episode15 『道は人、それぞれ』
episode15
『道は人、それぞれ』
[part1]
都市部の空に龍が3体。青、赤、黄色と綺麗に色分けされている。勿論人間には認識できない。
ミゾレはスマホを空中に飛ばし、龍を撮影。
ミゾレ「龍さん」
<草>
<草www>
<龍さんじゃねぇwww>
<空気壊すなw>
<大きさ50mぐらいか>
<小さくね?>
<てかアヤ達大丈夫かよ>
ミゾレ「お、龍さん。口を開け始めた」
青龍「『黒龍』……この小娘だな」
赤龍「おいおいーまさかァ昨日のアレ、コイツがやったんかァ?」
龍達は人間に聞こえないことをいいことにベラベラ喋り始めた。
ミゾレ「アレ?」
<アレ?>
<アレって昨日の夜の話?>
<こいつらクッソ喋ってて草>
<初見です。よろしくお願いします>
ミゾレ「初見さん、らっせー」
龍達は話を続ける。
黄龍「アレですか……深夜帯のこの街に妙な『黒龍』が現れたという……」
ミゾレ「うん、アレだね」
ミゾレは1人納得。
ミゾレ「でも、リズズじゃないけど」
赤龍「その黒龍がコイツ、『悠久の探求者』なら……へ!なんだァ?酔っ払ってんのかァ?」
青龍「追放されて人間の所に潜伏してると話は聞いたが……とんだヘマ打っちまったな……最も……観測した奴がいるかだがな」
ミゾレ「はーい」
<おいwww>
<草を増やすなwww>
<赤い奴チャラいな>
<黄色まともそう>
ミゾレはアヤ達を眺める。リズズがアヤを覆うように庇う。
アヤ「ど、どうしたの!?」
リズズ「じっと……してろ!」
<リズズ……>
<お前……>
<バレんなよ>
<がんばれー>
<リズズちゃんは悪くないのに>
すると黄龍が。
黄龍「『悠久の探求者』。あなたの事は把握してます……昨日の夜、あれはあなたですか?」
リズズは震えながら立ち上がる。
リズズ「……何を……言ってる?」
<ミゾレー!?ナントカしてくれー!>
<ソウルジャックはー!!?>
ミゾレ「魔力無いから《ソウルジャック》キツイってー」
ミゾレ「最悪、怪現象になるけど龍ボコすよ」
<おい>
<草>
<ボコすのもいいね>
<絶対謎現象として噂になるぞ?>
<いや、人間は龍見えないんだからボコっていいんじゃね?>
<龍(竜)は、東洋において「万物の運気を司る最高位の霊獣」とされ、非常に縁起が良い存在として古くから親しまれています。
龍が縁起が良いとされる主な理由・ご利益
• 立身出世・飛躍(昇り龍)
• ◯◯の故事「登竜門」に由来し、激しい滝を登りきった鯉が龍になって天へ昇ったことから、努力が実り成功や大願成就を果たす象徴とされています>
<↑うお!>
<↑あーなんかきた>
<↑コピペやめろ>
<ガチの奴きた>
ミゾレはコメント欄を無視して龍達の会話を更に盗み聞き。
アヤ「リズズ?……どうしたの?」
リズズ「…………」
アヤ「リズズ?」
リズズは答えない。
黄龍「なるほど。証明ができない……とは」
赤龍「おー……んじゃあァ……その隣の小娘に聞いて見るか?」
リズズ「やめろ!」
リズズは声を上げて叫ぶ。
<あー!バレちゃうよ……>
<2人きりの秘密ルートにしたいのに……>
<リズズちゃん……!>
<はやーくザマァ展開来い!>
ミゾレ「これ、ドラゴンマスター発動するかも」
<え?>
ミゾレはアヤ達にスマホの視点を向ける。
アヤ「なに?何が起こって!?」
アヤは困惑。リズズは力強くその場に佇んでいる。
リズズ「知らない!本当だ!」
するとアヤは心の底から内なる力が溢れ出す。
アヤ「なにこれ……」
アヤは頭より先に身体が動き、袋小路を抜ける。そして大通りに。
リズズ「アヤ!!」
アヤは本能的に上を向いた。そこには空に蠢く巨大な龍達が。
アヤ「え?なにコレ?」
ミゾレは《龍の眼》で魔力探知。
ミゾレ「アヤ、今、龍を認識してる……けど、周囲は気づいてないね」
<おお!>
<ついにアヤちゃんの夢が!>
<いやぁ……これは……>
アヤから見る龍、ドラゴンは幼少期から憧れていた姿そのものであった。
青龍は深く澄んだサファイアのような鱗をまとい、長い髭が水流のように風に揺れ、威風堂々とした巨躯はまるで海の支配者そのもの。
赤龍は灼熱の熔岩が形を得たような赫々(かっかく)とした鱗、喉奥からは陽炎が立ち上り、牙が剥き出されれば熱気が噴き出す。
黄龍は陽光を溶かし込んだ黄金の鱗が燦然と輝き、頭部には山吹色の鬣が波打ち、柔和な瞳からは賢者の静謐さが溢れている。
アヤ「ウソ……?本当に?夢じゃ……なくて?」
リズズはアヤの所まで向かう。そして天を仰ぐアヤ。
リズズ「アヤ……君は……やはり……」
赤龍「おいおいー!なんでよぉ……!こっち見えてるんだ?」
黄龍「『世界に1人……龍を統べる者が現れる』……この噂は本当だった!?」
青龍「この小娘が?まさか……」
ミゾレ「アレ……?コレこのままイケおじハーレムルート?」
<ちょwww>
<ちょまてーい!>
<おいやめろ>
<百合は!?百合!!?>
<3体のチートイケおじに囲まれるドラゴンマスター美少女アヤか……悪くない>
<リズズちゃん?リズズちゃんは!?>
リズズは真剣な表情でアヤの顔を見る。
リズズ「アヤ……!」
アヤ「リズズ?」
リズズ「私は……!」
赤龍「おいアヤ……だっけなァ?」
アヤ「あ、はい……」
赤龍「その黒髪のガキは……しょーもねぇ人間だ」
アヤ「?」
赤龍「俺ェの見間違いだったわ……」
赤龍は青龍に目配せ。
青龍「……わかった。そうしよう」
リズズ「みんな……何を言って!?」
黄龍「アヤ……アヤさん。あなたがこの地から巣立つまでは……あなたの成長を見届けましょう」
ミゾレ「ドラゴンマスターの効果でイイハナシムードになってるね」
<イイハナシダナー>
<4体の龍を司る美少女とか最強じゃん>
<リズズ……よかったぁ〜>
アヤ「え……私は……?」
青龍「勉学に徹しろ。話はそれからだ」
赤龍「そろそろ……お開きといこーか……なァ?」
黄龍「では……いずれ会いましょう」
3体の龍は空高く飛び立ってしまった。
残されたのはアヤとリズズ。周囲の人間は普段通りの日常を過ごしている。
リズズ「カレー」
アヤ「え?」
リズズ「カレー屋……いこう」
アヤ「……リズズ?」
リズズ「いいから」
リズズはアヤの手を握る。
アヤは……。
アヤ「リズズ……本当は……?」
リズズ「夢が……」
リズズ「……叶ったな」
アヤが言いたい事を遮るリズズ。彼女はどこか寂しげな表情でもある。そんなリズズを無理矢理引っ張り、カレー屋を探し始めるアヤ。
アヤ「チーズカレーがいい!」
リズズ「なんでも……いい」
アヤ「リズズは学食でチーズカレーばかり食べてるじゃん」
リズズ「!?……なんで知ってる?」
アヤ「……私、ストーカーだから!」
リズズ「……怖」
木枯らしが吹く程の強い風の中、2人は歩いている。気のせいかいつもより距離が近い。
<(涙アイコン)>
<あー尊い……>
<よかった(涙アイコン)>
<アヤちゃんの物語は始まったばかりなのかな>
ミゾレ「や、終わり」
ミゾレのスマホはアヤ達からイチョウの木を映す。
ミゾレ「それは、また別の話……」
episode15
END




