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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅳ章:黒の皇子は革新する。
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ニドメは回避出来ない時もあるってコト。

「いやぁ、今日もリッヒニドスは平和だなぁ。」

 城下に見える景色を眺めながら、一息。

「アルム様。余りにも露骨過ぎる現実逃避はどうかと・・・。」

「ぐっ。」

 冷静にミランダに突っ込まれた。

「他人事だと思って・・・。」

 オレは思わず恨みがましく彼女を見る。

例の皇室長官の御用のせいだ。

彼の本来の仕事は、天領地の総管理。

これは各州がまとめて一年分の報告を提出するので、矛盾が無いか目を通すくらいだ。

それと皇族に関する祭事。

あとは・・・オレがこの城へ移動するきっかけとなった出来事。

「まさか、ここまで来て婚姻話とは。」

 田舎にわざわざ来た理由はソレ。

所謂、お見合い話。

「仕事熱心ですね。私も見習わなければ。」

 これ以上、仕事熱心になられてもなぁ。

「今の論点は、そこではなくてだねぇ・・・全く、本当に他人事だと・・・ちょっと!ミラ何やってんの?!」

 窓の外に向けていた視線を戻したオレの目に入ってきた光景。

ミランダの手から流れ落ちる紅茶が溢れ出し、台車から滝のように流れている。

「は?!あ。」

 現状に気づいたミランダは、慌てて紅茶を注ぐ入れ物から手を離す。

当然、落下。

ブツかり合う陶器は見事に割れて砕けた。

「ミラ、怪我は?」

 やれやれ全然、他人事じゃないんだねぇ・・・。

そうだよな、少なくともオレとミランダの絆はそれくらい強い。

血よりも。

本当、悪いね兄上。

とりあえず、この破片を二人で片付けるか。

「ね、ミラはオレに結婚して欲しくない?」

 何か聞き方が悪かったな。

「オレとしても今回の事は厄介だと思ってね。」

 一度断ったくらいだしな。

そうそう長い時間逃げ切られないモノでは無いかなぁ~とは思ってはいたよ。

そりゃあね。

「第二皇子が結婚て・・・兄上もまだだってのに、ロクな事にならないと思わない?」

 折角、やりたい事が出来始めてたのに再び"代替品"の役目に逆戻りか・・・。

「その・・・アルム様はどうなのですか?」

 そんな恐る恐る聞かなくても・・・。

「そうだなぁ・・・。」

 この血筋を残す事は、もうオレには無理だし、余計な争いを生みたくない。

でも、それは子を成した場合の話で、結婚自体が悪いというわけじゃない。

「オレと結婚するっていうのはさぁ・・・。」

 オレは半ば国家転覆くらいしていいと思っている危険人物だしなぁ・・・。

何より残された時間が少ないのかも知れないという事もある。

「すっごく貧乏くじじゃないのかなぁ?」

「滅相もない!」

 そんなに大声出さなくても・・・。

「た、確かにアルム様は、第二皇子という事で国内では微妙な立ち位置かも知れない。」

 何か・・・ちょぴり懐かしいカンジ。

「でも!一通りは優しく素敵なの!それはアルをずっと見ていた私にはわかる!」

 あぁ、姉の立ち位置に変わってるし。

「そんなアルと結婚なんて貧乏くじだと思うわけはないわ!」

 鼻息も荒くオレの姉としてのミランダは大声で主張する。

ヤレヤレだ・・・。

言い切ってもらうのは嬉しくもあるけどね。

「結婚だとォッ!アルム、それはどういう事だ!」

 ・・・ヤレヤレ。

ミランダの大事が部屋の外まで聞こえたらしい。

扉を壊さんばかりの勢いで開け放つラミアの姿。

「どういうと言われてもだなぁ。今日、皇室長官というのが来てな、そういう事になったんだよ。」

 無論、全力で回避してやろうとは思っているが。

「オ、オマエは、この私以外に誰と結婚するというのだ!」

 ・・・興奮しているせいか、物凄い問題発言をしているような気もするが。

これって、興奮しているからって事でいいんだよな?

うん、そういう事にしておこう。

本人は全く気づいてないみたいだし。

「誰って、そりゃあ・・・・・・。」

「それは?」 「誰だ?」

 そりゃあ・・・アレだ・・・ホラ・・・。」

「あれ?オレ、肝心の誰が相手だっての聞いてなかった。」

 静まる空間。

あぁ・・・視線が冷たいっ。

「いや、結婚なんてまだ早いしさん。ミラにも言ったけど、兄上ですらまだ・・・まだ?」

 じゃあ、何でオレが先なんだ?

どう考えても第一皇子で皇太子が結婚して、子を成す方が国としては遥かに大事で優先だ。

兄上は、しかりと神器継承出来ているんだし・・・。

皇族なんざ、恋愛結婚出来るわけないし。

「・・・あンのクソジジィ・・・オレは政略結婚はしないって、あれだけ言ったのに!」

 つまりは、そういう事なわけで・・・そうなると、そうなわけで・・・。

「とりあえず、まず候補とやらを聞いて来るか・・・。」

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