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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅳ章:黒の皇子は革新する。
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序。

以前のようにガッツリと更新出来るかわかりませんが、頑張って能の無さを手数で埋め続けたいと思います(泣)

 次々と運ばれて来る材木。

全てがダークエルフの森からだ。

ここにこぎつける迄に、一度川に面した集落で小さな水車を建造した。

非協力的だった派閥に、水車の便利さを説く為だ。

実際に作って見せた方が手っ取り早い。

・・・まぁ、これにはラミアやサァラ姫の協力のお陰だ。

きっかけはどうにも情けないが、理解を得られ材木を入手する事が出来た。

この際、オレの情けない気持ちは放置。

水車の建設に伴って、穀物を挽く水車小屋の建設も始まっている。

一応、州営となっているが、州民の誰でも使える施設だ。

人手は水車建設の技術が学べるとあって、職人はすぐに集まった。

職人以外の人手は、ダークエルフから州の農民(休耕期間中)等と様々。

勿論、公共事業であるわけだから給金も出る。

そういう働き手の為に物を売る行商人も何時もより頻繁に州には入って来ていて・・・。

リッヒニドス、何やら小さなお祭り状態というか・・・。

「何というか、好景気?」

 窓の外に見える活気ある光景に思わず驚く。

「発案者が何を今更。」

 その後ろで、カーライルが呆れたように呟く。

「確かに不況・不景気には公共事業も時には効果的だとは知っていたが。」

 うぅむ・・・。

「実際は借金まみれなのに・・・。」

 苦笑しながら、カーライルに向かって肩を竦めてみせる。

「この規模の公共事業としましてが、破格値の借入金額です。しかも2期後の収穫高、作付け面積の増加率を試算すれば・・・。」

 一瞬の間。

「お釣りどころか、黒字転化しますね。」

 意外と楽しそうだな、コイツ。

「3年目くらいには、か・・・でも黒字になるってわかってるならさぁ、もうちょいやりたいコト、やってもいいよね?」

 子供の悪巧みのようにオレはニヤリと笑う。

「まだ何かやり足りないのですか?」

 カーライルこそ、口調は呆れているが目が笑っていない。

「うん、今度は追加で、鋳造・錬鉄の職人が必要かなぁ。」

 オレはカーライルを手招きすると、彼の耳元に悪巧みを吹き込んだ。

「次はそれですか?」

「仕事に関する施設事業をやったんだがら、娯楽も必要だろう?」

 オレはな、諦めが悪いんだ。

「と、言ってもこちらの設計や企画は青写真の段階なんだ。だから、職人達と相談しながらだな・・・て、なんだよ?」

 カーライルの無言の反応と視線にオレは問いかける。

「いえ。こんなに内政に辣腕を揮えるとはと、感心していまして。」

「・・・それは嫌味?」

 オレは溜め息をつきながらカーライルを睨む。

「嫌味?滅相もない。嫌味を言うとするならば、何故その腕をもっと早く揮わなかったのか?というくらいですね。」

 ぐっ・・・。

「オレにその場所も機会も無かったからさ。誰もそんなの望まなかったし、必要に迫られる事もなかった。」

 いやはや、これは言い訳だな。

それを踏まえた上で、カーライルもオレにそう言っているんだろう。

「それと、オレは目立つのが嫌いなんだ。照れ屋だから。」

 第二皇子がでしゃばった所で、良い事があるとは思えない。

「でしたら、今回の"自分達の要望"は、皇子を困らせてしまいましたね。」

 自分達じゃなくて、自分の間違いだろうが。

カーライルってこういう性格だったんだな。

「求められる事、それ自体が悪いとは一言も言ってないだろう?ただ・・・慣れてはいないな。」

 たまたまオレは皇族に生まれついただけだし。

「騎士団だって、本当は結成なんざしたかない。」

「それも必要だから。ですか?」

「明確な敵がいる訳じゃない。本当はあってもいい事なんかないのかも知れない。」

 それはわかっているのだけれど・・・。

「オレ自身に守りたいモノが増えてきたって事さ。」

 だから、オレは少しの間だけでもいい。

オレは表に立つ。

「それは何よりで。」

 カーライルは微笑みながら一礼すると、部屋を出て行った。

オレの発言を完全に肯定するわけでも、否定するでもなく。

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