表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡き皇帝のためのパヴァーヌ  作者: 五十鈴 りく
第2部✤花嫁によるメヌエット✤

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/49

11◇罪滅ぼし

 夜になり、宿の部屋で一人になった途端にブランシュはがっくりと落ち込んだ。


 ノアは、結婚歴のあるまっさらではないブランシュでも受け入れてくれたのだと思っていた。

 けれど、それはノアの優しさがそう見せるだけだったのだ。


 悲惨な目に遭ったブランシュを思い遣り、なんとか力になろうとしてくれている。

 ブランシュのために、セヴランとの離婚が成立するところまで手を貸すつもりでいてくれる。

 その後のことは、ノアが言った言葉通りではなかったのかもしれない。


 あの時、ノアは事実を告げながら泣いているブランシュに正直に言えなかっただけなのだ。

 そんな君とでは結婚は難しい、と。


 そのせめてもの罪滅ぼしに、今協力してくれている。

 だから、セヴランとの離婚が成立したら、ノアは『これで安心だ』と言って離れていくのだろう。


 結婚しているのだと、その話をした後からよそよそしくなった。ブランシュに触れられると、ノアはそっと避ける。

 ノアから触れることはほとんどない。


 今もなお、ノアがブランシュを好きでいてくれたとしたら、こんな対応はされないはずだ。

 ブランシュには過ぎた人だとわかってはいたけれど、心を預けきってから別れを告げられるのは苦しすぎる。


「……立ち直れる気がしない」


 神様の意地悪、と何度も何度もつぶやいて、それから疲れて眠った。




 翌朝、心痛のせいか頭まで痛かった。きっとひどい顔をしている。

 朝食の席でノアと顔を合わせたらびっくりされた。


「体調が悪いのか?」

「大したことありませんが、少し」


 すると、ノアは大きな体を屈め、ブランシュの顔をじっと見つめた。ひどい顔をしているのでブランシュは目を背けたくなった。これ以上失望されたくない。


「今日中にはシャルデニー男爵の屋敷へ着く。やっぱり君はここで待っているといい」

「でも……」

「何も心配しなくていい。すべて上手くいくから」


 ノアが言うように、セヴランを捕まえることなど彼には容易いのだろう。むしろブランシュがいると邪魔なのは知っている。


「ノア様はわたしに残ってほしいですか?」

「ああ。できれば連れていきたくない」


 それなら、なんのためにここまで来たのかわからないけれど、残ろう。


「わかりました。ここで待ちます」


 そう言うと、ノアはとても優しく微笑んだ。


「あまり思い詰めないようにな。昼寝でもしているといい」

「……はい」


 不意に泣いてしまいそうになるのを堪え、ブランシュはノアを見送った。

 もう会えないわけではないのに、今生の別れのようだと思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ