終わりの剣
「ビル!」
女王は死刑場に乗り込んだ。
そこにはたくさんの人の中で見世物の様に椅子に縛り付けられているビルがいた。
「…陛下!?何故ここに?」
そう言ったビルに近付き、女王はビルを縛っていた縄を解き始めた。
「決まってるじゃない!助けに来たのよ!」
「…陛下」
「大丈夫よ!まだ死んでない!死んでな…っ」
最後は涙で声が出なかった。
「陛下、もういいんですよ」
「良くない!だって私は納得してないもの!私は…もう…」
そう言って泣いている女王をビルから離そうと周りの人が手を出してきた。
「女王陛下、ここは貴女が来る様な場所ではありません」
「そうですよ女王様。貴女様がここにいては……」
その言葉に女王は首を振った。
「嫌よ!誰がビルを置いて行くもんですか!」
泣きながらそう言った女王に対し慈悲の想いを持ちながらも人々は二人を引き離した。
「嫌!放して!ビルの所に行かせてよ!」
「女王陛下、どうか落ち着いて下さい。私達だってこんな事はしたくはないのです」
「っ!だったらどうして!」
そこで空間が固まった。
「ごめんなさい女王様…貴女様の幸せをとりあげてまで私達が幸せになろうなど、おかしいですよね。…ごめんなさい」
「それでも私達は死者を出したくないのです」
辺りが静かになった。
「……私は…別にいいの」
かすれる様な声で女王が言った。
「それでも大切な人だけは傷付けたくないの!」
女王は近でナイフを持っている人からナイフをとり上げた。
「戦争を起こさないでビルを助ける方法は一つだけあるのよ」
女王はナイフをかざした。
「ビル、ちゃんと幸せになって」
女王は笑顔でそう言い目を閉じた。
「陛下!駄目です!陛下!!」
ビルは縛られていた縄から抜け、女王の元へ走った。
それでも間に合う事はなく
握られたナイフは女王の華奢な体に突き刺さっていた。