首都
基地の検門を抜ける。
「問題なかったっすね」
「だな」
検門では特に中を点検されたり、特に注目されることなくあっさりと通り抜けられた。
「通り抜けられたならよかったのでは」
「そうっすね、あっ首都中央部まで20分ほどかかるっすからこれ渡しとくっす」
サトウが助手席からA4サイズの封筒を取りだし、渡してくる。受けとると少し重い。
「これは」
「地図と金っす」
「地図はいいが金は」
「ナカイさんたちの電子マネーカード止められてるみたいっすから別の手段用意したみたいっすよ」
「止められてたのか」
「止められてたみたいっすね、まだ使ってないのでわかんないっすけど」
「仕方がないのではないですか、私達はもう死んだものと思われてますし」
「おねえちゃん死んでたの」
「書類上では」
「なんだそれだけかよかった」
「まあ別の手段がなにか分からないが開けてみるか」
封筒を開ける。中にはかなり薄い紙に書かれた地図に札束が。
「現金か」
「現ナマっすか珍しいっすね」
「ほとんど電子マネーだからな」
「後は地図ですが、サトウさん水ありますか」
「あるっすよ」
今度は水入りのペットボトルが渡される。それをトワが受けとると地図に水をかける。
「トワなにやってんだ」
それを止めようとするのだが、地図は少しの水で溶けてしまった。
「極秘資料を持ち出すときなどに使われる用紙だったので、破棄したのですが」
「内容は」
「覚えたので問題ありません」
「すごい、おねえちゃんあんな一瞬で覚えたの」
「ええ、同じものをまた書くことも可能です」
「へぇ、そうなんだ、やっぱりおねえちゃんはすごいのね」
「これくらいは当たり前です」
「私もできるようになるかな」
「それは、分かりません」
「そっか、でもおねえちゃんみたいになりたいから私頑張るよ」
「そうですか」
そんな会話を聞きながら現金を数える。かなりの贅沢ができる額が入っている。
「サトウ他になにかないか」
「シノダさんからっすが、下見のために街中を少しぶらついて欲しいって言ってたっすよ」
「それでこの額か」
「ここら辺っすね、降りてくださいっす」
「ああ」
ハンビーから降りる。
「サトウ助かった」
「別にいいっすよ、ナカイ隊長頑張ってくださいっす」
「ああ」
サトウとガッチリと握手をし別れた。
「それでナカイ何するの」
「ああ、それが」
「ナカイ、久しぶりだな」
何かを言いかけたとき誰かに声をかけられる。
「誰」
振り返るとそこには。
「ライラ」
「や、まあそこまで久しぶりじゃないかもしれないけどね、時間があるならお茶にしないか」




