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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Tense! 皇子は臨戦態勢に。

 いよいよ大詰めというか・・・これでセルブとクロアートに関わるのは、最後になるのかな?

オリエとミリィの二人を兄上に任せ、オレは身支度をして迎えに来た者について行った。

先頭は勿論オリガさんだ。

ひとまず、何事も問題はない・・・現状は。

今、一番問題なのは、寧ろオレの方で。

そのせいで先程から周りの視線が痛い。

『臆病なもので。』

 その発言はその発言で、まるでセルブがオレを抹殺するという主張をしているようなもので・・・。

激しく問題発言だった。

今、オレはほぼ完全武装。

その言い訳を不自然にならないようにしようとしたまでだったのだが。

両腕・両足にはリッヒニドスで見つけ、拝借した黒の具足と手甲。

その手甲には盾というには小さな円盾、ダークエルフのお婆様に頂いたアレ。

腰には剣が一振り。

これはオリエに選んで貰った銀色のヤツだ。

同じようにオリエに選んでもらった双剣が"あの性能"だった以上、こちらの剣も大いに信頼している。

オリエへの信頼度は抜群だしな、オレ。

いや、メロメロの間違いか?

ちなみに何故双剣じゃないかは、少しは警戒が薄れるかなという狙いだった。

バルドは長剣使いだが、基本双剣至上主義のヴァンハイト人(しかも生粋軍人、近衛兵所属)のオレが双剣下げるのは、きっと警戒される。

もっとも。

オレが"グランツ"姓を名乗っている以上、長剣だろうが双剣だろうが、誰も驚かないと思うけど。

「断られたのに何度もと思うかも知れないが。」

「いえ。」

 案内された屋敷の中で、王子は待っていた。

アイシャ姫の屋敷もそうだが、この屋敷も無駄に豪華だ。

邸内の華やかさはアイシャ姫の屋敷の方が上だが、それは彩りという意味で、恐らく男女の違いなのだと思う。

当然、オレにはそんなモノの凄さなんて理解しようとも思わないんだがね。

「こちらもいくつかお話がありましたので。」

 選択肢を誤った途端、抹殺・暗殺・即死亡とかだけはなりませんように。

「そうか。では、かけたまえ。食事にしよう。」

 気づくと机の上には、湯気が立った料理が並べられてる。

オリガさんとここに案内してくれた人は、既に退出したようでいなかった。

「では。」

 出だしは大人しく食べるかな。

などと思うのは、オレらしくは無いんだろうが、なんというか、その、貧乏性なもので・・・。

節約・倹約などとは言わないさ。

あぁ、オレは貧乏性。

目の前の料理を食べないのは、勿体ない気がするのですよ。

このオレの考えは悪いものでしょうか?

ふぅ。

「全く、何処が違うんだか・・・。」

 目の前にいるのは、今は違うが同じ王子だよな?

育ってきた環境の違いって怖いな。

うん、怖い。

脳内に兄上が浮かんだのは、内緒の方向性で。

「何かな?」

「いえ。どころで王子?王子はその、あの時、アイシャ姫と戦った時、ご自分の武器の確認は?」

 オレの一言で、王子は意外そうにオレを見る。

「調べているのか?自分の事でもないのに?ご苦労な事だな。身の周りの世話は大抵オリガに任せている。」

 信頼度高ぇな。

優秀な人材が好きな王子にしてみれば普通か。

いや、何でもかんでも任せるのは良しとしないオレが堅物なのか?

どうも、この王子といると、自分と比較してしまうな。

今まで兄上以外に王子としての比較対象がいなかったもんなぁ。

「成る程。彼女はとても優秀ですものね。」

 無言で頷く王子に対して、オレは会話と会話の間で食事を進める。

だって、勿体ないもん。

「一つ答えたのだから、私も一つ聞かせてもらおう。例の噂は君が?」

 来た。

わかりきったかのような質問。

つか、これは質問じゃないだろう。

どちらかというと確認だ。

王子の視線が痛い。

机に両肘をつき、手を組むとオレの答えを待っている。

「だとしたら?」

「この後はどうするつもりだ?」

「質問に質問で返したのは失礼と謝ります。ですが、王子はどうしたいのですか?」

 交互に質問という形にされたが、オレもそうそう引けない。

「二つの国を併呑して、大国の王君になるのも悪くはないな。」

 不敵に笑うラスロー王子。

はて、彼はそこまで危険人物だっただろうか?

選民主義的な所はあったけど。

「と、なったら、動くかな?ヴァンハイトは?」

 ふむ。

噂は着実に浸透しているようだな。

王子が気なるくらいには。

「だとしたら大混乱ですね。クロアートは滅びる。まぁ、クロアートに盾になってもらって、その間にこちらは戦力を整えるというテはありますがね。」

 通り一辺倒かも知れない。

凡庸と思われてもいい。

ここは無難な答えだけを並べておくのが堅い。

「・・・ヴァンハイトがやりそうな事だ。」

 あれ?

苦々しい表情でオレを見る。

逆の立場だったら、セルブも同じ事を実行してもおかしくはない、戦時中でありふれた策のはずだが?

滅びると言ったが、クロアートだってそこまで弱国じゃない。

ヴァンハイトがセルブと手を組まない限りそう簡単には、滅びたりはしないだろう。

寧ろ、その逆。

だって、あの姫より凄い猛者達が守備を固める重装兵がいるからな。

王子は開戦派ですか?

そう質問しようとするのをぐっと堪える。

ちょっと直球過ぎる。

「話を戻しますがオリガさんから剣を渡されるまでに誰か触れた人間は?」

「さぁ、わからないな。オリガに聞いてくれ。」

 わからない?

自分が使う武器だぞ?

視界にくらい入れておくだろう。

オリエに剣を選んでもらったオレが言うわけじゃないが、普通、自分が使う武器に対して関心がないっていうのは・・・。

「失礼します。食後の一品をお持ち致しました。」

 目を伏せたまま、静々とオリガさんが入って来る。

その後には蓋をされた銀盆を持った男が二人。

「・・・今日は何だ?楽しみだな。」

色々と挫折してきまして、足早展開です、ごめんなさい。

次回!単語は【U】で『皇子の○○は奇跡を呼ぶ。【前】』

果たして、何が奇跡を呼ぶのやら。

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