神様について知ってみた
そういや、いつの間にか天使?が消えている。まあ、いいか。正直どうしていいかわからなかったし。
「どうしたの?で、いつ出発?」
「ああ、三日後には出発するでござる。その……アイリス殿にも天使がいたりしますかな?」
「………ああ、うちはあれよ。マイナーな神だからいないわ」
「マイナーどころか、邪教に認定されかけ「バカ!余計なことは言わなくていい!ただのエロ神だから!確かに性格に問題があるけど、あいつは邪神なんかじゃないから!!」
「えろ神??」
「あ」
アイリス殿が真っ赤になって固まった。
「はああ……まあ、しばらく一緒に行動するんだから、仕方ないわね。あたしの守護神は性愛の神、エロース。要はその……」
「エロを司る神だ」
「ちっがああああああああう!!エロも含むけど、恋愛とか、出産も司るのよおおおお!!」
ああ、うん。それは言いにくかろう(察し)
「そいつのせいで、奇抜なカッコで少しでも魅力を下げねばならない」
「それは……………うん」
「そちらは詳細がわかれば、封印系のアイテムでどうにかできるかもしれませんぞ」
少なくとも拙者やエド君には効いてないから、しこたま作った耐性アイテムのどれかが効果ありなんだろう。だとすれば、問題ない。
「タカ様、神!!」
「いや、拙者はただのオタクでござるからね。ちょっと失礼」
アイリス殿のステータスを視る。オタクだからか、他者のステータスも鑑定可能なのでござる
あれ?
「アイリス殿って勇者なの?」
「え?あ、うん。元々はこん棒の勇者として呼ばれて~、なんかあのデスピザ?の一味をボコってたら、いつの間にか聖女にランクアップしてた」
「アイリスはカッコいいんですよ!なんでも一撃です!」
「……ソーナンダ」
ちなみに熊男のゴルダ殿はこん棒の一撃でぶっ飛ばされてアイリス殿を好きになったそうな………。改心の一撃とは正にこのこと?まあ、そこはどうでもいい。アイリス殿の祝福は魅力値の大幅補正。だから衣装で多少抑制できたのだろう。
「ちなみに、アイリス殿はどういった服を好むのでござるか?ブレスレットにするので、それに合った品を作るでござるよ」
「えっと………紙とペン、ある?」
元は服飾デザイナーだったというアイリス殿。パンツスーツ風の服をご所望でござった。ジャケットは動きにくいので、ベストにリボンタイ、ズボン。これに合わせるならシンプルなブレスレット。さらに、シャツは激しい動きや衝撃に耐えるものがよいでござるな。
「しばし待たれよ」
簡易テント内に作った工房で、ラビルビ達と作業すること三十分。
「でーきた」
「できたみう!」
「みううー!」
「みううー!」
仕上げに魔法を込めたら完成!いい出来でござるよ。
「できたでござるよー」
「…………んん?服??」
「ささ、試着するでござるよ」
「んんん??」
そして、出てきたアイリス殿。
「………これ、デザイン画の服?やたらフィットしてるし動きやすい!いやもう、タカ様、マジで神!!」
拝まれた。だからただのオタクだってば。うん、よく似合ってる。こう……ゴスロリ衣装、似合ってなかったわけじゃないけど……今思うと無理してる感があったよね。
「ひとつ教えていただきたいのでござる」
「うん?」
「アイリス殿はヒトに喚ばれたのでござるか?」
「ううん、エロ神に喚ばれた。大抵の異界から来た勇者は神に喚ばれてるみたいよ。まあ、エロ神情報だからどこまで本当か知らないけど……勇者召喚はコストがすごーくかかるから、国単位の財力がなきゃ無理らしいよ」
国単位の、財力が………いる?霊薬や回復薬、魔物素材は純粋な資金獲得のためではなかった??
「フェリチータ殿、モフルンダに勇者召喚陣はあるのでござるか!?」
「ありますが、使えません。昔、勇者により色々ありまして封印されています」
「なら、当面は大丈夫やもしれぬが……急いだ方がよいかもしれぬでござるな。シーザ殿、明日出立するでござる。これを持って教会へ。今日は向こうに泊まってくだされ」
本当ならもっと良いものにしたかったが、仕方ない。作りおきしておいた非常食、クッキーとパウンドケーキが山盛り入ったかごを渡す。下には金貨がつまっていて『教会の子供たちとおいしいものを食べてください。寄付です』と書いた手紙つきだ。
「あ………ありがとうございます……」
「いや、予定が早まって申し訳ないでござる。時が惜しい。行くでござるよ」
「僕、必ずやご主人様のお役に立ちます!このご恩は忘れません!!」
シーザ殿は頭を下げてから走り去った。いや、恩?なにもしてないよね?ただ、しばらくこっちに戻れないからご挨拶してお泊まりしてきなよって言っただけよ??
「………監視の必要も無いかなー。流石はご主人様」
「そうですね。本当に誰もが仕えたい主様ですもの」
え?どゆ意味??
「ああん、流石はアタクシのダーリンあだだだだ!?」
「貴様、ご主人様に近寄るな!」
「はーい、終了」
拙者に一瞬ひっついたユージェニス殿が二人の連携により即剥がされた。た、助かった!おっぱい攻撃は心臓に悪いからやめてほしい。
「あは、なかなか賑やかなパーティーね」
「あはははは………」
「このビッチ姉は違います」
「ただの痴女。ご主人様をつけ狙う変態です」
「あんた達、いい加減にしなさいよ!恋愛は自由!愛とは奪うものよ!!」
ユージェニス殿がヤバそうな攻撃をしようとしたので、拙者は止めることにした。
「拙者、ケンカする子はおやつ抜きにするでござる。夕飯も作ってあげないでござる。今日の夕飯は各自で外食にするでござるよ」
「ああん、ケンカなんてしないわ!」
「すいませんでした!」
「申し訳ございません!」
だから、夕飯作ってくださいと懇願された。知らない間に、仲間達の胃袋もつかんでいた事が発覚した瞬間だった。
つまり、おいしいものは正義ってことですね(笑)
アイリスちゃんは真面目なので、守護神がエロ神だと知られたくないらしいです。




