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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅴ章:黒の皇子の価値を決める者。
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序。

 ホリンとカーライルと別れ、一路北を目指していたオレ達。

今はその道中。

実は国境地帯にもまだ辿り着いてなかった。

その内に日は傾き、完全に夜になる前に野宿の準備をする事に。

女性陣もいる事だし、本当は街道の宿場に泊めてやりたいのだが、なにしろ先を急ぐ旅。

日が出ている内に出来るだけ進みたい。

結果として野宿するハメになるわけだが。

「大丈夫かシルビィ。」

 樹海出身の戦士二人に亜人、そしてグランツ姓の騎士。

言い方が悪いが、コイツ等よりは圧倒的に体力が少ないだろうシルビアに声をかけ、横に座る。

「はい。アルム様こそ、お疲れのようです~。」

「そうかな?」

 心の読めるシルビア相手の会話は、楽な反面、不便さを感じる時が正直ある。

読んだ事の全てを口に出すような人間では決してないからいいものの・・・。

オレは別に疲れてはいない。

ただ銀剣の使い過ぎと長時間馬上で揺られたせいか、感覚がおかしい。

それとたまに唐突に睡魔に襲われる。

前者は初めての事じゃないからまだしも、後者は初めてだ。

多分、肉体にまで魂の影響が出始めているのだろう。

ここまでくると意外と冷静に分析出来ている気がしている。

やるべき事も山積みになっているせいだろうか?

「ちょっぴり顔色悪いかな?アル君、昔大病を患ったし。」

 心配そうに覗き込むエスリーンさん。

常時姉の顔している状態のミランダがいるみたいだ。

オレの病の事を知っている時点で、彼女がオレの幼い頃を一応知っている事にはなるんだろうが、対面した記憶がないんだよな。

シュドニアとの初対面の時の記憶も無い。

「アル君?」 「アルム様?」

 はっと気づくと、二人が両脇から覗き込んでいた。

て、近いデスヨ、二人共。

「大丈夫。ちょっと考え事。ほら、旅程とか。個人的には二日以内には国境付近に行ければいいんだけど・・・。」

「そりゃ大丈夫だろ。この調子なら。まさか野宿が大丈夫なタチだとは俺様も思ってなかったわ。」

 水袋から飲み物を口に流し込みながら、ハディラムが近づいて来る。

「ハディ、それ、酒?」

「水や!明日も馬で移動なのに呑んでられっか!」

「酒なんて、この状態で呑んでいたら、私が張り倒しますから大丈夫ですよ、皇子。」

 何が大丈夫なんだろう。

もうこの人の口の悪さとか、突っ込みに慣れ始めている自分も、かなりの順応性だと思う。

「だから、酒じゃねぇっつーの!」

「アルム様ー。お夕飯の支度が出来ましたっ。」

 そうそう、ルチルは料理が得意だそうで、オレ達の胃袋を満たしてくれる係を買って出てくれた。

今もすごくいい匂いがしている。

「近くに食べられる野草が自生してて助かったな。」

「そうですねー。一品増えました。」

 にこやかにルチルと談笑出来ているのは、悪くない。

「野宿も野草も構わないって、どんな皇子だよ・・・。」

「そうか?皇子だから毎日高級なモノとか、贅沢三昧という考え方のがどうかと思うぞ。」

「そんなもんかねぇ・・・。」

 呆れているハディラムには悪いが、なんと言うか、無駄としか思えないんだよなぁ、ああいうの。

どちらかというと郷土料理とかを皆で囲んで。というのが、オレは楽しくて好きだ。

「いくら直轄地の天領だからって、その分を民に回した方が楽しくて有意義な気がするんだよなぁ。大体、ルチルの手料理っていうのもオレにとっては価値が高い。」

 オレの止めの一言にハディラムは方を竦めた。

「アンタは馬鹿だから、経済の仕組みを理解出来てないだけです。私はよっぽど皇子の価値観の方が素晴らしいと思いますが。ともかくお夕餉と致しましょう。」

正直・・・もうダメぽ。

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