7
「おぃ、でも、待とうぜ」「エ!? いや逃げるべきだろ!」「いや逃げてもこの世界だろう、どっちみちココだぜ。それになんか可哀そうだろう」
話だけでもきちんとな。
あと確かな異世界っぽいな、マンションの一室とかじゃなかったわ。その踏みしめる堅い廊下はワラが敷かれていて石造りの強さと跳ねっ返りの確かさを足裏へ。
そうして後ろではもう汗だくになってあの巫女さんは倒れ伏してて、息も絶え絶えで。
「はぁ……はぁ……、こちとらこの引きに賭けてるんだよ、財政逼迫してんだ。でもこれで引いたら人生逆転……ふぅ……ふぅ……、フヒヒヒ。最後ぐらい楽しませろよぉおお!」
最後って言うとるやんけ、ヤバい奴ヤバい奴っ!コレ放送したら事故起こすヤツ!
くっそー、こうなりゃさぁ、迷惑系が迷惑かける前に私が乱入して荒らしてやんよぉお!?
迷惑系に迷惑を掛けるな。自暴自棄すぎんだろ、でも次元を超えれる迷惑系ってすごくない? いや……、いやそうだけど、もう少し望めって恥を捨てるな、中堅配信者にしろ。
このメチャクチャな不審者さんとバトルが始まる、結局は不審者やんけ。
しかも人生を賭けたパック開封というから、そんなの開封されたくないんだ、なんか開封されたら終わりな気がしてる。謎解き組を行かせるが泣きながら先生が抵抗するが一番最初に穢された。
ほーら見えちゃってるよ~? いい歳なのに生徒の前で開かれちゃってるぅ~。ヤメて、やめてぇ~っ!?
あぁピンクで綺麗だねぇ~、何人に見られたのかなぁ、全員にオープンしちゃってるよぉ? やめて……この年でステータスだけはイヤぁああ!?
涙を流す。可愛い先生、アンタ……知能がちょっと――、どしたん、話聞こか?
パニックだよ、最高にぐだぐだな異世界召喚。
でもね、あのね、それでもしコレがただの不審者だった場合はね、俺らなんの為に召喚されたん?
「いやだ~~ッ、大してバズらない人生の一部になるのは絶対イヤなんだーー!」
叫んだ。心からの叫び。収集がつかないくらい暴れていて。
「ほらぁ……、だから、一筋縄では行かないと言ったではないですか。おどきなさい、鎮まらせるのですよ」
その声で一瞬にして兵たちの雰囲気が変わったんだ。
逃亡を抑える、まだ遊んでいるつもりならば殴られて。騒ぐが、誰もが見惚れたしさ……。
その独特の雰囲気には心が変になりそうだ。
そうして奥から現れる、美少女。女子ですら声を上げる程の絵が、うん――なんでなの、それでなんでまた絵なのかな?
一応その美少女、蒼の透けるような美しいドレスを羽織っており銀髪を品よく整えて前髪を揃え、頭頂部からは両の耳へと分かつような2筋が美しくて明らかにプロ仕様の立体で魅力的。
色白はもちろんだがブルーアイが異様なほどに輝いているが、口だけだして真似する感じなのかしら。確かにすごい精巧な絵だけれど、どう表現すれば良いのか分からんままにホントに口だけが動き始め。
「私はこの国の王女、ローレタナ姫、そうして西方騎士団の筆頭であり」って口が言う、口だけが動いてて描かれた瞳が真っ直ぐ見つめてきて。光で反射してテカってて。あ、あれ……、まさか、BGMまで人力?
あァアぁあ↑あぁぁアァ↓ あぁーーーー、あぁーーーー。お、おぅ……、神の話とか重大な真相聞いて、その直後には襲われる奴やんけ。地鳴りする感じか? 神殿崩れるねぇ?
「偽物……」「偽物だよねぇ」
隣の白髪のペストマスクと共に完全にウソを吹き込みにかかっている。
並びが悲惨、悲惨過ぎる。なんかペストマスクの方はマジな先輩の隣で最小限のリスペクト取ってる感じで、白鳥のポーズみたいになってるし、くぅぅるるって喉から苦しい息漏れてるし。
プルプルぷるぷる。
あと大きな大きな肖像画を十数名で掲げて持って来ている理由は何よ、念押しかな?
俺は。
「な、なんで……、あのすいません。更になんか、怪しくなったんですが」「王族という物は得てしてそうです。それで……」
王族ってこんななの? この世界ではこれが普通って事じゃ。いや……、多分高貴なので顔は簡単には晒せないでは? むしろそれなら別の手があったろー?
行間読むのに必死。異世界にて行間を読む、勇者はまず行間を読まねばならない。
「先程も申し上げた通りですよ。確かに色々とそちらも大変でしょうねぇ……。ですがやはり異世界人は特別なのです、実はしっかりと辞典みたいな物があり――天界ではスキル表があるのです。ただそれはこの世界で輪廻転生するもの限定、言わば現地食。何を食べさせれば良いのか分からない雑種相手にはね? とりあえず容量と適性のみで与えるせいでワンチャンス、勇者という枠になる可能性があるので」
雑種って言ったね? 雑種かー、口だけ芸人なのになー「えぇ、それでよ。それでしかして、我ら王族はただただ召喚した訳ではなく、王はこの魔法の、ん、んぅ――!?」
あ、さてはその絵、厚塗りだ? 息を吸い込んだら絵の具カスが入った、吐きたいけど難しい顔。結構やっぱ育ちは良いのかな?あ……、我慢しきれず吐いた。
あーあー困るよねぇ……。高貴な感じで出てきたのに。BGMも続いちゃうしねぇ、そろそろ世界樹の栄養とは人の死であると言い出す頃合いだ。
でもしかしだ、ここで姫は姫で本物であるとまざまざと。
「あっ、すっごいこう――」必死に肖像画を動かして従者が絵を回転させ、ごめんあそばせ、とうなずかせてる。
そういう躍動感を大事にするんだ、だったら多分ホントの王族なんだろうなって、そう思った全員が。こんな一生懸命なんだもん。
お姫様がわざわざお話して下さっている、とりあえず聞いてあげて。
パチパチパチパチ……。
はい、では三角座りからの挙手で、「あの……、どうして、その。本当に姫様なんでしょうか、それを証明するにはどうすれば良いでしょう」
「おーーほっほ、わたくしは力ある者なら素顔も見せますわよ、当然。このような全ての仮面を脱ぎさり偽りなく晒しましょう。普通ならば謁見も難しいのですわよ、それを時間を割いていますのぉ……? しかもしかも私の顔は国民の誰もが知る美少女なのですから」
逆マスクさんよぉ、絵は綺麗だけど本物とは限らねえんだぞ、その嫌悪の眼差しを前にして不敵に笑……い?
「ちなみにぃ……、服も絵 ですわよ」
―――ッ!?!? 一気に燃え上がった。その妙に突き出してた立体構造を持つ2つのたわみ、そうしてそれを隠してる緑のオッパイ布、おかしいと思ったけど。
え、あ……。結構おっぱい大きい、あと何より絵が美少女!
そうして俺は――。
「異世かーーい、 高校2年5組、下町の部ぅ! お仕事終わりました、頑張りました。預かりますは総代ともお」
「あいよぉ、それで。お前らのギルドの目的はー?」
「俺は、俺たちはァ! 行くべき場所を失った異世界人をまとめ、一緒に暮らし、法律を守り異世界人と連帯し、共に生きていける組織を目指します! わたくし、不肖ながらリーダーを務めさせてもらっていますトモオです!」
よろしい――。




