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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅳ章:黒の皇子は革新する。
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ナイジツを思案するというコト。(ハディラム視点)

「どうですか?ご対面の感想は?」

 俺様達二人に部屋が割りあてられて移動すいてすぐにクラムはそう聞いてきた。

感想・・・。

「・・・感想ねぇ。」

「どうしました?」

「いや、印象は悪くないぞ。多少暗そうだけど、そこそこの武もあって、頭も回って、家来になれって言ったのも、あながち嘘じゃねぇ。」

「やっぱり、本気だったんですか・・・。」

 出身だの、生まれだの、種族だのを差別しない性格だってのも、騎士団員選抜試験の受験資格を見ればわかる。

「ただなぁ・・・。」

「ただ?」

「最後んトコだけが引っかかんだよなぁ。」

 俺様の最後の質問。

その答え、態度、雰囲気、その全てが気になる。

「なんだって、あんなにも神器を危険視つーの?敵視すんだ?」

「そんな風に感じましたか?」

 クラムにはそう感じなかったんだろか?

俺様は頭を掻きながら寝台に横たわる。

「自分が第二皇子で神器が継承出来ないという事もあるかと思ったんですがね。」

「アイツがそんなタマか?」

 それで腑に落ちるかって言われたら、落ちねぇんだよ。

だから、余計に気になる。

「そういう意味で神器が嫌い、もしくはそういうものを振りかざして偉そうにする輩が嫌い。とか。」

 そうなんだよ。

どっちかっつーと、神器を使う人間の中身が嫌いというか、何というか・・・。

「どちらにしろ、胡散臭い気がする。現状は敵じゃないし、人間的にも悪いヤツじゃねぇ。でも、どこか根本で信じ切れねぇ何かを抱え込んでやがる。」

「何かって?」

「んなモンわかったら、俺様はもっと偉そうにふんぞり返ってるわ。」

 はぁ、と溜め息をついて目頭を押さえるクラムのこの仕草は見慣れた光景だ。

「今でも十二分に偉そうで、態度デカいですよ、アンタは。」

「そうか?どちらにしろ、俺様の邪魔をするなら選択肢はねぇけどよ。」

 ちょっぴり勿体ねぇ気もするんだけどな、どうしても。

ごろんごろんと寝台に転がってみる。

高級だな、コリャ。

今夜はよく眠れそうだ。

「あまり早合点で行動起こさないで下さいよ?」

「俺様が何時そんなコトした?」

「アンタ、いきなり神器発動しようとしたでしょ!忘れたんですか?!ドアホ!大バカ!」

「ん?あぁ、そういえば・・・。」

 回収してきた俺様の神器。

これを俺様に預けたりしている時点で、アルムは俺様をある程度は信用してるって事だよな、多分。

この槍は、クロアート帝国に伝わる天を衝く斧槍と対なす唯一無二の神器。

アルムには話さなかったけど、まぁ、アイツも俺様に話してない事もあんし、お互い様だろ。

コイツは、恐らく現存する神器の中では、一、二を争う力を持ってる。

「なぁ?」

「何です鶏頭トリアタマ。」

 睨まれちまったよ。

「コイツが後世に伝わらず、歴史から消えたのって、やっぱりそういう事なんだよな?」

 神器を屠るには神器。

「またその話ですか?今のところ、クロアートの神器が動いたという情報はありませんよ。第一、今現在本当に使い手がいるかだって怪しい。」

 全く以って正論だ。

正論過ぎて反論する気さえなくす。

「決めたのでしょう?それをやり遂げると。迷っているのですか?」

「いや、皇族・王族の中にもアルムみたいな考え方をするヤツがいたのがな・・・。」

 あってロクな試しがない。

そう考える者が多ければ、神器が世界の表に出る事はない。

「あ。」

「今度は何ですか?」

「もし、アルムが同じ考えだったら?」

「それこそ簡単です。ここを新たな地にすればいいだけです。」

「だと、楽でいいよなぁ。」

「楽する方向で考えをまとめないで下さい。」

 だよな。

楽な道のりじゃねぇってのは理解してる。

とりあえずは、神器の盗難の現状を把握しねぇと・・・。

「よし、クラム。情報収集任せた。」

「アンタもヤレ、鶏頭トリアタマ。」

「ほら、鶏頭トリアタマだから、収集しても忘れちゃ、ぎゃふんっ。」

 クラムの踵が見事に脳天に突き刺さって、そのまま俺様は意識を失った。

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