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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅳ章:黒の皇子は革新する。
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ツカヌ事では済まされないというコト。【前】

 結局、騒動のせいでオレの二次試験はアレで終了。

「人の出入りが激しい今日の日を選んで、一次試験に合格する自身があれば、オレに会える可能性が高いというのは理解した。」

 無理にでも話を進めようとしなければ、現状どうにもならない気もするので、仕方なく口に出しながらの思考の整理。

「オレの暗殺が目的なら、確率的にお粗末で笑えるが。そうではないという事は単純に会って話をしてみたいってトコか?」

 オレは短髪の方ではなく、長髪の方に聞いてみる。

どう考えても、こっちの方が話しは通じそうだ。

武装は解除させてあるが、まだバルドが到着していない。

暴れられても対処に困る。

「話が早いと互いに楽でいいです。まぁ、なんというか正式にお会いしても良かったのですが・・・その・・・この馬鹿が。」

「参加したがったと。んで、会いたい理由は?」

「少し確認したい事がありまして。あ、私は単純に皇子に興味があっただけです。」

 あっさりと興味本位と言われても困るが。

一体、オレのナニが問題を起こされる原因なのだろう。

「オマエんトコの神器についてだ。」

 ムクリと起き上がる短髪の男。

ようやっと意識を取り戻したらしい。

「神器?神器を継承しているのは、兄上の方だぞ?」

 まさかの人違い?

たっだら、オレは本気で怒るぞ。

「それは本物か?」

「は?」

 本物?

本物って何だ?

いや、そもそも何を以って本物で、何が偽者かなんていいう定義自体が何処にあるんだ?

直感としか、オレには言いようがないぞ。

「兄上と最後にあったのは数ヶ月前だけれど、一応は持っていた。発動させたところは見た事ないが。」

「成る程。盗まれたり、それに類似したような事はなかったと。」

 盗まれる?

真偽でなく盗難。

「そもそも、継承者以外は一部の例外を除いて神器は持てないだろ?それに何か?他国ではそういう騒動が起きているという事か?」

「オイ。」

「全ての国で、かどうかはわからないのですが。」

「オイ。」

「アンタ達の国の辺りでは起きていると?」

「オイ。」

「それはって、ウルサイですね、アナタは!今、人が話しているところでしょう!」

 横に座ったままの体勢になっている男の頭を小突こうとした腕を短髪の男が掴む。

短髪の男の実力はオレより上のはずだから、掴もうと思えば余裕のはず。

「オマエ、発動させたところを見た事ないって言ったな?見た事がないのに神器が何故発動していない状態だと言える?そもそもなんで神器が"発動するモノ"だと思っている?」

 迂闊だったなぁ・・・。

でも、誤魔化せない範囲でもないか。

逆に聞きたい事がオレも増えた。

「ふむ。つまり、そう聞き返せるってコトはアンタも神器に詳しいか、持ち主を知っているって事だよなぁ?」

「あ゛。」 「この馬鹿。」

「というか、立ち位置考えてんのかね。レイア、彼が持っていた槍、絶対に他の誰も触れるな。それと、カーライルがきっちりかっちり尋問しといてくれる?」

「色々知っていらっしゃりそうですからね。」

 にっこりと微笑むカーライルってやっぱり恐いよな、うん。

丁度いいカンジだ。

「あ、今、逃げられるか考えてるだろ?大丈夫、おっきな熊さんもつけてあげるから。」

 誰を指しているかは、詳しく言わなくても理解してくれ。

熊とカーライルとツンツン。

変な組み合わせ。

「あぁ、そっちの長髪の彼は連れて行かなくていいよ。言葉通じそうだし。」

 長髪の方は変な武器持ってなさそうだし・・・あぁ、体術も出来そうだな。

でもま、二人一緒に連れて行くより、短髪のみの方が勝手にボロを出してくれそうだ。

「ま、そうなるでしょうね。」

 折込済みだと言わんばかりに溜め息をつく。

「ツンツン頭はいいとして、アンタ名前は?長髪って呼ぶのも些か間抜け過ぎるし。オマエとかアンタって呼ぶのも個人的に嫌なんだよね。」

「これは失礼致しました皇子。私、クラムと申します。」

 貴族姓は無し、と。

本当の事を言っているのかわからないが、とりあえずの呼び名がある方がマシ。

ま、こんな事で嘘をつく必要性は特にないんだけれども。

「そう。クラムさん、お茶好きですか?」

「え?はぁ、まぁ。」

「なら、お茶でも飲みながら。ところで、あの槍は"神器"かなんかですよね?」

 全く関係ない会話の中にズバリ本題を混ぜて相手の反応を観察してみる事にした。

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