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窓から見る景色
俺はプライドが高い。
非常にプライドが高いから、すぐに「イラッ」としてしまう。
「大丈夫です」
「ぃあー」
「いや、どうぞ」
電車で10分、15分座って得られる「回復量」程度で売れる「品性」なんて持ってないは!
むかつく。しかし、周りの目は冷たい。
それはそうだろう。折り畳めないベビーカーで満員電車に乗車してかなりのスペースを取っている。
断るのもわかる。俺の席は端から2番目。
ベビーカーから離れてしまう。
だが。
子どもがぐずりだしているから抱っこしているが、だいぶ重いだろう。
目の下には隈。誰も別に好き好んで満員電車に乗っている訳ではない。俺だって満員電車は嫌いだ。
「若者笑うな、いつか来た道。年寄り笑うな、いつか行く道」
俺は「お一人様」で、社会的には「不遇」であり、税金以外は貢献していないし、今目の前の女性のような時間は訪れない。
喚かれたらうるさい。だから別に理由はない。少し離れた位置に移動する。
窓の外を眺めながら楽しそうに笑う幼児を尻目に、目の前に置いてあるベビーカーが動かないようにキャスターに左足を差し込んでいるのは、たまたまでしかない。
俺はプライドが高い。




