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15 スキャンダル

「嫌っ、こっちに来ないで!! きゃっ!」


ズダーン。


美羅はベッドから落ち、床の上で起床した。

部屋には穏やかな太陽の光が差し込んでいる。

ああ、学校が始まるのだ。


「はあ……最悪。全然眠れなかった」


たった今、夢の中で執事に追いかけられて捕まりそうになった所で美羅は目が覚めた。


せっかくの休みだったが、学校に行くよりも疲れる羽目になってしまった。


美羅はよろよろと立ち上がり、制服に着替える。


「でも占い部屋の鍵は取り戻せたから、いっか」


部活が出来る。

それだけでもいいじゃないか、と前向きに考える。

美羅は着替えを終え、鍵をスカートのポケットにしまい、部屋を出て家族全員、リビングで朝食を取った。

そして玄関に行く前に、


「あっそうだお兄ちゃん、これ」


俊治が欲しがっていたフィギアを机の上に置いた。


それを見た瞬間、父と俊治は盛大にせき込んだ。


「俊治、そんな趣味があったとはな……」


「あら、あなただってフィギア集めてたじゃない」


「陽子、それはだな……」


「おい、美羅! 何でここで渡すんだよ!」


「行ってきます!」


美羅は元気よく玄関の扉を開けた。


***


今日は騒がしく、明らかに普段と様子が違った。

別に有名人が来るわけではないし、一体何だろう?


(まあ、私には関係ないな)


そう思った直後、原因が判明する。

教室のドアを開けると、そこには衝撃的な光景があった。


なんと、久と晶子が二人で話をしていたのだ。


(何で二人でいるの!!)


心の中で叫ぶが、表情は平常心を保つ。


二人は美羅に気づき、視線をこちらに向ける。


「美羅、おはよー」


「お、おはよう晶子」


ひきつった笑顔で美羅は晶子だけに挨拶をし、久には目を合わせないようにして、自分の席の椅子に座り、荷物の整理をする。


二人ともこちらを見ている……気がする。

そして美羅は晶子達がこっちに来ない事をひたすら祈る。


「あ、そうだ美羅」


(おい、こっち来るんじゃねえ!!)


という視線を晶子に送るが、駄目だった。

当然久もついてくる。

彼はたくらんだ笑みを浮かべていて、無性に腹が立つ。

晶子が美羅に大声で、


「あのさ、久君が婚約者のプレゼントを何にするか困っているんだって!」


「ええ!!」


その喚声は美羅だけでなく、周りの人からも上がった。

美羅は婚約者のことを公表したことに驚いただけだが、周りの女子は信じられない、といった反応だ。


「それで一緒に買い物に行こうって話になって、どういうのがいいかな?」


晶子は周りを気にせずに話を続ける。


このままだと、強制的に連れていかれそうな気がする。


そう感じた美羅は、


「あの私、今日用事が……」


「美羅」


久は美羅の話を途中で遮り、真剣な表情でこちらを見つめてきた。

嫌な予感が……、


「一緒に選んで欲しい」


艶のある声で美羅に囁く。

案の状、周りからは黄色い声が上がる。

最近、この世界は久に都合が良いように出来ているのではないのか、と思うことがある。


「うん、行こう行こう!(後で仕返ししてやる!)」


美羅は満面の笑みを浮かべた。


(結局、部活が出来ないよ~。はあ)


そんな美羅をよそに、二人はプレゼントについて具体的な事を話し始めた。


(あれ? そういえば晶子は何で、久が占い部屋の鍵を持っていることを指摘しないのかな?)


晶子には、(怖い思いをして)占い部屋の鍵を取り戻したことを伝えていないので、久が持っていると思っているはずだ。


疑問に思いつつも、晶子と久の会話にただ耳を傾けることしかできなかった。


***


授業が終わり、美羅は素早く荷物をまとめ、晶子の所に行った。

これは久と二人きりにならないようにするためだ。

晶子の準備が終わると同時に、久がやって来て、三人は教室から出た。


美羅はあまり二人の話を聞いていなかったので、とりあえず、後をついて行く。


(私、いてもいなくても同じじゃないのかな?)


途中で消えても……と考えていたら、久が美羅に話を振って来た。


「美羅」


「何でしょう?」


「あのさ、瑠璃さんは何色が好きなんだ?」


「うーんとね、基本的に淡い色が好きみたい。特に水色かな」


「そうか、そしたら……」


彼は人の心が読めるのだろうか?

ある程度話した後、また晶子と話し始めた。


ぼんやりと二人の後を歩いていると、本当に同じ人間? と美羅は思う。


楽しそうに話す二人は本当に、お似合いだった。


久は言うまでも無く美しいが、晶子もなかなかだ。

この光景を見た大半の女子は、久を諦めるに違いない。


「……婚約者はいろんな意味で大変だね」


美羅は小声で呟いた。


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