54 選択肢の先へ――
すみません、今回はスマホの方と携帯の方は読みづらいかもしれません。
「ふうっ……」
「にーちゃ、おつかれ」
カエルはなんとか倒せたが、相変わらず第一の門番ボスとは思えない厄介さだ。
「ボス戦とはこういうものだ。思い知るがいいいーふはははー。ってのが、運営の考えだと思うよ、にーちゃ」
「結局、そのボスも高火力ブッパが定石になってるけどな」
Q:敵が強くて倒せません。どうしたら良いのでしょう?
A:レベルを上げて、殺される前に殺せ。
……うん、真理っちゃ真理だとは思うが。
「うっしゃ! ボス撃破! これでやっとロロクに行けるぜ、マジ!」
「はいっ、もう課長から部長に間違われるのは飽き飽きでした」
「ンむ……バンザイ」
「やっと『錬金の手引き2(クエスト)』が出来ますー。あれをやらないと使い物にならない素材が多くて、困いっちんぐなんですよねー」
と、喜びの声が続々と届いております。
まぁ、それはそれとして……“アレ”は何処に行った? さっきから探しているんだが、まるで見つからない。そうそう失くす様な大きさのものではないんだが……
「にーちゃ、なにしてるの?」
がらがらと岩をひっくり返したりしている僕を不思議がり、妹がとててとて、と傍に寄ってきた。
「いや、剣がね……」
カエルと共に吹き飛ばされた蒼軽鉄の大剣。カエルにぶん投げられたジャガリアンソード。カエルに突き刺さったままだったショートソード――その全てが一様にして見つからない。
もしかして……手元を離れたことによってロストしてしまったのだろうか?
そんな考えが過り、じわりと嫌な汗が額に浮かんだ。
「あ、にーちゃ。それたぶんストレージの中」
「え?」
ライムの言うとおりに、ウインドウを開き、アイテムストレージの中を確認してみる。
「……あったよオイ」
僕のアイテムストレージの中には、紛失した三振りの剣が堂々と記載されていた。試しに芋剣を出してみる。
シンプルすぎるデザインの片手剣が、僕の右手に収まった。
「捨てたものや一部例外を除いて、手元を離れたアイテムは三十秒ぐらいでストレージに戻るよ、にーちゃ」
……だったら、ショートソードとか、あまつさえナイフ二刀流とか使う必要はなかったな……。アイテム個別取り出しを使っていたから気が付かなかった。
まぁ、デスペナが二時間の経験値半減程度というゲームで、武器が手元から離れただけでロストなんて仕様にはならないか。
「さてさて――」
ライムがばさりと外套を払う。
「そろそろ夕飯だから落ちる。もしまた用があったら、ファアートの掲示版に『XYZ』と書いて連絡して」
「迂遠すぎるっ!?」
普通に連絡取れよ。マイテが連絡先知ってたじゃん。
「おーう、じゃ、またな。サンキューな、マジ助かったわ」
「またねぇー、ライムちゃん、にーちゃさんー」
「むふぅ……グッバイ」
「今日は傭兵ありがとうございました。らいむちゃん、おにーさん」
――【サーバーとの通信を切断しました。またのプレイをお待ちしております】――
「――ふぅ」
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。
+ ログアウトアナウンスの後。
* いつもの見慣れた部屋がバイザー越しに映し出された。
。
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。
+ ――――ガチャ。
* 突然にドアが開く。その向こうからやって来たのは、僕の妹の未来だ。
。
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。
+ 「にーちゃ、やっと起きたの? ごはん冷めちゃうよ」
*
。 相変わらず口うるさい妹だ。
゜
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。
+ そんな妹の未来を僕は――――
*
。 ・1:「世界で一番愛している」と告白した。
゜ ・2: ベッドに押し倒した。
+ ・3: いや、やめておこう……僕たちは兄妹だ……
。
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「……なぁ未来。視界の下のほうに、なんだかウザいテキストと選択肢が出てくるんだが?」
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。
+ 「なに言ってるの? にーちゃ。まだ寝惚けてる?」
*
。 僕を半眼で見つめつつ、未来はため息を吐く。
゜
゜。+。゜゜。*。゜゜。+。゜*゜。゜。+。゜゜。*。゜゜。+。゜゜。*。゜
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「オイ、テキストに合わせてアテレコすんな」
結構、イラっとするんだが。
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。
+ 蔑む様な未来の目線にイラっとする。
* どうやら、おしおきが――
。
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⇒【Skip】
┏━━━━━━━━━━━━ ー □ × ┓
┃【未読テキストはSkip出来ません】┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
ウ ゼ ー
なにもかもがウゼー。
゜。+。゜゜。*。゜゜。+。゜*゜。゜。+。゜゜。*。゜゜。+。゜゜。*。゜
。
+ ――おしおきが必要なようだな。その時僕は、
*
。 ・1:「未来たんペロペロ」とルパ○ダイブをした。
゜ ・2: 未来をベッドに押し倒した。
+ ・3: いや、ぱふぱふだけにしておこう……僕たちは兄妹だ……
。
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――――
「おい待て」
妹を襲う選択肢しかないのはまぁ分かっていた。未来だもの。
でも3番。テメーは駄目だ。
無いだろ? な? 何がって……ほら……。厚み? 質量? 体積? そこらへんの何かの、絶対的な数値が足りていない。
いや、言わないけども! 口には出さないけども!
「攻略対象は妹ひとりのみ。AVGとは名ばかりの、選択肢一つのみでエンディングまで行っちゃうタイプの低価格帯エロゲだよ。にーちゃ」
あ、ここはアテレコじゃないわ。そしてエロゲって言っちゃった。自重しろ16歳。
「ちなみに選択肢で変わるのはエロシーンの内容のみで、妹と結ばれること自体に変わりはないよ、にーちゃ!」
さいですか。
「さあにーちゃ。妹とめくるめく官能の世界へっ!!」
⇒2: 未来をベッドに押し倒した。
【スクリプトエラー】
:――指定アドレスにテキストが存在しません―― エラーコード:2x31Q4
「…………」
「…………」
「……えーっと、きゃあ、なにするのにーちゃ。わたしたちは兄妹なんだよっ」
「清々しいほどの棒読みだな。妹よ」
ドタリとベッドの上に倒れ込んだ未来を、冷やかな眼で見下ろす。
まぁ、煽るだけ煽っといて、詰めが甘いのはいつも通りの妹さんだ。
「体験版以下の内容量だな、妹よ。というか、ちゃんとテキストが用意されている選択肢はあるのか?」
「……“3番”」
ぶーたれた顔でベッドから上体を起こす妹様。
よりにもよってその選択肢かぁ~……
⇒【ひとつ前の選択肢に戻る】
⇒3: いや、ぱふぱふだけにしておこう……僕たちは兄妹だ……
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+ まてまて……僕は何を言っているんだ?
* 未来には挟むほどはないじゃないか――
。
゜ おっぱいがっ!!
+
゜。+。゜゜。*。゜゜。+。゜*゜。゜。+。゜゜。*。゜゜。+。゜゜。*。゜
――――
「自虐ネタかよ」
「貧乳でわるーございました」
さらにぶーたれる妹様。
そこは俯きがちに『おっぱいちっちゃくてゴメンね……?』だと萌えるんだがな。
いや、言わないけども。
「それはともかく、夕飯の買い出し。にーちゃ」
「……おう、行くか」
VR酔いも治まったので、ヘッドギアを外し、二人で部屋を出る。
――なんのかんのでいつも通りの夕方だった。




