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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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A to Z! ~エピローグⅡ~【皇子の時間。】

 結局、オレの案はいくつかの条件のもとで可決された。

可決というのは、オレの強い要望だ。

皇政の国だとはいえ、オレは多数決等の合意を基本的に求める事にした。

そりゃあ、無駄に時間がかかって迅速さが減るだろうが、独断専横なんてもはや古い。

それにオレの理想に合わない。

「これでいいんだろ?」

 オレは腰から下げたそれを撫でる。

ちなみに幾つかの条件とは、武官はある程度の知識を問う試験を通過する事。

ダークエルフは、ラミア・サァラ両姫の面接試験を受ける事。

これは彼女達が、何故か未だに城に居続けている現状を最大限に活用させていただく事にした。

不穏分子が紛れ込んでも困るしな。

獣人・亜人に関しては、同じく同族の巨大熊・・・じゃなかった、バルドの試技試験を受ける事になる。

相手が出来る人間自体が少ないしな。

他は、カーライル同席のもと、オレの面接を全員受ける。

基本的にはリッヒニドスの武官扱いとし、オレの非常召集のみ騎士団扱いとなる。

団長には当然、レイアを選任。

オレの"筆頭騎士殿"だからね。

バルドは顧問辺りにしておいた。

ややこしい事にもなるだろうし、何より世間体が悪過ぎる。

バルド・グランツの名は国内外に対して、影響が大き過ぎるというのは体験者だからな、オレ。

「さて、これで君とも本当にお別れだ・・・。」

 今、オレは一人でダークエルフの森の近くの湖に来ていた。

「君の故郷の森でなくてすまないけれど、ここの森も悪くないだろ?」

 まぁ、ここでオレの無様さを見ていてもらう事にしよう。

「じゃ、おやすみ。」

 腰に下げていた壷から、白い粉がゆっくりと舞って湖に消えてゆく・・・。

それを見届けながら、オレはようやく涙が流せた。



 帰城してまた会議に出て議論して、解放されたらオリエと談笑し、そうしたらサァラ姫が現れて何か話しがおかしくなって。

困って姉のラミアに救いを求めたら怒鳴られて、その様子をホリンに見られて笑われて・・・。

何時もの生活?

オレの生活ってこんなだったっけ?

何時からだ?

夕暮れにレイアと稽古で手合わせして、散々動いて夕食を食べる。

昨夜と同じように誰が背中を流すかでモメているうちに、さっさと一人で入浴を済ませ寝室に入る。

「困ったもんだ。」

 賑やかさに一人苦笑する。

少し余計に疲れるが、悪くない。

一つ問題を挙げれば、昨夜は寝ていない。

理由は明白で、簡単だった。

"副作用"だ。

手に入れた銀の剣。

コイツはオレの知覚を広げ、常に気配の感知を可能にする。

ちょっとした全能感を味わえるわけだが、その力が強過ぎたらしい。

多分、もともとオレの気配を察知する能力は、バルドに嫌という程鍛えられたからというのもあると思う。

剣を納めて数日経った今でも、時間帯によってだが知覚が突然広がっているような錯覚がする。

一日中そうなるならまだしも、突然にそうなるから余計に不快になる。

「ま、仕方ないか。」

 そのお陰で、今回を乗り切れたんだしな。

眠れないのなら、仕事でもするしかない。

会議で貰った資料と報告書を読みふける。

「アルム様、よろしいですか?」

「あぁ、ミラなんだい?」

「お茶を持ちしました。」

 流石はミラ、気が利く。

この辺りは他のメイドも見習って欲しい。

「入って。」

 扉を開け、ミラが盆を片手に器用に茶を注ぐ。

「昨夜もお眠りになられていないようですので、特別にご用意致しました。」

 どの点で、ソレがわかるんだろう?

アレか?姉としての勘か?

施設でも散々、女の勘というものを思い知らされたからな。

既に体験学習済みだ。

「ねぇ、ミラ?」

「何でしょう?」

 オレは資料を机に置く。

ミランダも持っていた盆を机に置き、オレに向き直る。

「オレは今回、行って良かったと思った。」

 見た事、聞いた事、得られた事、その全てが貴重でオレだけのものだ。

その悔しさや無力ささえも。

「それはとても良かったですね。」

 にっこりと微笑むミランダ。

あれだけ黙って出た事で心配をかけたというのに・・・全く、この姉は。

「うん。だから、ありがとう。」「?」

 ミランダは理由をすぐに問う事はせず、オレを見つめ次の言葉を待つ。

この辺の呼吸というのも、姉として一緒にすごした事のあるミランダならではだ。

「ここに来て、ダークエルフとの出会いがあったから助けられた。」

 たった一対の円盾のお陰。

「オリエに出会った時は苦しかったけれど、同じ様に助けられた。」

 どうしようもない現実がそこにはあったけれど。

剣を選んでくれて、声まで封印して拒絶していた力まで使って助けれくれた。

「アイシャ姫やオリガさん・・・。」

 戦い方や人の上に立つ人間の在り方、心構え。

部下としての想いや様々な知識。

「先生の時も悔しかったけどね。」

 必要な知識、特に魂と術に関する・・・。

「それと・・・それと・・・マール君。」

 本当に色々な事があった。

「出会いがあって、オレは今を生きている。生かされた。」

 そこにはトウマの魂があったから。

「でも、その原点はミラ、君が居てくれたからだと思う。」

 オレがマール君のようにならなかった、決定的な境界線のように思えて・・・。

亡くなったアイシャ姫の大叔父様のようにならなかったのも。

「だから、オレ・・・・。」

「アル、泣いてもいいのよ?私達の前では"痛い"って言っていいの。」

 あぁ・・・だからオレは生きられるんだよな。

「ありがとう、ミラ。」

「どういたしまして。」

「それじゃあ、今日はさっさと"ベッド"に入って休むとするよ。」

 そうじゃないとメイド達にも心配かけるしな・・・ん?

「ベッド?」

 ミランダがオレと同じ様に怪訝な表情をする。

・・・ベッド?

そういえば、オレ、帰ってからずっとメイドって・・・。

「それって・・・何だ?」

 思わず、その意味のわからない言葉が出た口を押さえる。

「・・・・・・まさか。」

 魂の融合が乱れてい・・・る?

これは・・・トウマの記憶なのか・・・?

だとしたら・・・オレの・・・オレの魂は・・・。





"残された時間"





そんな言葉がオレの脳裏を過っていた。

これが、この作品で英単語等が使われなかった本当の理由です。


自分の在り方。

それを手探りで考える皇子の脳裏に表れた知らない言葉。

これは、本当にトウマの記憶なのか?

残された時間。

絶望的な言葉がチラつく中。

皇子の取る行動とは?!


以上、Ⅲ章でした。

前章と同じく、これからどうするかは皆様の反応次第にさせて頂きます。

と、いう事で全56話

ご愛読ありがとうございました。


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