episode4 『求めるは……短期報酬』
episode4
『求めるは……短期報酬』
[part1]
おっさん(二十代後半)TS僕っ娘美少女(白髪ロング)のコーヒー創造Lv99と
異世界、住人猫耳少女が今、この鬱蒼した森で遭遇している状況。
ミゾレは2人の撮影し、会話を盗み聞く。
ミスト「あの、名前は?」
猫耳少女「テア……です」
ミスト「僕は……ミスト……」
テア「ミストさんは何故ここに?」
ミストは「うーん」と頭を抱える。
ミスト「気がついたら森にいたんだ」
テア「えぇ?」
ミスト「そしたら心の声が聞こえて……『ここは異世界、あなたはコーヒーを創る少女』と言われて……」
テアは状況がよくわからず沈黙している。
<2人共かわいい>
<百合だー>
<尊い……>
<もう結末なんて無視してイチャイチャ百合しよう>
ミゾレ「こいつら……(呆れる)」
すると、とあるコメントが……。
<おい、ミゾレ。コーヒー無双能力、多分成り上がり系のストーリーになるから時間かかるぞ?>
ミゾレ「時間かー」
ミゾレは顎に手を当てる。
ミゾレ「日蝕(一人称)さー、時間系能力って無いんだよねー。それから一ヶ月後とか飛ばせないからさー」
<日蝕かわいい>
<一人称すこ>
ミゾレ「てなると、コーヒーによる喫茶店経営とか長期報酬だし……オオカミサマ保たないかな」
多分、保たないと思ったミゾレ。何故ならオオカミサマはドパガキだからである。
となると、オオカミサマの要望はシンプル。
短期間でコーヒーチート無双を要求させるという無茶振り……。
<[5000マネ]
頼む!ソウルジャックで百合展開にしてくれ!>
マネとは神界の通貨であり、リスナーが5000マネのスパチャをミゾレに捧げたのである。
ミゾレ「センキュー♪」
簡易すぎるスパチャ演出を行うミゾレ。因みにスパチャの7割はオオカミサマに搾取される。
<ナイスパ!!>
<ナイスパ!!>
<スパチャすご>
<どんだけ百合にしたいんだよwww>
<そもそも百合……なのか?>
ミゾレは次の手を長考していると、テアが震え始めた。
テア「ここ寒いですね……」
ミスト「確かに」
ミスト「あ!それじゃ!コーヒー創るよ!?」
テア「コーヒー!?でもミストさん、何も……」
ミスト「コーヒー創る能力を持ってるんだ」
少し自信が無さげに呟くミスト。テアは興味津々だ。
<お!>
<コーヒーチート来るか!?>
<いいねぇ>
<一旦さ、テアちゃんクシャミさせようぜ?>
ミゾレ「は?」
<は?>
<は?>
<お前……>
<いや、ありか>
<(5000マネ、リスナー)なぁミゾレちゃん!ソウルジャックで一瞬でもいいからコーヒー創りを遅らせてくれ!>
ミゾレ「えぇー?」
ミゾレはマネを頂いた以上はリスナーへの否定もメンドクサいので実行に移る。
《ソウルジャック》開始。
《ミスト「(コーヒー創造中)あ……なんか!ちょっと上手くいかなくて!!」》
テア「くしゅん!」
ミゾレ「…………」
<助かる>
<助かる>
<助かる!>
<助かる>
<おい……>
<ここのリスナーさぁー(ため息)>
<[10000マネ]
ガチで助かる>
ミゾレ「センキュー♪」
ミゾレ「……キモ」
※注意!
この発言はミゾレの完全主観です!実際はマナーを守りながら楽しく配信を見ましょう!
《ソウルジャック》を解除し、ミストはようやくコーヒーを淹れることができた。
テアはミストが生み出したマグカップを持ち、コーヒーを頂いた。
テア「(目を見開いて)えぇ!!?美味しい!!」
ミストは困り顔に。
ミスト「そ!そんなに!?」
テア「初めて!!こんなに美味しいコーヒーは!?」
テアがはしゃぐように喜ぶ光景をG-phoneで様々な画角で捉える。スマホは踊るように空間を動き回る。
<あー尊い>
<テアちゃん……>
<本当に嬉しそう>
<コーヒー飲んでみたい>
<ミストちゃんのコーヒー、10000マネで買うわ>
しばらくマグカップを手にして最後の一滴まで飲み干すテア。カフェインの効果なのか自分語りを始めた。
テア「私のお姉ちゃんが最近、落ち込んでいまして……それで気を明るくする薬草を探してましたら……こんな場所まで……」
ミスト「そんな薬草あるんだ」
ミスト「でも、もうこの時間は危ない。街を探そう」
テアは頷く。
テア「この場所がどこか……なんですよね」
<おい!ミゾレ!?ナントカしろ!>
<上位神だろ?オイ!>
<たまには仕事しろ>
<ミゾレちゃん、気にすんな>
ミゾレ「うっさ……!下位神達の本音だだ漏れじゃん」
普段、神界ではミゾレサマとして敬れている彼女にトゲのあるコメントが走る走る。
ミゾレ「魔力は温存したい」
するとミゾレは短銃から木のてっぺんに発砲。銃口から黒いワイヤーを生み出し、慣性の法則で木の上に登る。通称フックショット。
木のテッペンから外を見渡すと水平線が一望できる。月が輝く方向に上空に仄かな明かりが反射する。この場所に街がある。
ミゾレ「でも実際、どうやって誘導する?」
<タクシーとか無いの?>
ミゾレ「ねーよ。どうしようかな」
<ソウルジャック!>
<2人共に動かせばー?>
ミゾレ「あのさぁ、日蝕の魔力無限じゃないんだけど……あとスパチャゴリ押しもなるべく控えてねー」
いかんせん、スマホもミゾレも人々から認識できない為、誘導には骨が折れる。
ミゾレ「オオカミサマー!この後どするー?」
<ちょオオカミサマ頼り(笑)>
<オオカミサマに仕事を増やさせんな!>
<オオカミサマ……>
<……ん?>
<あれ?>
<いない?>
<寝てる?>
<寝落ちしてる
<スヤァ>
ミゾレ「寝てるー?ホントー?」
ミゾレは彼女の性質を思い出す。
オオカミサマは『アーカイブを見ない』。リアタイガチ勢だから。
ミゾレ「起きてるー?返信してー?」
<……………>
<……ん?>
<ない>
<反応せん>
<ミゾレ、君のことずっと見ていたぞ?>←←←
ミゾレ「ん?」
<あ>
<あ>
<まずい>
<あ>
しかし、ミゾレは淡々と。
ミゾレ「スパナ(青文字)つけてないから成りすまし……ガチでやめーて。ブロックすっぞ?」
その間にミストとテラはトコトコを歩き始める。方角は明かりが照らされてる街らしき場所の反対へ。
ミゾレ「あちゃーあ、より森に行っちゃってるケド」
ミスト「お姉さん良くなると良いね。あと今度コーヒーをご馳走させるよ?」
テア「ありがとうございます!お姉ちゃん絶対喜ぶと思いますよ!」
<お姉ちゃんとテラちゃんの姉妹百合……>
<尊い>
<守ってあげたい>
<ミゾレ!誘導しろ!>
<ワンチャンキャンプ用品ないの?>
<キャンプって野宿?>
ミゾレ「知らんし。だから物理的なモノなら認識しないし」
ミゾレは街に誘導したかったが、《ソウルジャック》のコスト考えると色々厳しい。
ミゾレ「ま、いいか。多分寝てるし」
これもう野宿コースかなぁ……と2人の行方を見守る。
と前方に都合良く、誰かが使用したボロボロのテント。
<きた>
<きたー!>
<寝るのか!!>
<あーー!>
<絶対映せ>
<百合百合!>
ミスト「ここ、使えそう」
テア「え?ここで?ですか?」
ミスト「せっかくだし、コーヒー淹れながらゆっくりと……」
コーヒーという単語がテアの心を動かした。
テア「コーヒー!コーヒー飲みながら……待ちましょう!」
ミゾレ「コーヒー……カフェインというより、Lv99コーヒーはコーヒーそのものに中毒要素があるんだねー。知らんけど」
ミストとテアは使い古されたテントに入り、一晩過ごす方針だ。
<お!>
<ついに!>
<コーヒー(意味深)>
<いやぁ〜(にっこり)>
<何をブレイクするんすかねぇ>
ミゾレ「あのさー、一応キッズも見れる全年齢対象配信だから、問題発言は非表示にするからねー」
ミゾレ「それと……」
テント周囲に獣の臭いが鼻くすぐる。
ミゾレ「コーヒーチート……どうやら匂いすらも『色んな奴ら』を引き寄せる効果があるみたい」
そう。既に魔物達がミスト達、周囲を席巻していた。
ミゾレ「オオカミサマは寝てるけど……どしようかなー」
episode4
END




