空
俺は何にもなれないんだろうか。
今回、投資詐欺に引っかかったのは「出版」という経験がしたかったから。
400万払えば商業ベースで自費出版ができる。
7月に半金を支払い、残りの半金を来年3月までに支払えば5月出版で「作家」と名乗れる。
有り体にいえば、趣味。
だけど、本気だった。
詐欺に引っかかってしまったけど、来年5月までには支払える。そうすれば7月には出版できると思っていた。
昨日、自費出版社から連絡があり、追加費用と修正原稿を書いてから7ヶ月後の出版と言われた。
投資詐欺に引っかかるほど。
それぐらいに入れ込んでいた。
だから、反射的に「ごねた」。
契約破棄をちらつかせて、なんとか元のルートに戻してもらった。
俺は満足して、その日、眠ろうとした。
だけど、眠れずにこうしてあてどなく散歩している。
「相談してくれなかったのはちょっと寂しかった」
「次に大きなお金を動かすときは相談して欲しい」
一緒にやっている先輩に言われていたのを思い出したから。
物語はすでにWEBで公開されている。長文は去年のパンデミック時期と春を扱っていた関係で来年5月の出版を希望していた。
俺自身への誕生日プレゼントを兼ねていた。
一度約束してしまったのを24時間経たないうちに翻すのは、失礼だとか、嫌われるかも、という気持ちでいっぱいだし、諦めたくない気持ちがある。
だけど、相談すると先に約束していた。
だから、出版社に申し訳ないが月曜日まで待って欲しいと恥も外聞もなくメールした。
どうしたらいいのかわからない。
気持ちが落ち着かない。
どうか、教えてください。
そんな気持ちでいっぱいの金曜日




