閑話.元家族1
〈side:ガレン〉
「クソっ!あの愚息め!大人しく戻れば良いものの。お陰で優秀なエレンは騎士団に捕まり、牢屋へ刑罰を受ける羽目になってしまったでは無いか!」
と、ユージの元父のガレンが、自分の経営する店舗の社長室の机へ拳を叩きつけ、荒れていた。
そもそもユージを復縁させようとしたのは、決闘時にユージが見せた実力もあるが、それよりも最後にユージが見せた数多の武器を己の店舗で売り捌こうとしていた。そして用済みになった暁には、その辺に捨て置こうとしていた。
実にゲスい親である。
「しかも何だあの愚息は!親に対して、あんな態度を取り、しかもいつの間にか王様との繋がりを得ていただとぉ!?有り得ないだろうがぁ!」
ユージのガレンに対する態度はともかく、そもそも、一般の庶民が王と繋がりを得る事以前に、まともに話す機会すら得られない。
それなのにユージが、王様と繋がりを得ていたという事実に、冷静さを欠き苛立っていた。
「貴方、例の方が此方へ来てくださっていますよ?」
と、エリーナがガレンに言った。
その言葉にガレンは、冷静さを取り戻し、気色満面の笑みを浮かべて、
「おぉ!来てくださったか!」
と、言いながら客間へと移動した。
客間はそこそこの広さで、防音の仕様となっている。
その客間には、1人の小太りの商人らしき格好の男性がいた。
「久しいですなぁ」
「そうですね。久しぶりに貴方とご会いしました。」
「けど、今回の決闘の件は、災難でしたねぇ。」
「まさか、あの愚息があんなにも強いと思いませんでした。」
と、ガレンは男性と会話をした。
「ところで次の例のアレが1週間後に開催されるようです。」
「ほぉ、誠ですかそれは?」
「えぇ、しかも中々の商品がオークションに掛けられるそうです。」
「いやはや、楽しみですなぁ。」
と、商売の話、いや、違法商売の話をしていた。
「場所はいつもの所と、なっています。」
「そうか、わかりました。」
「でも凄いですよねぇ、この十数年位は大々的にやっていても、見つかりませんでしたし。
賢王が統治しているこの土地でも流石に分からないでしょうか?」
「はっはっはぁ、気にする事は有りませんよ。我らには商業の神がついて居られる。」
「ははは、それもそうですね。」
と、2人してご機嫌な様子で話していた。
しかしガレンは、数ヶ月もしない内に自分の商会が落ちぶれていき、自分の今までしてきた違法な行為が、騎士団にバレてしまうのである事をまだ知らない。
〈side:エレン〉
「ちくしょうっ!どうしてこの俺が牢屋に入らなければならない!」
エレンは、ユージにボコられた後、直ぐに駆けつけてきた数名の近衛騎士が率いる騎士団に束縛された。そして何も聞かされずに王宮内の牢屋へと入れさせられた。
「どういうことだ、俺は何も悪いことをしてないぞ!躾の悪い無能な弟に言い聞かせるつもりでやったのだ!」
など、牢屋に入れられている間、ずっとそんな妄言を吐いていた。
それから数日後、エレンよりも数段階級が上の数人の騎士達が、エレンを収容している牢屋の檻の前へとやってきた。
「出ろ、お前の罰がお決まりになられたようだ。」
「罰っ!一体俺が何をしでかしたのだ!」
「後にわかる。着いてこいっ!」
と、エレンは言われ、無理矢理座っていたエレンを引き起こし、連れていった。
エレンが連れて行かれた先は、玉座の前であった。
「これはどういう事だ?」
と、エレンは近くにいた騎士に疑問を尋ねた。
だがその前に、王への礼の号令がなり、近くにいた騎士も周りにいた騎士たちも、他にもその場にいた文官や貴族そして少し遅れていたがエレンも一斉に膝まづき、礼をとった。
「良い、皆の者、面を上げよ。」
と、アルマン王が周りに言うと、ギロっとエレンへ向き睨みつけた。
「今回の出来事は、大変余は悲しく思う。一介の騎士がこの王都内で抜剣をし、重要人物に対して、殺人未遂という罪を起こしてしまったからな。
で、貴様、何か詭弁はあるか?」
と、アルマン王は怒りを隠さずにエレンへ尋ねた。
そのアルマン王の怒りの様子に、一瞬怯んだ。
「っ……それは……あの…、愚弟のユージが俺に対して、口答えをしたので、痛めつけ解らせてやろうとしただけです。抜剣をしましたが、殺そうとはしませんでした。」
と、エレンはアルマン王の重要人物と言う言葉に、疑問を抱きながら、自分は悪くないと、愚かにも自分のしでかした事を理解せずに、弁解していた。
「ほう、貴様まさかその事を悪くないと言うか。
貴様、人として終わっているな。道理であのおか……おほん、少年も関心を失くす訳だ。」
と、アルマン王はエレンに蔑んだ目で見て言った。
エレンは一瞬、激昂仕掛けたが、王の前で非礼をする訳にはいかないと、思い留まった。
「そもそも貴様は勘違いをしている。
1つ目は、この国の法律上、正当防衛や緊急時以外の殺害や指定されている場所以外の王都内での武器・魔術の使用は、重罪となっている。
まさか騎士である貴様が忘れた訳ではあるまい。
よって、この時点で重罪になっているんだが。
そして2つ目は、暴力だな。家族とはいえ、無闇に暴力を振るうことを法律上でも、禁止しているし、賠償金を払う事になっている筈なんだが。
おかしいな、お前、先程少年にわからせようと、抜剣したと言ったな。何だ日頃からそのような事をしているのか、調査をした方がいいな。
そして3つ目は、絶縁をしていて、他人となっている筈なのに、無理矢理連れて行こうとした。
これはある意味誘拐犯と捉えてもおかしくはない。
そして最後に、短剣や書類を見せていなかったとはいえ、お前よりも権力が上の少年に非礼をしたことだな。」
と、アルマン王は説明した。
「待ってくださいっ!3つの理由はわかりましたけれども、最後の俺よりも愚弟のユージの方が権力が上って、どういうことですか!?」
と、エレンは周りから睨まれつつも、アルマン王に質問した。
「言葉の通りだ。お前よりもあの少年の方が位が上で権力も上だ。
決闘が終わったあとに少年を、公爵位の権力を持つ様に、短剣と書類を渡し、我が国の最上級の重要人物としたのだ。」
と、アルマン王はエレンに説明すると、エレンは顔を真っ青にし、冷や汗を流した。
「そ、そんな、あの愚弟のユージが……。」
「あぁ、安心しろ刑は軽くしてやる。そもそも、あのおか……おほん、あの少年は、お前に関心が無いらしく、別に刑は無くても、そちらで自由にしても良いと、聞いている。
もう聞きたいことはないな。では刑を言い渡す。
貴様は騎士の称号を剥奪、及び多大な額の罰金、半年間の懲役だ。」
と、アルマン王がエレンに告げる。
エレンはアルマン王のユージが俺に関心が無いという言葉に怒りを覚えたが、愚弟のお陰で助かったという、歪んだ感謝の気持ちを抱いた。
(はははは、あいつもたまには、良い事してくれるじゃねぇか。)
と、考えて、玉座の間から退出し、牢屋へと向かった。
「王様。よろしいので?」
「あぁ、別に大丈夫らしい。勝手に自滅してくれるみたいだからな。一応、諜報部隊の者に監視させておけ。」
「わかりました。」
と、アルマン王と近衛騎士が会話をしていたのに気付かず。
今回もこの作品を読んで頂きありがとうございます。
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