうやらちゃんと武器屋みたいだな。


「それが何で造花を作ってるんだ?」

「鍛冶の修行です。」

「それは何となくわかるんだけど……そういうのって普通、短剣とかじゃないの?」


 リコッタの鍛冶屋のお弟子さんは短剣作ってたんだよ。

 当然と言えば当然だけど、扱いは値段の安い数打物だったけど。


「それも作ってるんですけど、小さな装飾品を作る事もあるので」


 聞けば武器や防具に装飾を施す事もあるそうで、言われてみればウチにも鞘にバラの装飾が施された白金の短剣があった事を思い出した。

 柔らかすぎて武器としての能力は全くないんだけど、白金だからそこそこ価値はあるみたいで。

 何かの記念品って言ってたっけ。


 で、どうせ作るならお店の宣伝にもなるし外に置いてみよう、と、試しに置いてみたところ、アルマみたいに足を停めるお客さんが増えた。


「そこですかさず君が出てきて店内に案内する。という訳か」

「そんなところです」


 少年は「アハハ……」と、悪戯がバレた時の様な笑顔でそう答える。

 似たような笑顔でも、向けてくるのが大人と子供じゃ全然違うなぁ。何で大人だとあんな憎たらしいんだろうか。


 しかしあんな言い方をしたけど、お手伝いだというこの少年がこの花壇を手掛けたというのであればこの店って結構良い店なんじゃないだろうか?

 素人からみても花壇の作りこみ具合は半端ないし…これは良い武器に巡り合えるかもしれないぞ。


「じゃあ折角だし、商品見させてもらおうかな」

「はい! ありがとうございます!」


 先ほどと違い屈託の無い笑顔を見せてくれた少年は、俺達を店内へと案内してくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ