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#49 動き出す策略

 






 シンの村を占領した翌日。


 私は起き出してさっと着替えを済ませるとすぐさま広場に魔族と村人を集めた。行軍疲れがあったか思いのほか深寝入りしてしまったため目がしょぼしょぼする。コートはまだ乾いていなかった為、帽子もかぶらずシャツだけで外に出た。


 オドを呼び出し、すぐさま肩に乗せてもらう。うん、高い位置からの眺めはやはりいい。



「姫!」


「ん、なんだ……」



 オドの肩で眠い眼をこすっているとクォートラが血相を変えて駆け寄って来た。


 なんだ、何事か。



「そのような恰好を人間どもに曝すなど……!」



 ん、ああ……上着も帽子もかぶっていないからな。ラフに見えるんだろう。



「下着が丸見えではないですか!」


「えっ?」



 クォートラが目のやり場に困るような様子で言うもので、はっとして下半身を見れば成程。パンツは履いているがその上に何も履いていない。だぼだぼのシャツで概ね隠れはしているが黒いシャツから白い生足が伸びる姿は流石にだらしなく見えるか。


 しかし私は今一刻も早く起きぬけに浮かんだ案を固めておきたい。しまったな、とは思うが過去散々な格好で過ごしてきたんだ。魔族や人間に今更見られたとて別に恥ずかしくもないし。



「……別にいいだろう。減るものでもないし」


「姫!」


「なんだ! 気にされると私も恥ずかしくなってくるだろ! 私が気にしていないからいいんだ!」



 変に意固地になってしまったがクォートラは困ったように黙った。


 まったく。魔族相手に下着を見られたとて、そっとしておいてくれれば何とも思わなかったのに指摘されれば意識してしまい急に恥ずかしくなってきたぞ。履き忘れたのは私の落ち度だが別段そういう指摘を受けると思っていなかったし。しかしてまあ、魔族の文明的な文化は理解しているところだから、指摘は受けるべくして受けたのかもしれない。


 やはり女性は肌を見せないものなのだろうか。この世界でもそういうものなのだろう。


 次から気をつけるか。



 ふん、と鼻を鳴らして周囲を見やる。村人たちは昨日同様広場に集められていて、魔族たちがそれを囲んでいる。空は晴れているが未だぬかるんだ地面を見るに朝方までは降ったか。


 ゾフとツォーネがいやに私に視線を投げてきているのに気付いたが無視。



「お嬢の足、イイな......」


「あら、なかなかわかっていますわねハイオーガ。素晴らしいですわ」


「ああ、すごく美味そうだ」


「あなたとは分かり合えないようですわね」



 ……無視。



「出鼻をくじかれたような思いだが……おい村長」



 私はオープンな下半身を少し恥ずかしく思い、シャツの裾をぐいぐいと伸ばしたり足を組んだりしながらオドに命じて村長の前に立つ。


 村長は私の声にビクリと肩を震わせた後返事をした。



「は、はい……何用で御座いましょうか」


「この村にルイカーナからの巡回はあるな?」



 私の言葉に村長は少し目を見開いた。これは当たりか。


 推測に基づく質問。男どもが居ないのは徴兵されたからならば、巡回はあって然ると想定した。


 そして案の定、村長の口からたどたどしく答えが返って来た。



「はい、巡回はあります……騎士数名が定期的に」



 よし。ならばそれは利用しない手はない。



「次の巡回はいつだ?」


「あ、はい……ええと、明後日の昼頃かと」



 私はにやりと笑った。村長は何故? といった顔だ。巡回があれば私たちの存在がルイカーナの知るところになる筈なのに、と。


 しかして私はこれを利用できるのではと踏んだのだ。


 クォートラも察したか私に顔を向ける。



「姫」


「ああ、これは使えるかもしれん」



 私はオドの肩からクォートラににやりと笑って見せる。それを見た村長他村人たちは不安げな顔だ。私の表情からろくでもない事を察したのだろう。


 そしてその察しは正解だ。


 巡回までに、こいつらから得られるだけ情報は絞りとる。みんな大好き尋問タイムだ。どれだけ情報が得られるかはわからんが、知っていることは洗いざらい吐いて頂く。


 私が村長に目を落としにやりと笑って見せれば怯えたように竦んだ。





 ♢





 巡回までの数日はほとんど村人からの情報収集と村から少し離れた場所に陣地を作ることに費やされた。


 おかげで多少なりと情報は入った。


 まずルイカーナはファルトマーレ自治化ではあるものの力を持つ貴族たちが独立した勢力を持っているために、しっかりとした政治の仕組みがない事。ファルトマーレ王もルイカーナの扱いには大層困っているようだ。


 一応領主はいるが、より強い力を持つ貴族の傀儡だという。


 そして、ルイカーナで一番力を持っている貴族というのが、アレハンドロという名の貴族らしい。


 このアレハンドロはルイカーナで絶対に近い権限を持ち、他の有力貴族も彼には逆らわないと。そしてアレハンドロが有する黒紫騎士団なる実力派の傭兵を徴用した私兵騎士団が、おそらくルイカーナ最大の戦力であること等。聞いてみれば成程有益な情報が多いな。


 頭を叩くという作戦においてトップの名前と戦力の情報が多少なりと入ったのは大きい。まったくの手探り状態からは少なくとも進展があった。


 私は長屋の椅子に腰かけながら、話を聞き終えた村長を下がらせる。護衛のつもりか一緒に来ていたルクが、私をじっと睨んだ後、村長の後に続いて退室した。


 ルクの視線にクォートラが訝しげな顔をしたが、私は手で制する。


 何となくだが分かる。あの目は、ただの敵意ではないな。


 まあいい。見慣れた目だ。



 さて、と。


 テーブルの上に置かれた茶を啜ってからよっこらと椅子から降りる。


 そろそろ昼過ぎ。巡回が来るだろう。


 今この村にいる我が軍は3隊長及び魔剣士が30程。村の外にもう少し隠してある。村長の話が本当ならこれで十分なはずだ。


 ま、偽の情報など掴ませようものならすぐさま人質を殺してやるがな。


 私は情報を聞き出す際にまずこの村の子供達を一つの家屋に押し込めた。


 逆らうような真似や虚偽の情報を吐けばまず子供から殺していくと、大人たちに脅しをかけた。


 ルクや、ルクに目をかけているらしい守衛の老人が反発の兆しを見せたが村長に窘められておとなしくなっていたのだ。さっきのルクの私を睨む視線も人質を取るような外道に向けたものもあろう。



 と、長屋に魔剣士の一人が入ってくる。今はただの鎧を着た人間の姿だ。



「報告致します。この村に向かう騎士を斥候のゴブリンめらが見つけたと」


「来たか。鎧の色と数は?」


「は。銀甲冑の騎士が3名と」



 なるほど。噂の黒紫騎士団の者ではないか。そして少数で来た限りは本当にただの定期巡回だろう。村長の話に虚偽はなかったな。


 私はクォートラに目くばせし、クォートラはすぐに頷き長屋を出て行った。



「さて、私は村長の所へ行く。お前たちも直ぐ動ける状態で待機。合図を待て」


「はっ」



 魔剣士は敬礼をするとすぐさま黒い煙に包まれ骸骨の姿へと変じたのち、長屋を出た。


 私もふうっと息を吐いて長屋を出る。




 広場には巡回に備えた村人たちがすでに集まっていた。見張りの魔族がまだ数名残っている。


 私は浮かない顔の村長の所へ歩いていき、声を掛けた。



「村長、これから巡回の騎士とやらが来る。分かっていると思うが、ヘタなことはせず何でもない事だけを喋っていろ。そうすれば子供の無事は約束しよう」


「ほ、本当ですね?」


「なめるな。私たちはお前たち人間と違って口に出した言葉を反故にはしない」



 村長を睨み上げれば暗い顔で俯いた。


 さて、私も移動するとしよう。村人たちを見張っていた魔族達に合図をして、家屋に入る。あとは、騎士が来るのを隠れて待つだけだ。






 ♢






 騎士達は、あまり浮かない顔で現れた。


 兜もつけず、シンの村に入るなりいつも通り広場で思い思いの仕事をしている村人を見やり、手を振った。



 村人が気づくとすぐに村長が現れ、広場に進んだ騎士たちを囲む。


 村長は騎士の顔を見て頷くと、ゆっくりと相対する。その顔には親し気な色が浮かんでいた。


 私は家屋の中に身を潜め、戸窓の隙間から広場でのやりとりを伺っていた。



「村長、皆も連れて一緒にルイカーナへ行こう。ここよりずっと安全だし、食い物もある」


「前にも言っただろう。私たちはこの村を棄てられんよ……お前たちだってそうだったろう」


「そりゃそうだったさ……だけどルイカーナに行ってみて分かったんだ。こんなところで暮らすよりずっと安全なんだよ! 魔族だっていつ来るかわからないし……フリクテラがやられたの、聞いてるだろ……?」



 ほう。どうやらあの騎士たちは元この村の若い衆らしいな。


 それで村の連中をルイカーナに引き入れる交渉団の任務でも仰せつかって来たという訳か。同郷であれば話もしやすいという事だろうが、村長たちは渋っているようだ。若い衆と老人たちの里に対する意見の乖離はかつて私が生きた日本の僻地に通ずるものがあるな。若者の田舎離れ、といった所か。


 しかしまあ、今回ばかりは若者たちに賛成だ。戦時下においてはさっさと大きな町に避難するべきだったな。受け入れられるかは知らんが、こうして若者たちが勧誘に来ているのだからルイカーナ側も人手が欲しいか慈善事業か、なにかしらは思っていたのだろうに。


 だが、もう遅い。既に魔族の手はこの村に届いているよ。



 と、騎士の一人が周囲をきょろきょろと見まわしながら怪訝な顔をしている。


 そして村長に問うたのだ。



「なあ、子供たちはどうしたんだよ……? いつもなら元気に遊んでるだろ?」



 そのセリフを聞いた村長は額から脂汗を流して俯いた。頃合いかな。


 私は家の中の魔族たちに合図をした。途端に、家屋という家屋から魔剣士たちが広場へ飛び出していく。



 すぐさま騎士達が目を丸くした。それもそうだろう。連中にしてみればまだ平和なはずの村に魔族が現れたのだから。それも、家屋の中から。


 騎士達は慌てて剣を抜くが、村長が悲鳴のような声で制止した。



「よせ、やめろ! 抵抗すれば子供たちが……!」


「なんだって……!?」



 騎士達は理解しただろう。遊びまわっていたはずの子供たちの姿が無いのは、人質として捕えられているから。


 つまり、その意味するところは、故郷たるシンの村は既に魔族に占領されているという事だ。



 広場に居た騎士や村人たちを囲うように魔剣士達が詰め寄っていく。騎士達も剣を抜きはするが村長の一声が有った手前村人たちを守るように立つだけだ。尤も、様子を見ればわかるがどうやらただ装備を与えられただけの素人。フリクテラで戦った青マントの騎士達とは比べるべくもない。ただ着飾っただけの農夫だ。


 クォートラ達も広場に現れ、村人を囲む。


 魔族たちが完全に包囲を固めたのを見てから、私はゆっくりと広場に出ていった。


 村長が青い顔で私から目を逸らし、騎士3名は私を驚いた顔で見る。



「悪魔の相……! なんだこのガキは!」


「おい、村長! どういう事なんだよこれは!」


「なんで村に忌子が歩いていやがるんだ!」



 はて、おかしいな。魔族どうこうより悪魔の相を持つ私がいる事のほうに驚きを禁じ得ない様子だ。まあ、今は詮無きこととして流す。どうせありがたいユナイル教の敬虔なる信徒といった所だろう。反吐が出る。


 魔族たちを従えるように広場に立ち、騎士どもを見て笑う。



「ごきげんよう諸君。早速だが抵抗はしない様に。先ほど村長殿が言ったように村の子供達の命はこちらが預かっている」



 嫌悪感と驚きを隠しもせずに騎士たちは私を睨む。


 すぐさま魔剣士達が剣をガシャリと構えて威嚇する。魔剣士に囲まれている現状に怯えはあるが、それでも私への敵意もまた感じられる。ああ、アウタナを思い出すなあ。すぐにでもこの不快な表情を絶望の色に染め上げてやりたい、が。こいつらには役目がある。


 抵抗は無意味と察した騎士たちは剣を棄てた。魔剣士たちに向けられた剣に怯えながら、誘導されて村人たちの前にならばされ、跪くように促される。


 私と目線が大体同じになったところで、用件を伝える。



「さて、わかっていると思うがこの村は既に我々の手中だ。故にお前たちにはこちらに従ってもらう」


「お前、なんなんだ……! 悪魔が魔族と手を組んだってか!?」



 毎度このやりとりをやるのも飽きて来たな。



「そういう認識で構わんよ。語るのも億劫なので本題に入る。異存は聞かん」



 騎士達は未だ敵意を向けてくるが、未だ姿を隠したままの子供達や怯える村人たちの様子におとなしく従うしかないことは理解しているらしい。



「さて、まず質問する。先ほどのやりとりから、お前たちはこの村の人間たちをルイカーナに迎え入れに来た、であっているな?」



 騎士達はすぐには答えずに黙っていたが、私に目くばせされた魔剣士が老人の一人を小突くと目の色を変えた。



「ムン爺!」



 小突かれた老人は呻いて蹲り、そこにルクが身を寄せ体を気遣う。


 私はふう、とため息をつくと改めて流し目に騎士たちを見やった。理解しただろう? という私の目に観念したか、悔しそうな顔で語り始めた。



「ああ、そうだ」


「では次。それを命じたのは誰だ?」


「……アレハンドロ様だ」



 私は眉根を寄せた。こんなにすぐに親玉の名を聞けるとは。



「……アレハンドロがこんな村の人間を必要としているのはなぜだ? 徴兵ならば、お前たちだけで十分なのではないかな?」


「……そこまではわからない。俺たちは下っ端なんだ」



 まあ、だろうな。アレハンドロが持つ騎士団と言えば黒紫騎士団だというから、彼らの鎧を見るに黒紫騎士団ではない。



(戦力増強……? いや、それならば老人たちを囲い込む必要はないだろうし。単純な慈善だとでも……?)



 それは、ないなと。妙な確信があった。


 こんな時世に恵まれた貴族が下々に慈善事業など行うものか。人間はそんなに清い生き物ではない。


 だが、だとすれば妙に引っかかる。その辺りも聞き出せればいいが、本当に下っ端らしいこいつらからはこれ以上聞き出せそうにはなかった。


 やはり直接行くしかない。



「さて、諸々は分かった。では……改めてお前たちにやってもらう事がある」


「なんだ……?」


「お前たちの任務を果たさせてやる」



 騎士達は互いの顔を見合わせた。そして次に私が言った言葉に、驚くこととなった。



「村人を半分ルイカーナへ連れていけ……そしてお前達も一緒にルイカーナへ入れろ、だと!? 冗談じゃない!」



 騎士の一人がわめいた。


 私の要求はこうだ。村人の半分を連れてルイカーナへ戻れ。そしてそれに私を含めいくらかの魔族を同伴させろ、というものだ。向こうからすれば自分たちの牙城に敵を引き入れる手引きをするという事だから反発も当たり前だった。


 そして、私側からしても敵陣に少数で踏み入るわけだから保身として村人は半数この場に残す事を告げた。


 断るならば、用はないのでこの場で村人含め全員の命は保証しない、とも。



「どうする? お前たちへの要求は私たちをルイカーナに引き入れる事。そして街中での安全を保障するため我々の事は一切他言無用、最後に安全に帰す事だ」


「そんな事できるわけ……!」


「なら全員消えてもらうしかあるまい」


「ッ……し、下っ端の俺達がお前らの事を隠し通せるわけないだろ! 大体悪魔の相を持ったガキなんかがぶらぶら歩ける場所じゃあないんだ」


「それでもやれ。でなければお前も、お前の家族もあの世行きだ。選択肢を与えているだけ有情と思え。お前の働き次第で村人の安全は保障される」



 騎士達は苦い顔でぼそぼそと相談を始めた。そんなやりとりを固唾をのんで見守っていた村人たちも、私の口から明確に殺すという言葉が出たことで身を寄せ合い震えている。


 答えなど、わかり切ってはいるのだが。


 ――こいつらは、断れない。



「わ、わかった……いう通りにする。だからみんなの命は保証してくれ……」


「お前たちが約束を破らん限りはこちらも破る気はない」



 騎士は頷いた。


 さて、ルイカーナへ行く手筈は整ったか。あとは人員の選別だ。



「お前たちの家族を教えろ」



 騎士達は私の言葉に渋った様子を見せたが、すぐに家族を呼び示した。


 私はルイカーナへ連れていく村人から、その家族は外すよう命じた。反発はあったが、従わざるを得ない状況に騎士たちは歯噛みした。



「いいか。二日だ。二日経って私がこの場に五体満足で戻らなければその時点で魔族たちは残った村人を殺す。きっかり二日だ。肝に銘じろ。それから、ルク……といったな。お前も来い」


「っ」



 ルクは未だ腰をさすり顔をしかめているムン爺と呼ばれた守衛の老人を支えつつ、私を睨んだ。



「私は残るよ! 私がいなきゃ皆は狩りができないんだ!」


「ならちゃんと二日で私が帰ればいい。お前がしっかり働かなければどうせ二日の命だ。狩りなど関係ない」


「そんな……!」



 ルクは絶望の色を顔に浮かべた。気にしすぎだと言うんだ。ただ行って、ただ帰る。難しいことではないだろう。



「安心しろ。人間は例え2日程度まともに食事を取らなくても死にはしないよ。どれだけ死にたくてもな」



 私は目を細めルクにいう。私の脳裏には、まともに食事を与えられず、常に死にたいと願いながら牢屋で過ごした在りし日の地獄と......数日間も飲まず食わずで私の手を引いてくれたレイメが想起された。


 あれに比べれば......2日程度なんてことはない。



「クォートラ、ゾフ。手筈通りだ。お前たちは連れて行くには目立つからな。残ってフリクテラからの補給線をこの村に敷け。ツォーネと魔剣士数名が私と来い」



 声に従い魔剣士たちがすぐさま整列を始める。が、クォートラは未だに不満げな顔だ。



「クォートラ、案ずるな。人間は我が身可愛さにかんしては一流だ。お前たちが村人をしっかり見張れば危険は少ない」


「しかし……いえ、心得ました」


「俺は一緒に行きたかったぜ。留守番はつまらんが、わかりやしたぜ」



 頭を掻きながらクォートラに肩をポンと叩くゾフ。そしてその横で飛び跳ねるツォーネ。



「はあい、ココット様の身の安全はわたくしにお任せですわ!」



 変装をさせれば人間に紛れることもできるのは魔剣士とツォーネくらいという理由と、いざという時の戦闘力を加味しての人選だが、ボロが出ないか不安ではある。得物は持ち込めないが、素手でも騎士数名程度ならば連れていく戦力で何とかなるだろう。


 まあ、そうならないよう私がツォーネの手綱を握るしかない。今回の任務は、諜報潜入なのだから。


 思い思いに返事をした忠臣に頷き、準備を始める村人たちを一瞥する。


 そして、あと一人。



「キエル、お前もだ」



 沈黙を貫き私の後ろに俯きながらもずっとついてきていたこいつも、連れていく。悪魔の相も持たない生粋の人間だ。何かしらには役立ってもらう。


 キエルは私の言葉に少しだけ顔を上げ、青い瞳で私を見た後……静かに、頷いた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] え?履いてない…だと? ココットちゃんなんで生足と生ふとももちらっと敵味方構わずに見せつけながらうろうろしてんの しかも指摘されても服を着ない え??変態? いつの間にかこんないけな…
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