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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅳ章:黒の皇子は革新する。
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ネドイも時にはしなければってコト。【前】

 ハディラムの持っていた槍は樹海を切り拓き、傭兵として戦っていた者達の集落で継承されていたものらしい。

やがて庇護を求める者達や、他国の圧政・差別等から逃れてきた者達が増え、国としての形になったそうだ。

今は国としての形を取れる程の人はいなくなり、只の傭兵集団と化しているらしい。

とは言っても、現在特に大きな戦争が起きているわけではないし、もっぱら自給自足の生活を満喫しているらしい。

「というか、オレとしては理想的な国家体系だ・・・。」

 だって、種族もバラバラな人々が寄り集まって、王を頂く差別の限りなく無い国だってんだから。

原始国家ってそんなもんなんだろうな・・・大きくなって権力が集中するとロクな事がないってコトだ。

「国土のほとんどが野生動物の徘徊する地でなければですが。」

 だから、余計に侵略される事もなかったんだろう。

クラムが次の紅茶を、今度はゆっくりと飲む。

部屋の中には、クラムとハディラムの二人。

そして、ミランダとレイア。

一応、扉の外に試験を終えたザッシュが控えている。

「共通の外敵があるからこそ、人がまとまるというのもあるだろう?」

「成る程。しかし、肝心の人の上に立つべき王がコレでは・・・。」

 隣に座るハディラムを睨むクラム。

「何だよ、俺様だって頑張って戦ってんだろ?」

「戦うだけが王の仕事だと思ってんですか、この脳ミソ筋肉バカ。」

 なんという語彙。

そして、何というキツさ。

この口調に慣れないと樹海で暮らしていけないのだろうか?

樹海の環境、恐るべし。

なワケないか。

「あぁ、もういっその事、アルム皇子に治めてもらいましょうか。」

 クラムが一人、天を仰ぐ。

大丈夫か?

「あのねぇ・・・。」

「皇子は第二皇子なのでしょう?内政の腕もそこそこあるようですし。」

「え?何気に本気?」

「このバカよりは、それはもう断然。」

「うぅ・・・あ、そうだ。樹海の木って建築物に使えたりするかい?」

「え、えぇ、まぁ。」

「じゃあ、輸送方法を考えればいいだけか。輸送費が高くなりそうだけれど、物の代金さえ安く調整できるなら、どうだい?貿易。」

 ほむっと手を叩くクラム。

「流石、皇子、抜け目ないしたたかさ。確かにそれならばある程度安定した収入が得られます。」

 傭兵集団といっても、戦いがないんじゃな。

これ以上、衰退しない為にも何か安定した収入がないと。

逆に安定した収入さえあれば、どうとでもやっていける。

「樹海は他の森に比べ、草木の成長速度が数倍の速さですから、充分に産業として確立できるかも知れません。」

「うぅむ・・・なら、リディア先生にも聞いてみよう。輸送費の折り合いがつかなさそうな此処よりも、隣国ならもっと交易しやすいかも知れない。」

 此処から樹海は遠いし、こっちにも一応森があるから、下手すると既存産業を阻害する恐れもある。

ある程度の競合はいいんだがな。

セイブラムは森林部が少ないから、いい取り引き相手になりそうだ。

そう考えると、オレは彼の隣でやりとりを見ているハディラムに向き直る。

「で、いいかな?」

 オレは彼の評価は別に低いというわけではない。

直情的な部類には確かに入るだろうし、馬鹿?と思う事もあるが、さっきのオレの話の違和感をついた時といい、頭の回転も悪くない。

それに戦闘能力は、完全にオレより上だ。

「何で俺様に聞く?」

「アンタが治めてんだろ?」

 形式上だろうが、なんだろうが、代表者はハディラムだ。

今まではクラムが処理してばかりだったかも知れないが、責任云々はハディラムも負うべきだ。

オレはそう思っている。

オレ自身、そのつもりで内政はやっているしな。

何時までもハディラムが参加しないというのもどうかと。

「一連の流れは悪くねぇが、それをオマエがやって何の得がある?仲介料でも取るのか?」

「仲介料かぁ。オレの所で交易するのに支障が出たら、それもいいかなと思うけど。」

 どちらかというと、物事の見極めが早いのか。

なんだろう、やっぱりこれが野生の勘ってヤツなのか?

「面白くないだろ?」

「面白くない?」

「生まれた種族、生まれた環境。そりゃあ誰だって多少の差はあるけどさ、全く未来がないとか選択肢がないっていうのは面白くない。」

 生まれながらの皇子が言う台詞じゃないなぁ。

でも、皇子だからこそ言える台詞でもあるか。

だってさ、交易で財を得る事が出来れば、選択肢が増えるかも知れないじゃないか。

「オマエ、皇子らしくないな。」

「何だ?人生、面白味ないのが希望か?一生誰かに決められ続けるってのが楽でいいとか?」

 そんなんだったら、野生が泣くぞ?

「そこまでは言ってねぇよ。なぁ、皇子。一つ、俺様の質問に答えろや。それ次第で決める。」

 オレを睨みつける瞳に微かに殺意が感じられる。

わざとそれを乗せているのかも知れないが。

って、人を指さすなっての。

「答えられる事ならな。オレ、あんまり頭良くないからな。」

「なぁに、そんな難しい問題じゃねぇ。皇子、アンタ、"神器のコト、どう思っている?"」

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