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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅴ章:黒の皇子の価値を決める者。
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シバられる必要なんてないというコト。【中】

夏休みなんて知るかスペシャル終了ですかね?(苦笑)

「どうなさいましたかぁ~?」

 相変わらず、オレを癒す為だけのふんわりとした喋り方をしてくるシルビア。

「いや・・・ちょっと思考を整理してたんだが・・・。」

 整理も何も仮説だらけ。

「整理できました~?」

 通されたのは簡素な部屋で、床に真紅の敷物と木で作った寝台と机と椅子ニ脚のみ。

「盲目の彼女が、知り得ないだろう情報を知っていた理由なんだけど・・・。」

 オレの壊れかけた(?)記憶の中で、"盲目"という単語と、この地域。

そして、それが可能な能力というので検索をかけると・・・。

困った事に一つだけ該当するモノがある。

かくして予言の力を得し者は、目で見る必要はなく・・・。

学舎で聞いた"盲目の予言者"の話だ。

神器のように得た力を継げるというのなら、話は早いんだが。

もしかしたら、予言の力というのも術使いの一つのカタチなのかも知れない。

そうならば何の事はなく、オレ達の帰還を予言しただけだ。

一番安直で簡単に辻褄が合う分、それだけで片付けるのはかなりの抵抗がある。

予言の力というのが存在するというのは、リッヒニドスのダークエルフで知ってはいる。

が、アレも凄く抽象的だったしなぁ。

そんなんで、的確な情報を得られるのだろうか?

「アルム様?」

 ダメだな。

相変わらず考え込むと、他が疎かになる。

本当、この癖直さないとなぁ。

「どうしたシルビィ。」

「ここにいる間、決して誰にも心を許さないで下さい。」

 ・・・冗談・・・ではないな。

口調が変わってる。

「シルビィ?」

「今からです。難しいと仰るなら、"私ごと"で構いません。」

 それ程、ここから先は危険・・・か。

「ありがとう、シルビィ。」

「いえいえ~。」

「でも、"嫁候補"を信じられない程、心は狭くないつもりなんだけどな。」

 オレの言葉ににっこりとシルビアが微笑んだところで、扉が叩かれる音が。

「早速か?」

 思わずシルビアにそう呟く。

彼女はオレの反応を伺うと、扉を開ける。

「よぉ、荷物置き終わったか?悪ィな、姉ちゃんが話しがあんだってよ。」

 一気にまくしたてるハディラムの後から、アシュリーヌさんが顔をのぞかす。

恐らく気配だけでこっちを向いているだけだろう。

「あぁ、構わないよ。」

「そか、んじゃ、帰りの誘導があるし、俺様は部屋の外におるわ。」

 そう言うとアシュリーヌさんを部屋の中に促し、さっさと外へ行ってしまう。

・・・オマエの姉は荷物か、全く。

「あの、二人だけでお話したいんだけど・・・?」

「あらぁ~、私は何時でもアルム様のお傍にいるのが務めですぅ~。」

 相手の目が見えないせいか、シルビアに何時もの微笑みはない。

早速か・・・早速なんだな。

でも、オレは何時もそこそこに警戒出来てると思うんだけどなぁ。

「あら、貴女、"北の民"かしら?珍しいわね、そんな人間がヴァンハイトにいるなんて。」

 北の民?

新たな単語だ。

シルビアの"過去"に関する事か・・・。

「シルビィ、大丈夫だ。外で待っていてくれ。」

 本当はオレは知っていなきゃいけないんだけどな。

でもさ・・・なぁ?

「わかりました。」

 シルビアもハディラムと同じように部屋の外へ出て行く。

「他人に自分の大切な部下の事をどうこう言われたくないんだが?」

 丁寧語なんて、もう面倒だ。

ただオレの中で一本線引きをする。

「それは失礼しました。でも、北の民がヴァンハイトと一緒にいるなんて、皇子様は変わった方。」

 何かイラつくな。

「オレは出自や外見は気にしない方でね。大体、人間ですら外見が色々なのに、やれダークエルフだからどうとか、獣人・亜人だからどうだとか、そんな話をするなんて馬鹿らしい、無駄。」

 そんなのナンセンスだ。

ナンセンス?

何だソレ?

まぁ、いい、きっとこういう論外的な時に遣うに違いない。

「北の民がどういうモノか知っても?」

「あのさ、北の民だから全員がこうだとか、ヴァンハイトだからこうじゃないととかいう枠ってのは確かに楽だけどさ、される側はどうなのかね。」

 閉鎖的過ぎる。

まぁ、周囲の環境や土地柄もあるだろうけれどさ。

「はぁ・・・。」

 目の前で盛大に溜め息をつかれた。

相手をしていて溜め息をつきたいのはオレの方なんだが。

「やっぱりお兄様の方がヴァンハイトの皇子らしいのかしら。」

「あぁ、兄上はきっと歴史に残るヴァンハイトの皇王になると思うよ。」

 弟より兄という言葉や反応には慣れている。というか、逆に安心してしまう卑屈な弟のオレ。

いやさ、弟から見てもそうなんだから仕方ない。

「お兄様はどんな方?」

「兄上か・・・これぞヴァンハイトという典型。金髪・蒼眼、今は片方だけれど、きちんと神器も継承している。勿論、文武共に優秀。」

 おぉ、今更ながら凄いんだな兄上。

再認識してしまった。

それに対して、目の前の彼女は首を傾げる。

「では・・・。」

 そいて虚ろな瞳をこちらに向けて。

「弟のアナタは一体、"何者"なの?」

ようやく予言の力の話を入れられました。

次回、急展開?!

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