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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Scheme! 皇子の指差し火の元確認。【後】

 嫌な予感がした。

大体においてだ。

ラスロー王子第一主義の彼女が、単独でオレに会いに来るのが引っかかる。

王子も王子だ。

オレに興味があってオレを引き抜くのですら、本人が出向いて来るくらいなんだぞ?

使い一人寄越して、会食に誘うか?

しかも、一度きっぱりと断ったのに。

わざわざ、噂が広まり始めたこの機会を狙って?

絶対に裏がある。

理論と直感、両方がそう言っている。

「あぁ、それとオレからも一つ聞きたい事がある。」

 噂に対する真相をオレから聞きたいのかも知れないとうい事も考えられる。

だが二国間の争いの場をこの施設から逸らし、時間稼ぎが出来た事でオレにも少し余裕が出来てきた。

やっぱり受け手より攻め手の方が、頭が回るなオレ。

「オリガさんは王子のお付きなんだよね?アイシャ姫との手合わせの時も?」

 彼女も関係者ではないのか?

ふと、思ったんだ。

「準備のお手伝いはしたわ。」

 やっぱり。

「その時、王子に武器を渡したのは君?」

 訝しげにオレを見るオリガさん。

大事なんだよ、コレ。

「疑ってるの?」

「事実確認だ。武器を確認してみたかい?」

 語調を強め、更に聞く。

「渡したのは私だけれど、確認はしてないわ。」

 確認はしていない。

まぁ、王子に渡す前に剣を抜いたりしたら、暗殺の問題もあるしな。

「つまりは抜くまであの剣がどんなものかは、わからなかったんだね?」

 コクリと頷く仕草がオリエを思い出させて微笑ましい。

無口で鉄面皮だけれど、元来、美人というか可愛らしい人だ、この人は。

「相手の武器は?手合わせなら確認するだろう?」

「それは・・・。」

 ん?

「どした?」

 オリガさんの手が震えている。

何か問題あった?

「あなた失礼ね。」

「はぃ?」

 何が?

「侍女の私が、あんなに大きくて重い物持てるわけないじゃない!」

 あー。

「そんなに怪力女に見えるとでも?!」

 ・・・そうですね。

武官でもない彼女。

アイシャ姫の怪力の異常さを見続けてたせいか、変な方向で慣れが・・・。

「ふむ。オリガさんは美人で優秀で、お嫁さんにしたいという男性で引く手数多だもんな。」

「なっ?!」

 急に赤面する。

オリガさんは自分が赤面しているのがわかっているせいか、つとめて冷静なフリを装っている。

可愛いなぁ。

ようやっと、オリガさんの愛で方がわかってきた気がする。

「と、いう事を言うと、後が怖いから置いといてだ。」

 とりあえず、オリエとミリィは念の為、一晩兄上の所へ行ってもらう事にしよう。

本気で嫌な予感するしな。

それに武器の事は・・・盲点だった。

もう済んだ事で、そこまで犯人を吊るし上げようと思ってなかった。

「さて、何時頃に何処へ行けばいいのかな?」

 脳内ではこれからの事への対応を考えているんだが、あの王子にも確認する事が出来たし、あとでアイシャ姫の所にも行かなければならなくなった。

「こちらからお部屋に迎えに行くわ。」

「お、オリガさんが?」

「えぇ。・・・不満?」

 うぅむ相変わらず刺々しいな。

「・・・最低、一人武官をつけて来て欲しいんだけど・・・。」

 二つ目の噂の事といい、監視されている可能性が捨て切れていない。

そろそろオレもただの一般人だと軽視されない雰囲気が、周囲にも出てきてるし。

「あなたがそう言うなら、そうするわ。」

 賢い人だなぁ。

リッヒニドスにもこういう若くて優秀な文官が欲しいなぁ。

「はぁ・・・。」

「何?」

 いや、別にオリガさんとか周りの人間達に文句があるわけじゃないんだけどさぁ・・・。

「どうしてオレって、何時もこうなんだろ・・・たまには好き勝手したい・・・。」

「私から見れば、充分そう見えるけど?」

 最後まで刺々しいまま、オレ達の日中の会話は幕を閉じた。

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