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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Scheme! 皇子の指差し火の元確認。【前】

「ふんふん~♪」

 目の前でミリィが鼻歌を唄いながら、荷物を整理している。

曲調に合わせて揺れるお尻が何とも可愛らしい。

・・・いや、オレが悪かった。

「元々荷物が少なかったから、整理も早いなぁ。」

 一番重い荷物がオレの荷物。

というか、武具な。

「夜逃げでもするつもりか?」

「夜逃げかぁ。したら探さないでくれます?」

 部屋の入口で、オレに声をかけたのは兄上だ。

ちなみに疑問に対して疑問を返したオレの発言は、肩を竦められる結果だけで返答は得られなかった。

「まぁ、必要なモノは手に入れられた気もしますし、オレがこんな立場じゃなければ、何年か勉強しても良かったんですけれどね。」

 荷物の武具は具足と盾、長剣一本以外は片付けた。

そもそも、どうも胴体部を覆う鎧は着慣れなくて好きになれない。

速度重視の剣術なのと集団戦をしなからかな。

「そうか。ところで、この行動は最近流れている噂と関係あるのかい?」

 やっぱり、ソレの件で来たのか。

「噂?はて、何でしょう?」

 ・・・ちょっと白々しかったか?

「今回のヴァンハイトの参加は、"第二皇子"の妃候補を探す為という話なんだが?」

「何ですか?ソレ。」

 人の噂って本当に適当だな。

一瞬で広がって、しかもその過程で真実が薄まり尾ひれがついていく。

・・・今回は、薄まるような真実は皆無なんだが。

「その噂のせいで、今日は何かと弟はどういう人物なのか聞かれたよ。」

 ニヤリ。

笑みを兄上に見られないように、寝台に飛び乗る。

オレが乗った衝撃で、寝台で本を読んでいたオリエの身体がぽよんっと跳ねる。

「何で迷惑な。で、兄上は何て答えたんです?まさか無視するわけにはいかないでしょう?」

 第二皇子がどういう人物かは、国内ですらほとんど出回ってないからな。

理由は、この兄上が完璧過ぎて目立たないというだけなんだが。

オレもそう振る舞ってきたし。

そりゃあ、兄上に聞こうとする。

「弟の皇としての器は、私より上だと自慢しておいた。」

 胸を張る兄上。

「・・・・・・兄上、何という不穏当な発言を。」

 皇太子の台詞じゃない。

いや、自慢するだろうというのは、オレも予想はしてはいたよ?

予想の範囲内なのだが、その内容は予想の斜め上というか、想定外。

「?そうか?少なくとも私の目にはそう映るのだが。」

 何が悪いのか一向に理解していない点が、弟馬鹿たる所以か。

「ちなみに、何処の国の方に聞かれたのですか?」

 ここが最重要。

「うん?あれは確か、クロアートとセルブ。それとセイブラムだな。」

 来た。

もう笑いが止まらん。

しかし・・・何故にセイブラム?

中立国だろ、アソコ。

「そうですか。じゃ、適当にのらりくらりと答えていってくださいな。」

「やっぱり火の元はここか。」

 肯定もしなかったが、否定もしなければそりゃバレるか。

「何のコトだか。」

 そう返すしかないんだよな、でも。

ま、兄上の事だから、これも弟の面白い悪戯程度と思って見て見ぬ振りをするだろう。

あー、逆に乗ってくるかも知れないが。

「では、もう一つの噂もか。」

 は?

「もう一つ?何です?」

 何かオレ、目立ったっけ?

あぁ、目立ったといえば目立ったが。

お陰で"グランツの武は未だ衰えず"という印象を各国に植え付けてしまった気がする。

ある意味で、あの熊が兵器なのは否定しないけれどね。

分類上、もうそれでいい気がしてきたよ。

これをチラつかせてやれば、ヴァンハイトの防衛は充分なんじゃないか?

何も言えん。

「セイブラムの姫が、ヴァンハイトの青年に入れ込んでいるという噂だ。」

 え゛?

何ソレ?

「何やら自分の部屋にも招きいれているそうだ。」

 ぐはぁっ。

何だその尾びれ!

噂怖イッ!!

兄上もわかって言うのやめて欲しい。

ヴァンハイトの青年なんて、オレか兄上しかいないじゃないか、もー。

だが、火元があるというのは兄上の言だが、部屋に行ったのは事実とはいえ、一体誰が・・・。

部屋に行ったところは誰かに見られた記憶はない。

アイシャ姫に見られたが・・・。

「監視がついてたりするのか?オレ。」

 困ったもんだ。

「こんな小者なんて放置しててくれないかなぁ、皆。」

 兄上を筆頭に何かをオレに期待する人達は、おかしいと思う。

期待なんかより、まだ信頼が欲しい今日この頃。

「もしくは、オレの噂に乗って一枚噛みに来たのかな?」

 どちらにしろ、悪くはない。

これで、クロアートとセルブの二国間に無理矢理ではあるが、ヴァンハイトとセイブラムを絡める下地にはなった。

地理的に挟撃出来る国が二国噛んできた以上、すぐに戦端開けまい。

少なくとも、どちらかを味方ないし中立につけるか。

「あとはアイシャ姫とラスロー王子が無事に帰国すれば、今回に限ってはオレの勝ち。」

「面白い展開なのか?また一人で。」

 あ、この人、こういうの混ぜてもらいたがるんだった。

「とりあえず、第二皇子はリッヒニドスにて内政の勉強をしているという方向性で・・・お願いします。」

 兄上をちょっとでも混ぜれば満足するだろ。

「ふむ。では、三つ目の噂。クロアート出身の一部の女性内に根強い"トウマ・グランツ支持者"の集団が結成されたのも策だったか・・・。」

「はいぃぃぃぃぃーっ?!」

 やっぱり情報操作なんて、おいそれとするもんじゃない・・・。

女性と噂話は非常に怖い。

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