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第一王子殿下の恋人の盾にされました。  作者: 燈華


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幕間 第一王子と第二王女ーー謝罪

時間がなくて書けませんでした。すいません?

短めです。

とにかくミネットには話をしなければ、と妹に先触れを出せば時間があるからとすぐに応じてくれた。

部屋を訪れればすぐに人払いをしてくれる。


「クロードお兄様、話は聞きましたわ」


それが理由で何も言わずとも人払いをしてくれたようだ。


「そうか」


どこまで聞いたのだろうか。

だがまず初めにすることは決まっている。


「巻き添えにしてしまってすまない」


深々と頭を下げる。


ミネットはこれから継続的に交流を深めていくと先月決まった海を渡った国へと嫁ぐことが決定したと先代国王陛下から告げられた。


ミネットが遠い国に嫁がされるのはクロードが馬鹿をやったせいだ。

同腹であるミネットがその巻き添えを食ったのだ。


いくら謝ったとしても足りることはないだろう。

だがクロードには謝ることしかできない。


ミネットが深い溜め息をついた。


「とりあえず謝罪は受けましたので顔をお上げください」


のろのろと顔を上げる。

ミネットはもう一度深く溜め息をついた。


「……お兄様がアンリエッタを見初(みそ)めたのは見る目があると思ったのですが、とんだ見込み違いでしたね」


いつになく妹の言葉は辛辣だ。

そういえば友人関係だったか。

それなら今回の一件は腹に据えかねているだろう。

当然だ。


「そう、だな」


ミネットが(まなじり)を上げて睨みつけてくる。


「お兄様は何もわかっていません」


ミネットの言っている意味こそがわからない。


「すまない。何がだろうか?」


またミネットは溜め息をつく。


「わたくし、アンリエッタならお兄様の隣に立ってもいいと思っていましたわ。もちろん本人にその気はないことははっきりと言われていましたよ」


どうやらアンリエッタはミネットに誤解されないようにしっかりと伝えていたようだ。

本当にアンリエッタはしっかりとしている。

そして、本当にクロードのことなど眼中になかったのだ。


ミネットと仲良くなったのも下心などなく純粋な気持ちだったのだろう。

聡いミネットはそういうことには敏感だ。

だからこそ友人と呼ぶほどに仲良くなったのだろう。


「そうか」


確かにクロードには見る目がないと言われても仕方ないのかもしれない。

いや、アンリエッタを見出だしたのなら逆に見る目があると言えるのではないだろうか。


アンリエッタがクロードの望む成果を出してくれたのは事実だ。

人選としては間違えてはいない。


だがやってはいけないことだった。

それすらもわかっていなかったことがそもそもの問題だったのだ。


脅すようなことを言って無理矢理従わせた。

王族としても有り得ない態度だった。


王族なら何をしてもいいわけではない。

それは暗黒時代が物語っているではないか。


歴史から何を学んだつもりになっていたのだろう。

何も学ばず、むしろ繰り返してしまった。

継承順位が三位に決まり、いざという時の捨て駒にされることが決まったのも仕方ない。


それに巻き込む形になったエスト公爵令嬢には申し訳ない。

クロードがこれから一番に大切にすべきはエスト公爵令嬢だ。

順番を間違えてはならないし、間違えるつもりもない。


ミネットがクロードを鋭く見据える。


「そんなアンリエッタを使い潰そうとするなんて信じられません」

「使い潰すなんてそんなつもりは……」

「なかったとおっしゃいますの?」


鋭く言われて言葉に詰まる。


本当にそんなつもりはなかった。

いやそこまで考えが及んでいなかった。


クロードはリリアンが守られればそれでいいと思っていた。

悪意を向けられたアンリエッタがどうなるかなどあまり考えていなかった。


アンリエッタならうまく立ち回れるのではないかと、無意識に思っていた。

大人しいリリアンとは違って。


アンリエッタの身の安全など考えていなかったのだ。

それなら使い潰すつもりだったのだと責められても反論できない。


実際に怪我を負わせることになってしまったのだ。

障害が残ったり下手したら命を失ってしまう可能性だってあった。


それも全てクロードが無責任に引きずり込んだせいだ。

それでいて身の安全を図ることを怠ったせいだ。


さすがにリリアンでなくてよかった、などとは思わない。

アンリエッタにだってそんな大怪我を負わせたいとは思っていなかった。


まさかそれほどのことを仕出かす者がいるなど思わなかったのもある。

ただただクロードの認識が甘かっただけだ。

クロディーヌやリシャールに言われていたのに本当に何もわかっていなかった。


その時にきちんと手を打っていれば違ったのだろうか。

いや、その時にやめればよかったのだ。

だがクロードにその考えはなかった。


忠告もまともに受け取らずに必要な手段を講じることも怠った。

それが全てアンリエッタに振りかかることになった。


クロード自身のことは自業自得だ。

だがアンリエッタは違う。

巻き込んだことを今更ながら後悔していた。

本当に今更だが。


さすがに率先して嫌がらせをしていた者に対する罪悪感はない。

彼ら、彼女らは自業自得だろう。


自分を律せずにそのようなことをする者は、アンリエッタにではなくとも、他の者にも同じようなことをしたはずだ。

それがたまたまアンリエッタに集中してしまっただけだ。


それとクロードのせいだ。

やはり自分の責任は重いと改めて思う。


「お兄様、思考に耽るのは後にしていただけませんか?」


ミネットの声にはっと我に返る。


「すまない」

「いろいろ思うところがあるのは理解していますが」

「すまない」


謝るしかない。

妹に対してでも失礼だった。

再びミネットが溜め息をつく。


「そもそもアンリエッタを巻き込んだことが間違いだったと思いますよ。王族としても人としても有り得ません」


ぴしゃりと言われる。

ふとミネットはどこまで聞いているのだろう? と気になった。


「……どこまで聞いた?」

「全てですわ。お兄様が恋人を守るためにアンリエッタに囮になるように脅したことも、あろうことかその恋人の友人にしようとしたことも、一切守る気がなかったことも全て聞きましたわ」

「守る気がなかったわけでは」

「ありませんでしたよね? むしろ矛先がアンリエッタに向いて満足そうに微笑(わら)っていたそうではありませんか」


言葉を遮られて伝えられた言葉に驚く。

それはリシャールにも指摘されたことだ。


リシャールが報告したのか?

それとも他に見ていた者がいて報告したのだろうか?

そこからミネットへと情報が下ろされたのだろうか?

十分有り得ることだった。


だがそれは今ここで重要なことではなかった。

クロードの脇が甘かった。

それだけの話だ。


「……事実のようですね」

「……ああ」


ここで嘘も誤魔化しも必要ない。

そんなことをすればミネットからの信用を生涯において失う。


「本当に信じられませんわ」


多分に呆れのこもった声だった。

ミネットに軽蔑の色がないことだけが救いだった。


「すまない」

「それはわたくしに言う言葉ではありませんわ」

「そう、だな」


確かにその通りだ。

その言葉はアンリエッタに向けるべきだ。

迷惑をかけたのはアンリエッタだ。

謝罪はしたがあれだけでは足りないだろう。


それに、償いは何もできていない。

償いだと思って提案したことはあまりにも浅はかだった。

今は恥じ入るばかりだ。


だが何かしらの償いは必要だ。

今度こそ慎重に考えなければならない。

自分一人で考えるとまた同じように愚かなことをしてしまうかもしれない。

この件を知っている誰かに相談したほうがいい。


ただそうなると相手は限られている。

シアンかミネットか、祖父である先代国王陛下かだ。


……とりあえずシアンだな。

彼なら細かいことまで全て知っている。

それに、話さないわけにはいかない。


思えばシアンにも随分と負担をかけてしまった。

シアンにも何か報いなければならないだろう。

これは、本人に聞いてみなければ。

見当外れなものを渡したところで余計に負担をかけることになる。

それでは意味がない。


それは、今回アンリエッタを呼び出した件で学んだことだった。

それを知るのがあまりにも遅すぎたことは否めない。

きっとそのことでも皆を呆れさせたのだろう。


これから挽回できるかはわからない。

だが挽回できるように努力はしなくてはならない。

これ以上の失望も失点も許されないだろう。

自分に与えられた役目を今度こそしっかりと果たさなければ。




読んでいただき、ありがとうございました。


誤字報告をありがとうございます。訂正してあります。

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