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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅳ章:黒の皇子は革新する。
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ヘンソクテキでも出逢いは出逢いってコト。【前】

「・・・・・・何をしているのかな、キミタチわ。」

 土木工事で一汗流し、周囲の人間と思わぬ親睦を深めて帰城したオレ。

着替えを用意してもらって入浴でもしようかなぁと歩いていたところ、目の前に集団が。

扉に齧りつくようにホリン、ミリィ、シルビア、ミランダ。

「ア、アルム様。」

「はは、ちょーっと気になる"者"がねぇ?」

「えぇ。」

 一体、何だ?

「ミラ、どうしたの?」

 一応、侍女筆頭のミランダに聞いてみたのたが・・・。

「あれが、アルの・・・。」

 全く聞こえていない。

というか、終始ぶつぶつと呟いているのだ。

「これは・・・アレ?」

「えぇ、何時もの病気ですねぇ~。」

 美しい笑顔で、さらっと辛辣な事を言いますね、シルビアさん。

「それほどでも~。」

「褒めてないから。」

 しかも、また心読んでるし。

「それはそうとアルム様は、一体こんな時に何処行ってたんですか?」

「うん、ちょっと土木工事しに。」

「ど、土木工事ですかっ?!」

 ホリンの質問に答えたオレに驚くミリィだが、いい加減普通の皇子と違うってコトに慣れて欲しい気もする。

慣れるというのも悲しくはあるけれども。

「アルム様らしいねー。」

「そうですね~。」

 ほら、慣れた二人はこんな感じだ。

うぅ・・・泣いちゃうかも。

さっきは減俸話で虐めてごめんよ、ザッシュ。

「で、結局、皆で仕事もせずに何をしてたのかな?」

「仕事もせずにって、この時間までの仕事は終わってます!」

 ミリィがピシっと直立不動で答える。

君は軍人か何かかね・・・。

「それに仕えるべきアルム様がいないですものねぇ~。」

 あ。

確かにその通りではある。

「ねー。いたら何でもしたげるのに。」

 響きがアヤしいから止めなさい、全く。

「最近、皆と寝屋を共にしてくれませんしねぇ~。」

「嘘はやめなさい、昨日一緒だったでしょ。」

「えーっ、シルビアさんずっるーい。」

 ・・・思わず突っ込んでしまった。

頬を膨らませてご立腹のホリン。

「ミリィちゃんも旅先では一緒に寝てたんでしょ?私だけノケものー。」

 ミリィよ、何故、そんな余計な事を。

しかも、ホリンなんかに話した。

「あはは・・・すみません。」

 睨むオレにしょんぼりと小さくなって謝るミリィ・・・そんなに可愛いと怒れないじゃないか。

「全く。大体、オレと一緒に寝るのの何がいいんだが。」

 以前だって、夜伽とかそういった事を実際にしたワケじゃない。

特に何があるわけでもない。

「何だろ、よく寝られるんですよねー。」

 ホリンの弁に一様に頷く三人。

「あぁ、寝台大きいし、無駄に高級だもんな。」

 本当、無駄。

この場合の貧乏症はいいんだよな?

悪くないよな?

貧乏症も良し悪しだといのは、しっかりわかっているつもりなんだが、如何せん自信がない。

「あぁ、それもあるけど、それだけじゃないんだなぁ。」

「他に何が?」

 偉そうに指を振るホリンにオレは首を傾げる。

なんだが、オリエみたいな反応をしてしまった。

いや、親子は似るというし、案外オレも無意識にしているのかも知れないな。

「んー。何というか、アルム様が横にいる安心感?匂いとか。」

「に、匂い?}

 非常に変態さんな感じがしてくるのですけれど・・・。

「あ、そうかも。」

 えぇ?!ミリィまで匂い?!

「匂いは人が直感的に判断するモノと聞いた事があります~。」

 誰から聞いたんだよ、そんな話。

「"居る・在る"って大事ですよ、アルム様♪」

 何故、そこでホリンが勝ち誇る。

「あぁ、もう、わかった。」

「何がわかったんですか?うりうりっ♪」

 ・・・何処の世に仕えるべき主人の皇子を肘で小突く侍女がいる。

「そうだな。皆、オレの侍女なんだから公平じゃないとな。」

「やりぃ。じゃ、今晩は私の番ね。」

 番って・・・。

もしかして・・・もしかしなくても持ち周りでオレと一緒に寝るつもりか?

「お仕事が増えましたね。」

 ミリィも楽しそうにしているし・・・これはこれで・・・いいのか?

「良いのではないでしょうか~。」

 ぐっ。

シルビア、何も心を読んでまで追い討ちかけなくても・・・。

「の、前にあちらを何とかしないとですね~。」

「あちら?」

 部屋の扉を指差すシルビア。

そうだ。

まだ何故こんな所で皆が扉に齧りついてたのか聞いていなかった。

「えぇ。お客様です~。」

「客?また?」

「はい~。"きっちり"してあげて下さいね~。」

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