12時の約束
「ちょっとビル!どこへ行くの!?」
私はビルに手を引かれ、城の中を歩き回っていた。
すると突然、ビルは私の方へ向き直った。
「陛下。私は陛下を外に連れ出そうと思っています。…もし、陛下が望むのならば…ですが。」
真剣な口調で告げられた言葉は、私の胸に深く突き刺さった。
ねぇ、ビル?
貴方は今、自分が何を言っているのか分かっているの?
それがどうゆう意味なのか、
それが私にとってどうゆうものなのか、
貴方は、
私の気持ちを知っていて
そんな事を言っているの……?
「…分かったわよ!行くわ!でも準備くらいさせてちょうだい!」
「…分りました。では、陛下の部屋の前で待っています。」
…本当に、もう!
何でビルはあんなに落ち着きはらってるのかしら!?
…バカ…よね?上手くなんていくはずがないのに…
「………。」
こんなに嬉しいなんて…ね?
「陛下?そろそろ準備は終わりましたか?」
「え!あぁ、終わったわよ?今行くわ。」
「…陛下…」
ビルは私を見るなり飽きれたように顔をおさえた。
「……何よ?」
「その格好で行くつもりですか?」
私はいつものピンクのドレスを着ていた。
「え?駄目なの?」
「……アホですか?」
「まぁぁあ!」
ビルは一度ため息をついてから私を見た。
「陛下。本当に行く気あるんですか?」
とりあえず、桃色のワンピースに着替えた後、城を出る作戦を立てた。
「じゃぁ、この後12時に門を出ればいいのね?」
「ええ。私は先に出て、城下町の『チェシャ』という雑貨屋でお待ちしています。」
―――空が明るくなってきた…
でも、もう私には怖いモノはないわね……
そろそろツッコんでくれてもいいわよ?猫?
(↑気にしないでください。)