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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅳ章:黒の皇子は革新する。
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カヨウにして今日も日は暮れるってコト。

「この騒動は何だったんだろう・・・。」

 大広間で席に着き独りごちる。

あれからニ、三日してアイシャ姫一行は帰国した。

自分がやる事をしに。

結局、結婚の件は婚約者候補という所で妥協する事に。

破談になって両国の関係が悪化しても困るし、かといって完全に決めるわけにもいかないから、こういう曖昧な辺りで時間を稼ぐ事にしたんだ。

我ながら、なんんという体たらく。

だがこれで、互いが互いの国に気兼ねせず、かつ婚姻相手問題というものに煩わされる事なく国に留まっていられる事になった。

「その点では良いと思ったんだけどなぁ。」

「何が良かったというのだ?婚約出来る事がか?」

 さっきから、ずーっとラミアに睨まれてるんだよね・・・。

「違うよ。」

「では、何だというのだ?」

 何でコイツはこういう聞き方しか出来ないかね?

「私はアルが今まで通りここにるのが嬉しい。」

 ミランダはにっこりと飲み物を注いでくれるのはいいけど、これ、器の中でゴポゴポと沸騰しているんだが・・・。

「私はアルム様もアイシャ様も知っているし、好きだから嬉しいです。」

 ミリィが意外とマトモな事を言うから、オレは逆に心配だっ。

「大体、そんなにあのオンナを手放したくなかったのか?」

 更にキッとオレを睨むラミア。

「別にそういうわけじゃ・・・。」

 どうして、こうオレの周りは落ち着きがないのかな?

「じゃあどういうわけなんです?」

 ミリィは余計な相の手を入れんでよろしい。

「そうだ!第一、オマエはあの夜の事を忘れたのか!」

 "あの夜"?と、皆が一斉にオレを見る。

「あ、あの、お姉様、あの夜って・・・。」

 サァラ姫が恐る恐る問いかけると・・・。

「肌を合わせた一晩は何だったと言うのだ!」

「脱いだのはオマエだけだろ!」

 あ・・・。

「肌・・・一晩・・・。」

 ・・・もう嫌だ。

「サァラさん、鼻血!」

 ミリィがとたばたと拭く物を取りに行く。

「アル、どういう事なの?」

 あぁ、姉さん・・・。

「そ、そうだとしてもだ。あの時の言葉は偽りだったのか?!」

「あか、そっか、ラミア様は知らないんだっけ。」

 ぽんっと手の平を叩くホリン。

嫌な予感しかしない。

「ヲイ、ホリン・・・。」

「ここにいるラミア様とサァラ様以外、皆、"アルム様と一緒に寝た"コトあるよ?」

 危険!言い方危険!

「なっ?!それは本当かっ!」

 絶対、"寝た"の意味を勘違いしている。

「て、ミリィ!早く!サァラの鼻血がヤバい!」

 量が増している気がする。

「所謂、お添い寝ですぅ~。」

 シルビア、訂正感謝。

「いえいえ~。」

 いや、わざわざ読まなくていいから。

「何という事だ!そんな所から出遅れていたとは!」

 コイツ、何言ってるんだ?

「アルム、今夜は!」

「今日、アルム、アタシと寝ル。」

 ラミアの言葉を遮って、オリエがオレの膝上に座る。

一度許したら、気に入ったのか最近やたらに膝の上に乗りたがるようになってしまった。

「ダメ?」

 膝の上がか?

まぁ、嫌じゃないけど。

そう頭の中で答えただけで、オリエは答えの催促も更なる質問も止める。

「ぐぬぅ。」

 オレの胸に頭を預けて、まったりとしているオリエを前に黙り込むラミア。

流石に子供に食って掛かるのは、大人気ないという頭はあるらしい。

「ところで、さっきからシルビアは静かだし、ホリンもあんまり喋ってなかったけれど、珍しいね。」

 こういう時は必ず余計に騒動を大きくしたり、中心になるのに。

いや、嫉妬して欲しいとか、そういう事を思っているわけじゃなくてだね、うん。

こぅ、普段というか、何時もあるものがないと寂しいというか拍子抜けするというか・・・。

「あ、私達、アルム様が誰と結婚してもいいし。ね?シルビアさん?」

「えぇ。」

「誰と結婚してもいいだと?!ホリン、オマエも嫁候補だろう!」

 嫁候補?

・・・あ、ずっとその話を引っ張っていたの?

「うん。誰とでも。私は"側室"でもいいもん♪」

「私も、第三辺りくらいで、いいでしょうか~?」

「側室?!」

「あ。」

 すっっっかり忘れてた。

清々しい程にさっぱりと。

「ウチ、一夫多妻いいんだった・・・。」

 父上も祖父も妃は一人だったから、忘れていたよ、完全に。

「あれ?シルビアさん、三番目でいいの?」

「はぃ~。可能性があって且つ、問題のない位置で~。」

「じゃ、私、二番目でもいい?」

「構いませんよ~。」

 何勝手に話を進めてんだよ。

「アル、私は・・・何番目?」

 姉さんまで乗らない!

「オマエらぁ~っ!」

 流石に怒りで肩が震える。

「アルム、アタシもガンバれば・・・デキる?」

 娘や妹とは婚姻出来ません。

じゃなくて!

「だぁぁぁぁーッ!オマエ等、いい加減にしろォッ!」

 オレは絶叫した。

「サァラちゃん、拭巾持ってきましたよっ。て、皆さん、どうしたんですか?」

 拭巾を持ったままキョトンとする。

「あ、いい・・・ミリィ、サァラの面倒見てあげて。」

 脱力。

これで本当にこの騒動は終結したんだろうか?

したんだよな?

誰か、そう言ってくれ・・・。

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