表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅴ章:黒の皇子の価値を決める者。
175/207

サクソウするのは誰の想いってコト?【中】(ハディラム視点)

「成程な。」

 欲しかった情報っちゅーのも、内容的にはそう驚く事はない。

相手の能力が知れた分、やり易くはなったな。

手の内が一つわかっているだけでも大分マシ。

ま、どの神器が相手だろうと、神器である限り俺様にとっては大した問題じゃねぇけど。

「逆に一つお聞きしていいですか?」

「あ?あぁ、答えられる事ならな。」

 どうにも女の扱いの勝手がわかんねぇ。

故郷には一緒に育った姉ちゃんもいるが、同じように未だに扱いが慣れない。

アルムは逆に慣れている感じすっけどな。

「アルム皇子をどう思いますか?」

「どうってなぁ・・・。」

 前にも同じ事を聞かれたんだが、胡散臭さが抜けないんだよなぁ。

部下に欲しいくらいだから、能力的な事は信頼出来んだけど。

「悪いヤツではない・・・とは思うな。」

「そうではなくて、神器使いとして。」

 ・・・神器使い?

あぁ、ヴァンハイトの皇子だもんな。

「いいんじゃね?ああいうのが神器使いでも面白ぇ。」

 何より神器に対する考え方がいい。

「さっきも言ってやがったが、神器なんて所詮はモノだぜ?人が使わなきゃ、何の意味もねぇ。」

 人がいるから神器がある。

それを履き違えちゃオシマイだ。

「人が神器を使って何かをするんであって、神器が人をどうこうするもんじゃねぇ。」

 アイツなら神器という力に酔わない、神器に溺れない。

どちらかというと、嫌悪している節がある。

「ヴァンハイトに生まれ神器を持たず、セイブラムの複製神器を持てるという事に関しては?」

 ・・・困ってんのは、まさにソコ。

ソコなんやけど・・・でもなぁ・・・アルムを見ていると・・・。

「ま、長い世の中、そんな事があっても・・・。」 「いいわけありませんよね?」

 人があっさり流して終わらせようと思ってんのに。

この姉ちゃんは、俺様に何を言わせようとしてんだ?

「俺様の神器は、血族で継承はしとらん。」

 俺様の神器は、新生児が生まれる度に適正があるかどうか試されるからな。

「そうですね。ですが、複数の神器を継承出来る可能性はないでしょう?」

 ニコニコと笑顔のまますげぇコトを言うな、この姉さん。

「そりゃそうだ。」

 大体において、どの国でも神器は至宝だ。

そんな簡単に触れられん。

触って試す方法が出来るわきゃない。

「あんな、姉ちゃん。何を言いたいのか知らんがな、俺様はそういうもって回った言い方が嫌いだ。」

「彼ね、以前色んな事を調べてたわ。国の歴史、民話、神器、そして予言者に関する事。」

 また面倒な。

「そこに彼の秘密があるのかも。」

「秘密ねぇ・・・。」

 予言者、そんなのに興味あったんか。

俺様の故郷じゃ、誰でも知っている話なんだが。

「それと、くだんの盗難事件の犯人。彼と知り合いのようでしたよ?」

「初耳やな。」

 俺様が聞かなかっただけかも知れんが。

アイツ、ある意味ひねくれてるしなぁ。

「それはそれで、俺様にも考えがある。」

 ・・・が。

「あぁ、面倒!神器使いとか、人の上に立つとか、どんだけ面倒なんだよ!」

 やってられん。

大半をクラムに押し付けてもコレだぜ?

アルムってどんだけ普段から面倒な仕事してんだ?

「突然、大声上げんなよ、ハディ。」

「お?アルム。」

 ようやく戻って来たか・・・ふむ。

「ほれ、アルムっ。」

 試しに俺様の持っている神器をアルムに向かって投げてみる。

顔近くに投げられた槍を、反射的にアルムが手に取って・・・。

「痛ッ!何すんだ、この馬鹿ッ!」

 案の定、拒絶反応の痛みに顔をしかめて槍を落とす。

「オマエ、神器を何だと思っとんだ?」

「それはオレの台詞だ馬鹿!そんな物を人に向かって投げるな!ただの槍でも危ないわっ!」

「だよな。」

「だよなって、わかっててやるな、この馬鹿ハディ!」

 とりあえず、俺様の神器には拒絶反応が出たという事は、少なくても対なす神器にも拒絶反応が出るだろう。

それを確認する為に三回も馬鹿と言われたのは微妙やけど。

「て、アルム。どうしたんだ?ソレ。」

 アルムに叩き落された神器を拾いながら、さっき別れる前の違いを指摘した。

「あ?あぁ、コレな・・・。」

 露骨に目線を逸らすって事は言えない程ではないけど、聞かれたくないって事なワケだ。

「あの法皇様から貰ったって事か。似合ってるぞ。」

 アルムの黒髪と黒い瞳に似合う"漆黒の鎧"

今まで手足はしっかりと防具を身につけてて、他は身につけてなかったから間の抜けた感じだった。

だが今はなんつーか、ぴったり部品がおさまったカンジ。

「褒められても、ちっとも嬉しくないんだよな・・・。」

 遠い目をするアルムは、一体何があったんだ?

流れによっては、この後の事を考えなきゃならん。

あぁ、頭なんざ使いたくねぇ。

そういうのは、使いたいヤツが使えはいいんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ