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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Possibility! 皇子の思考は加速する。【後】

「実際に可能かどうかはわからないけれど・・・。」

 彼女はそう前置きをした。

したが・・・。

「絶対に無理というわけではないわ。ただ、後者は別としても前者は・・・。」

 理由はわかっている。

そこに辿り着くまで、研究に研究を重ねたのだろう。

「同調可能な魂を見つけ出すのも難しい?」

 オレは眉をしかめる彼女の二の句を繋げる。

女性のそういう表情は見たくないなぁ・・・。

「そうね。それに倫理上、許されるものではないわ。」

 "許されざる存在"という事だ、オレは。

別段、反論なんかしない。

自分でもそう思う。

「操作されかかっている意識を解き放つには?」

「さぁ?」

 さぁって・・・困ったなぁ。

「だってかなり高度な術だもの。そう見られるものじゃないわ。」

 やっぱり?

全く、ロクでもないな。

「でも、魂とか意識って、そう簡単に支配されたりはしないの。」

 トウマの魂は死にかけていたり、肉体から離れていたのかも知れない。

シルビアも、つけこまれる何かがあったのかも。

「なるほど。先生には本当、沢山質問してすみません。」

「いえいえ。」

「じゃ、あと二つくらいかな。質問。」

「何でもどうぞ。答えられる範囲ならだけれど。」

 意外・・・というか、思った通りに気さくな人だ。

「先生のお名前と・・・あと、本は?」

 一瞬の沈黙。

済ませるべき用事の存在を互いにすっかりと忘れていた。

あぁ、オレが質問しまくったからだよな、うん。

「・・・そうでしたね。少し待って下さい。」

 そう述べて、部屋の奥へと去って行く。

「しかし・・・。」

 そうなると、オレ自身の弱った魂には、別段術使いの才能というものがあるというワケではないらしい。

トウマの魂の形質を使えば可能かも知れないが、使おうとも思わない。

それは確かにオレの魂の一部だが・・・何となくそれは侵してはいけない領域な気がする。

普段のオレの思考回路だったら、使えるモノは何でも使ってヤル!とかいう方向性なんだが・・・。

こればっかりは別だ。

手段を選ばなさ過ぎて、自分を捨てたら人間お終いだ。

オマエに捨てるような自分があるのかとか、突っ込むなよ?

「はい、これよ。」

 先生はお目当ての本をオレに差し出す。

・・・意外とブ厚い。

これを全部理解しつつ、必要な要点部分を模写するにはどれだけの手間がかかるだろう。

やるしかないか、一度決めたんだしな。

「ありがとうございます、先生。」

 両手で本を受け取り、頭を下げる。

礼儀は大事だぞ。

「リディアよ、私の名前。」

 何故、貴族姓を言わないんだ?

オレに親しげに名前で呼べと?

「・・・ありがとうございます、リディア先生。」

 渋々だが、感謝の言葉をやり直すと満足げな表情を浮かべるリディア先生をオレは意外と子供っぽいなと思った。

悪い意味じゃなく。

オレの周りにいる人間を彷彿とさせる。

きっとオレが皇子という身分じゃなくて、先生が神器使いじゃなければ、しっかりとした尊敬と信頼を持った師弟関係になれたと思う。

「このあとは、早速お勉強?」

「え?あぁ、それもいいんですが・・・。」

 前言撤回。

子供っぽいのも考えものだ。

絶対にワザと聞いている。

そして半ば強制的にある方向へと促されている気がする。

先生相手に突っ込んでいいものだろうか?

「・・・アイシャ姫との夕食の約束がありますので・・・。」

 えぇぃっ!オレの意志薄弱者めっ!

オレの苦悩をよそに、リディア先生は微笑みを崩さない。

この人は異文化交流(?)推奨派だからな。

皆、ちっとも今のオレとの身分の差を考慮してくれない。

大体にしてだ、生徒と先生という関係でなかれば、今のこの序今日だって有り得ないような光景だ。

「・・・では、失礼致します。」

 これ以上ここにいると溜め息どころか悪態をつきそうで、早々に退散した。

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